１．イエスとヨハネ
・イエスはヨハネから洗礼を受けてその公的活動を始められたが、やがてヨハネの元を離れて独自の活動を開始された。共に洗礼運動を行うヨハネ共同体とイエス共同体の間に軋轢が生じ始めていた。
―ヨハネ3:22-23「イエスは弟子たちとユダヤ地方に行って、そこに一緒に滞在し、洗礼を授けておられた。他方、ヨハネは、サリムの近くのアイノンで洗礼を授けていた。そこは水が豊かであったからである。人々は来て、洗礼を受けていた。」
・イエス共同体で洗礼を授けていたのは弟子たちである（ヨハネ4：2）。その弟子たちとヨハネの弟子たちの間で清めについての論争が起きた。ヨハネとイエスの洗礼のどちらが清めの力を持っているかの論争である。
―ヨハネ3:25 「ところがヨハネの弟子たちと、あるユダヤ人との間で、清めのことで論争が起こった。」
・ヨハネの弟子たちは、イエスがヨハネから洗礼を受けた新参者であるのに、今ではヨハネをしのぐ勢力になったことを快く思っていない。その妬みが、イエス共同体のことをヨハネに告発する言動となる。
―ヨハネ3:26「彼らはヨハネのもとに来て言った。『ラビ、ヨルダン川の向こう側であなたと一緒にいた人、あなたが証しされたあの人が、洗礼を授けています。みんながあの人の方へ行っています。』」
・それに対して、ヨハネは「人は天から受けなければ何も出来ない。あの方がメシアであって私はそうではないのだ」と弟子たちを諭す。ヨハネは神のために第二義的な仕事をすることをいとわなかった。
―ヨハネ3:27-28「ヨハネは答えて言った。『天から与えられなければ、人は何も受けることができない。私は、自分はメシアではないと言い、自分はあの方の前に遣わされた者だと言ったが、そのことについては、あなたたち自身が証ししてくれる。』
・ヨハネは自分が主役ではなく、主役はイエスであり、イエスの登場によって自分の役割が終わったと理解した。私たちも偉大な脇役に徹する必要がある。宣伝えるべきは神の言葉であり、私たちの意見ではない。
―ヨハネ3:29-30「花嫁を迎えるのは花婿だ。花婿の介添え人はそばに立って耳を傾け、花婿の声が聞こえると大いに喜ぶ。だから、私は喜びで満たされている。あの方は栄え、私は衰えねばならない。」
・教会の形成も同じだ。形成されるのは神であり、私たちは為すべきことを為すだけである。その結果、他の教会が栄えるならば、その栄を喜ぶ。
―?コリ3:6-8「私は植え、アポロは水を注いだ。しかし、成長させてくださったのは神です。ですから、大切なのは、植える者でも水を注ぐ者でもなく、成長させてくださる神です。植える者と水を注ぐ者とは一つですが、それぞれが働きに応じて自分の報酬を受け取ることになります。」
２．天から来られる方
・メシアという光が来た。自分の罪を認め、光の前にひれ伏す者にとって光は救いとなる。しかし、あくまでも自分は正しいと言い張るものに対しては光は裁きとなる。
―ヨハネ3:20-21「悪を行う者は皆光を憎み、その行いが明るみに出されるのを恐れて、光の方に来ないからである。しかし真理を行う者は光の方に来る。その行いが神に導かれてなされたということが、明らかになるために。」
・だが、世の多くの人々はこの光を受け容れない。
―ヨハネ3:31-32「上から来られる方は、すべてのものの上におられる。地から出る者は地に属し、地に属する者として語る。天から来られる方は、すべてのものの上におられる。この方は、見たこと、聞いたことを証しされるが、だれもその証しを受け入れない。」
・信じるものには恵みが、信じないものには神の怒りが与えられる。
―ヨハネ3:36「 御子を信じる人は永遠の命を得ているが、御子に従わない者は、命にあずかることがないばかりか、神の怒りがその上にとどまる。」
・私たちの前には命と死が、祝福と呪いが共に置かれている。どちらを選択するのかは私たちの責任だ。
―申命記30:15-20「見よ、私は今日、命と幸い、死と災いをあなたの前に置く。私が今日命じるとおり、あなたの神、主を愛し、その道に従って歩み、その戒めと掟と法を守るならば、あなたは命を得、かつ増える。・・・もしあなたが心変わりして聞き従わず、惑わされて他の神々にひれ伏し仕えるならば、私は今日、あなたたちに宣言する。あなたたちは必ず滅びる。・・・私は今日、天と地をあなたたちに対する証人として呼び出し、生と死、祝福と呪いをあなたの前に置く。あなたは命を選び、あなたもあなたの子孫も命を得るようにし、 あなたの神、主を愛し、御声を聞き、主につき従いなさい。」