１．盲の人のいやしの後で
・イエスは生まれつきの盲人が道端で物乞いをしているのを憐れまれ、彼の目をいやされた。
―ヨハネ9:6-7「イエスは地面に唾をし、唾で土をこねてその人の目にお塗りになった。そして、『シロアムの池に行って洗いなさい』と言われた。そこで、彼は行って洗い、目が見えるようになって、帰って来た。」
・その日は安息日であったため、パリサイ人はイエスを責めた。他方、盲人のいやしをめぐって、論争も起きた。
―ヨハネ9:16「ファリサイ派の人々の中には、『その人は、安息日を守らないから、神のもとから来た者ではない』と言う者もいれば、『どうして罪のある人間が、こんなしるしを行うことができるだろうか』と言う者もいた。こうして、彼らの間で意見が分かれた。」
・彼らは盲人の両親を呼んで、子供は確かに生まれつきの盲人であったのかを確認した。
―ヨハネ9:18-19「ユダヤ人たちはこの人について、盲人であったのに目が見えるようになったということを信じなかった。ついに、目が見えるようになった人の両親を呼び出して、尋ねた。『この者はあなたたちの息子で、生まれつき目が見えなかったと言うのか。それが、どうして今は目が見えるのか』」。
・両親は「息子に聞いてくれ」と責任を回避したので、パリサイ人は再び盲であった人を呼んで聞いた。いやされた人は、このような業は神からしか来ないと信仰を述べた。見えない目が今は見えるのは事実だからだ。
―ヨハネ9:24-25「ユダヤ人たちは、盲人であった人をもう一度呼び出して言った。『神の前で正直に答えなさい。私たちは、あの者が罪ある人間だと知っているのだ。』彼は答えた。『あの方が罪人かどうか、私には分かりません。ただ一つ知っているのは、目の見えなかった私が、今は見えるということです。』」
・ユダヤ人たちは自分達の権威を認めない、この人を会堂から追放した。
―ヨハネ9:33-34「『あの方が神のもとから来られたのでなければ、何もおできにならなかったはずです』。彼らは『お前は全く罪の中に生まれたのに、我々に教えようというのか』と言い返し、彼を外に追い出した。」
２．いやしから救いへ
・男は見えない目を見えるようにされたが、そのことによって新しい困難を招いた。会堂からの追放は、ユダヤ人社会からの追放を意味した。イエスはそのことを聞いて、男を探し出して来られた。
―ヨハネ9：35「イエスは彼が外に追い出されたことをお聞きになった。そして彼に出会うと、『あなたは人の子を信じるか』と言われた。」
・人の子＝メシア、神の子の意味である。男はイエスが誰か知らないので、その人を教えてくださいと答えた。
―ヨハネ9:36「彼は答えて言った。『主よ、その方はどんな人ですか。その方を信じたいのですが。』」
・イエスは言われた「私がそうだ」。男はイエスの前に跪いた。いやしを通して救いが為された。
―ヨハネ9:37-39「イエスは言われた。『あなたは、もうその人を見ている。あなたと話しているのが、その人だ』。彼が、『主よ、信じます』と言って、ひざまずくと、イエスは言われた。『私がこの世に来たのは、裁くためである。こうして、見えない者は見えるようになり、見える者は見えないようになる。』」
・体がいやされても、体はまた死ぬ。私たちが求めるべきはいやしではなく、救いだ。ライ病をいやされた10人の内9人は戻ってこなかった。彼らはいやしと救いの区別が見えなかったのだ。
―ルカ17:17-19「イエスは言われた。『清くされたのは十人ではなかったか。ほかの九人はどこにいるのか。この外国人のほかに、神を賛美するために戻って来た者はいないのか』。イエスはその人に言われた。『立ち上がって、行きなさい。あなたの信仰があなたを救った』」
・見えない者は見えるようになり、見える者は見えないようになる。パリサイ人は熱心に神を礼拝していると思っていたが、実は自分を拝んでいることが明らかになった。
―ヨハネ9:40-41「ファリサイ派の人々は、これらのことを聞いて、『我々も見えないということか』と言った。イエスは言われた。『見えなかったのであれば、罪はなかったであろう。しかし、今、見えるとあなたたちは言っている。だから、あなたたちの罪は残る』」
・見えないことを認める。自分が罪人であることを認める。救いはそこから始まる。イエスと共に十字架につけられた男の回心は私たちを勇気付ける。救いは遅いと言うことはないのだ。
―ルカ23:42-43「『イエスよ、あなたの御国においでになるときには、私を思い出してください』と言った。するとイエスは、『はっきり言っておくが、あなたは今日私と一緒に楽園にいる』と言われた。」