江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2024年8月29日祈祷会(エレミヤ書2章、大国の間を揺れ惑うイスラエルの罪)

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1.アッシリアとエジプトの間で

 

・エレミヤが召命を受けた前626年はヨシヤ王治世13年、アッシリア帝国は北イスラエル王国を滅ぼし(前722年)、南ユダ王国を支配下に置いていた。しかしアッシリアの国力衰退と共に、ユダでは反アッシリアの動きが強まり、ヨシヤ王は北の領土回復を行い、南北統一の再建を目指していた。しかし国土は復興しても、人々は相変わらず異教の神々を拝み、社会正義は後退していた。その中でエレミヤは民の背反を問い始める。

-エレミヤ2:1-3「主の言葉が私に臨んだ。行って、エルサレムの人々に呼びかけ、耳を傾けさせよ。主はこう言われる。私はあなたの若いときの真心、花嫁のときの愛、種蒔かれぬ地、荒れ野での従順を思い起こす。イスラエルは主にささげられたもの、収穫の初穂であった。それを食べる者はみな罰せられ、災いを被った、と主は言われる」。

・イスラエルは神に選ばれた選民、神の花嫁であったのに、夫を裏切り、他の男になびいた。「エジプトの奴隷から解放し、荒野の旅を守り、豊かな地に導きいれた主を忘れ、偶像神バアルにひざまずいた」とエレミヤは告発する。

-エレミヤ2:5-8「主はこう言われる。お前たちの先祖は、私にどんな落ち度があったので、遠く離れて行ったのか・・・彼らは尋ねもしなかった『主はどこにおられるのか、私たちをエジプトの地から上らせ、あの荒野・・・に導かれた方は』と。私は、お前たちを実り豊かな地に導き、味の良い果物を食べさせた。ところが、お前たちは私の土地に入ると、そこを汚し、私が与えた土地を忌まわしいものに変えた。・・・律法を教える人たちは私を理解せず、指導者たちは私に背き、預言者たちはバアルによって預言し、助けにならぬものの後を追った」。

・彼らはイスラエルの神、生ける水の源を捨てて、偶像の神、役にも立たない水溜めを求めた。

-エレミヤ2:13「まことに、わが民は二つの悪を行った。生ける水の源である私を捨てて、無用の水溜めを掘った。水をためることのできない、こわれた水溜めを」。

・その結果何が生まれたか、若獅子(アッシリア)は北王国を滅ぼし、南王国を隷属させた。やがて来るエジプト人はあなたたちの頭をそり上げるだろう。アッシリアの支配から逃れようとしたイスラエルはこの後エジプトに制圧され、エジプトの植民地になっていく。

-エレミヤ2:14-16「イスラエルは奴隷なのか、家に生まれた僕であろうか。それなのに、どうして捕らわれの身になったのか。若獅子が彼に向かってほえ、うなり声をあげた。彼の地は荒れ地とされ、町々は焼き払われて、住む人もなくなった。(エジプトの)メンフィスとタフパンヘスの人々も、あなたの頭をそり上げる」

 

2.姦淫~主に依り頼まない罪

 

・エレミヤは、「あなたたちの主への背信が外国の軍隊を国内に侵略させるという神の裁きを招いた」と語る。「アッシリアもエジプトもあなた方ユダの民を打つ神の鞭だ」と。

-エレミヤ2:17-19「あなたの神なる主が、旅路を導かれた時、あなたが主を捨てたので、このことがあなたの身に及んだのではないか。それなのに、今あなたはエジプトへ行って、ナイルの水を飲もうとする。それは、一体どうしてか。また、アッシリアへ行って、ユーフラテスの水を飲もうとする。それは、一体どうしてか。あなたの犯した悪が、あなたを懲らしめ、あなたの背信が、あなたを責めている。あなたが、私を畏れず、あなたの神である主を捨てたことが、いかに悪く、苦いことであるかを味わい知るがよいと万軍の主なる神は言われる」。

・良いぶどうの木として植えられたあなた方が、何故悪い野ぶどうになったのか。あなた方の悪は洗っても消えない。あなた方はアッシリアやエジプトの神々へ拝礼し、土着神バアルを礼拝し、性的に放縦に振る舞い、幼児を人柱として捧げた。なぜそのような偶像礼拝に陥ったのか。

-エレミヤ2:21-22「私はあなたを、甘いぶどうを実らせる、確かな種として植えたのに、どうして私に背いて、悪い野ぶどうに変わり果てたのか・・・私の目には、罪があなたに染みついていると主なる神は言われる」。

・神は懲らしめのためにアッシリアを送り、北王国を崩壊させ、南王国を植民地とさせたのに、まだ罪を認めないのか。お前たちは私が送った預言者たちを殺して、正しい声を聞こうとはしなかった(前王マナセ時代に多くの預言者たちが虐殺され、イザヤもこの時に鋸で挽かれて殉教したと伝えられる)。

-ヘブル11:37-38「彼らは石で打ち殺され、のこぎりで引かれ、剣で切り殺され、羊の皮や山羊の皮を着て放浪し、暮らしに事欠き、苦しめられ、虐待され、荒れ野、山、岩穴、地の割れ目をさまよい歩きました。世は彼らにふさわしくなかったのです」。

