江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2022年1月6日祈祷会(詩編83篇、敵からの救済を求める祈り)

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1.四方を敵に囲まれて

 

・詩編83篇は四方の敵からの救済を求める祈りである。弱小の民イスラエルはその歴史において、しばしば民族絶滅の危機にさらされてきた。敵は常に侵略の機会をうかがい、神の助けなしにイスラエルは生き残ることが出来ない。詩人は「神よ、沈黙しないで下さい。あなたが沈黙すれば私たちは滅ぼされてしまいます」と祈る。

-詩編83:2-5「神よ、沈黙しないでください。黙していないでください。静まっていないでください。御覧ください、敵が騒ぎ立っています。あなたを憎む者は頭を上げています・・・彼らは言います『あの民を国々の間から断とう。イスラエルの名が再び思い起こされることのないように』と」。

・イスラエルは大国の狭間にある小国であり、常にエジプトとメソポタミヤの世界帝国からの侵略を受けて来た。また、近隣にはエドム、モアブ、アンモン、ミディアン、ペリシテ等の異民族がおり、争いを繰り返してきた。6節以降にはイスラエルと争いを繰り返してきた諸民族が挙げられているが、これは具体的な歴史的危機というよりも、これまでに訪れた危機を普遍的に語っているのであろう。

-詩編83:6-9「彼らは心をひとつにして謀り、あなたに逆らって、同盟を結んでいます。天幕に住むエドム人、イシュマエル人、モアブ、ハガル人。ゲバル、アンモン、アマレク、ペリシテとティルスの住民。アッシリアもそれに加わり、ロトの子らに腕を貸しています」。

・10節以下は過去において、侵略してきたミデイアン人を撃退し、カナンの将軍たちを打ち破った士師時代を取り上げ、あの時のようにあなたが介入して下さいと祈る。

-詩編83:10-13「これらの民に対しても、なさってください、あなたが、かつてミディアンになさったように、キション川のほとりでシセラとヤビンになさったように。エン・ドルで彼らは滅ぼされ、大地の肥やしとされました。これらの民の貴族をオレブとゼエブのように、王侯らをゼバとツァルムナのようにしてください」。

・詩人は訴える「敵は神の住まいを我らのものにしようと言っています。あなたは私たちをご自分の民として選ばれた。だから私たちを抹殺しようとする敵の陰謀はあなたに対する敵対行為なのです」と。

-詩編83:14-16「私の神よ、彼らを車の輪のように、風に巻かれる藁のようにしてください。火の手が林を焼くように、炎が山々をなめるように。あなたの嵐によって彼らを追い、あなたのつむじ風によって恐れさせてください」。

 

2.沈黙しないでください

 

・自分たちの国がいつ滅ぼされるかという緊張感こそが、イスラエルを信仰の民にしてきた。神が何故イスラエルを選び、イスラエルを通して世界の民族を救おうとされてきたのかの鍵がここにあるのだろう。

-申命記7:6-8「あなたは、あなたの神、主の聖なる民である。あなたの神、主は地の面にいるすべての民の中からあなたを選び、御自分の宝の民とされた。主が心引かれてあなたたちを選ばれたのは、あなたたちが他のどの民よりも数が多かったからではない。あなたたちは他のどの民よりも貧弱であった。ただ、あなたに対する主の愛のゆえに・・・主は力ある御手をもってあなたたちを導き出し、エジプトの王、ファラオが支配する奴隷の家から救い出されたのである」。

・緊張感がない時、「安全はタダであり、生活の糧は自分で稼いでいる、誰の世話にもなっていない」という考えに陥りやすい。日本ではキリスト者が少数に対し、韓国では多くの人が信仰に入ったのは、この緊張感の差ではないだろうか。韓国の教会進展の背景には戦前は日本の植民地支配からの解放が、戦後は共産主義からの脅威があった。

-申命記8:17-18「あなたは『自分の力と手の働きで、この富を築いた』などと考えてはならない。むしろ、あなたの神、主を思い起こしなさい。富を築く力をあなたに与えられたのは主であり、主が先祖に誓われた契約を果たして、今日のようにしてくださったのである」。

・緊張感のない時、民は堕落する。ヨハネ黙示録では、緊張感をなくしたラオディキア教会に対して、「あなたは熱くも冷たくもなく、なまぬるいので、私はあなたを口から吐き出そうとしている」と警告される。ラオディキアは商業都市として栄え、豊かさを誇った。経済的な豊かさの中で、教会の信仰は自己満足的な、生ぬるい信仰に堕していった。キリストと出会いながら、キリストへの服従も隣人への奉仕もせず、無関心と不徹底な信仰生活を送る現代の教会への警告と見るべきであろう。