・エレミヤは民の罪を嘆く。

-エレミヤ2:29-30「なぜ私と争い、私に背き続けるのか、と主は言われる。私はお前たちの子らを打ったが、無駄であった。彼らは懲らしめを受け入れなかった。獅子が滅ぼし尽くすように、お前たちは預言者を剣の餌食とした」。

・エレミヤは警告する。「アッシリアによって辱められたあなたがたは、今度はエジプトにも辱められる。

-エレミヤ2:36-37「なんと軽率にお前は道を変えるのか。アッシリアによって辱められたように、エジプトにも辱められるであろう。そこからも、お前は両手を頭に置いて出て来る。主はお前が頼りにしているものを退けられる。彼らに頼ろうとしても成功するはずがない」。

*前609年にユダヤはエジプトとの戦いに敗れ、その属国となる。

 

3.現代の日本と対比する(2024年8月13日朝日新聞から)。

 

・イスラエルは強国アッシリアと大国エジプトの間で揺れ動き、主に依り頼まなかった。神ではなく、人に頼ることこそ偶像礼拝の本質であり、姦淫である。冷戦時代、日本は米ソの間を揺れ動き、現在は米中の間を揺れ動く。今日本にはアメリカの軍隊が駐留する。外国軍隊が駐留する国が独立国でありうるのか。特に基地が集中する沖縄は当時のユダ国と酷似している。沖縄は米軍が実質的に支配し、日本は口出しできない。その根拠になっているのが日米地位協定である。

-鹿児島県・屋久島沖で昨23年11月、米軍CV22オスプレイが墜落した際に、防衛省や海上保安庁、地元漁協などが捜索に協力した一方、回収した漂流物はすべて米軍に引き渡され、調査は米側が行った。機体の引き揚げも本国から派遣された米艦が実施。今年24年3月のオスプレイ飛行再開や8月の最終調査結果発表の際も、日本政府は米側の判断を関係自治体などに説明することに終始した。

-米軍は近年、台湾有事を念頭に、基地に依存せず分散して部隊を移動させながら攻撃や補給の「前線基地」をつくる構想「遠征前進基地作戦(EABO)」に軸足を置く。日本国内の空港・港湾の使用も想定しているとみられ、23年の国内民間空港への米軍機着陸回数は453回と過去10年で最多となっている。日米の軍事一体化が進み、沖縄以外の日本国内での米軍の活動は活発化している。

-沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故は、日米地位協定が米軍に特権を与えていることを顕在化させたが、地位協定の不平等性は、日本全国の問題と受け止められてこなかった。米軍基地が沖縄に集中していることで、「地位協定は沖縄の問題」と国民の多くが認識してきたためだ。そうした世論が、地位協定の改定を求めない日本政府の姿勢を支えてきた。

-しかし安全保障環境が変わる今、「本土の沖縄化」が進む。中国の軍事力増強に伴い、相対的に世界での優位性が揺らぐ米国は同盟国の力を必要とし、日米の軍事的一体化を進めている。同時に、中国に近い沖縄に基地が集中する状況は軍事的に脆弱だとして、有事の際に兵力を本土などへ分散する戦略を描く。米軍は本土の米軍基地や自衛隊基地でも訓練を増やしており、日本列島全体が米中対立の最前線になっている。今後は本土でも米軍による事件や事故が増え、国内法が適用できなかったり、日本の警察が事件や事故を十分に捜査できなかったりといった問題が各地で起きる可能性がある。

-米国は今、これまで以上に日本を必要としている。日本はそれに応え、自衛隊と米軍の指揮統制の連携を強化するなど、関係を深めている。米軍が兵力の分散化を進めるとともに日米関係のバランスに変化が生じているこの機会をテコに、日本政府は沖縄の基地負担軽減と地位協定改定を求め、問題を動かすべきだとの意見も根強い。前身の「日米行政協定」は占領期につくられ、米軍の特権が色濃く反映された。1960年の日米安保改定とともに、日米地位協定に改められたが骨格は温存された。例えば、米軍による事件事故は「公務中」とされた場合「米軍の刑事裁判権が優先」(17条)と定められ、米軍が裁判権を放棄しない限り、日本は逮捕、起訴できない。近年の米軍機事故では米側が乗員名の照会にも応じず、被疑者不詳のまま書類送検され、検察が不起訴とする事例が続く。

-米軍機の訓練も制限できない。航空法の大半は適用除外、「基地の管理権」も幅広く認め、米国は基地内で「必要なすべての措置を執ることができる」(3条)。発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が基地周辺で高濃度に検出され、基地内での汚染が疑われても、米軍は日本側の立ち入り調査を拒否している。米国は各国と地位協定を結んでいるが、ドイツやイタリアでは米軍機事故が相次いだ後に見直され、訓練の規制や基地内への立ち入り権が実現。韓国も2度改定を経験しているが、日本政府は改定を求めず「運用改善」で対応する姿勢を続け、一度も改定されていない。今の日本にとって最重要課題は日米地位協定の改訂であるにも関わらず、その動きは全くない。

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