―黙示録3:15-17「私はあなたの行いを知っている。あなたは、冷たくもなく熱くもない。むしろ、冷たいか熱いか、どちらかであってほしい。熱くも冷たくもなく、なまぬるいので、私はあなたを口から吐き出そうとしている。あなたは、私は金持ちだ。満ち足りている。何一つ必要な物はないと言っているが、自分が惨めな者、哀れな者、貧しい者、目の見えない者、裸の者であることが分かっていない」。

・最後に詩人は敵への打撃を通して、「あなたこそ全地を統治する方であることを彼らが知りますように」と祈る。そこには単に敵の滅びを願う気持ちよりも、敵が悔い改めてあなたの民になりますようにとの祈りがある。

-詩編83:17-19「彼らの顔が侮りで覆われるなら、彼らは主の御名を求めるようになるでしょう。彼らが永久に恥じ、恐れ、嘲りを受けて、滅びますように。彼らが悟りますように、あなたの御名は主、ただひとり、全地を超えて、いと高き神であることを」。

 

3.詩篇83編の黙想

 

・弱小の民、イスラエルは常に国家滅亡の危機に遭遇している。前721年にアッシリアに征服された北イスラエル王国は、捕囚地で民族が消滅した。歴史書はそれを民の罪の故と記述する。

-列王記下17:6-8「ホシェアの治世第九年にサマリアを占領した。彼はイスラエル人を捕らえてアッシリアに連れて行き、ヘラ、ハボル、ゴザン川、メディアの町々に住ませた。こうなったのは、イスラエルの人々が、彼らをエジプトの地から導き上り、エジプトの王ファラオの支配から解放した彼らの神、主に対して罪を犯し、他の神々を畏れ敬い、主がイスラエルの人々の前から追い払われた諸国の民の風習と、イスラエルの王たちが作った風習に従って歩んだからである」。

・南のユダ王国はバビロニア軍の侵略により、エルサレムは陥落し、民はバビロンの地に捕囚となった。彼らも滅びてもおかしくない状況に置かれたが、預言者たちによる励ましと希望の故に彼らは生き残った。

-エレミヤ29:10-14「主はこう言われる『バビロンに七十年の時が満ちたなら、私はあなたたちを顧みる。私は恵みの約束を果たし、あなたたちをこの地に連れ戻す』。『私は、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている』と主は言われる。それは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるものである。『そのとき、あなたたちが私を呼び、来て私に祈り求めるなら、私は聞く。私を尋ね求めるならば見いだし、心を尽くして私を求めるなら、私に出会うであろう』と主は言われる。『私は捕囚の民を帰らせる。私はあなたたちをあらゆる国々の間に、またあらゆる地域に追いやったが、そこから呼び集め、かつてそこから捕囚として追い出した元の場所へ連れ戻す』と主は言われる」。

・捕囚からの帰還後も危機は継続した。エステル記はその間の事情を記す。

-エステル記3:12-13「第一の月の十三日に、王の書記官が召集され、総督、各州の長官、各民族の首長にあてて・・・勅書が書き記された。・・・急使はこの勅書を全国に送り届け、第十二の月、すなわちアダルの月の十三日に、しかもその日のうちに、ユダヤ人は老若男女を問わず一人残らず滅ぼされ、殺され、絶滅させられ、その持ち物は没収されることとなった」。

・ユダヤ人の行く末を嘆くモルデカイは、王妃エステル(モルデカイの養女)に王への説得を依頼し、その時にモルデカイが言った言葉、「この時のためにこそあなたはいる」は印象深い。エステルは死を覚悟してアハシュエロス王を説得し、危機を回避した。「私たちがその時、勇気を持って与えられた役割を果たすかどうかの岐路に立つ時」、この言葉が響いてくる。

-エステル記4:14「この時にあたってあなたが口を閉ざしているなら、ユダヤ人の解放と救済は他のところから起こり、あなた自身と父の家は滅ぼされるにちがいない。この時のためにこそ、あなたは王妃の位にまで達したのではないか」。

・ペルシャ時代にはイスラエルはペルシャの一領国に過ぎず、独自の軍事力を持つことを禁じられた、それ故にこそ、イスラエルは国の安全を「神」に委ねた。戦後の日本は、国の安全をアメリカとの軍事同盟と核の傘に委ねているが、それは聖書的にはエジプトとアッシリアに頼り、国を滅ぼしたイスラエルと同じに思える。日本に駐留するアメリカ軍は今でも占領軍であり、日本の支配権の外にある。日本は「非武装中立」という憲法9条の思想を戦後掲げてきたが、それに信任できない支配者は、アメリカとの同盟(隷属)に安全を委ねて来た。それで良いのか、教会は神信仰の視点から憲法9条問題を議論すべきと思える。

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