江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2020年5月7日祈祷会(列王記下25章、国の滅亡の後で)

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1.エルサレムの徹底的な破壊

 

・前597年エルサレムを占領したバビロン軍はヨヤキン王を廃位し、ゼデキヤを新王に立てた。ゼデキヤは当初バビロンに忠誠を誓うが、やがて反乱を起こす。エルサレムはバビロンの大軍に囲まれた。攻防は1年半も続き、城内は深刻な飢饉に襲われる。哀歌は人々が自分の子さえ煮炊きして食べたことを伝える。

-哀歌4:4-10「乳飲み子の舌は渇いて上顎に付き、幼子はパンを求めるが、分け与える者もいない・・・彼らの容姿は煤よりも黒くなり、街で彼らと気づく者もないほどになり、皮膚は骨に張り付き、枯れ木のようになった。剣に貫かれて死んだ者は、飢えに貫かれた者より幸いだ・・・憐れみ深い女の手が自分の子供を煮炊きした。私の民の娘が打ち砕かれた日、それを自分の食糧としたのだ」。

・エルサレムの城壁は破られ、バビロン軍は城内になだれ込み、神殿も王宮も焼かれ、王子たちは殺され、王は目をえぐられてバビロンに連行された(列王記下25章、エレミヤ52章)。

-列王記下25:2-7「都は包囲され、ゼデキヤ王の第十一年に至った。その月の九日に都の中で飢えが厳しくなり、国の民の食糧が尽き、都の一角が破られた。カルデア人が都を取り巻いていたが、戦士たちは皆、夜中に王の園に近い二つの城壁の間にある門を通って逃げ出した。王はアラバに向かって行った。カルデア軍は王の後を追い、エリコの荒れ地で彼に追いついた。王の軍隊はすべて王を離れ去ってちりぢりになった。王は捕らえられ、リブラにいるバビロンの王のもとに連れて行かれ、裁きを受けた。彼らはゼデキヤの目の前で彼の王子たちを殺し、その上でバビロンの王は彼の両眼をつぶし、青銅の足枷をはめ、彼をバビロンに連れて行った」。

・エルサレム神殿は燃やされ、その宝物は略奪された。祭司や官吏たちは殺された。

-列王記下25:18-21「親衛隊の長は、祭司長セラヤ、次席祭司ツェファンヤ、入り口を守る者三人を捕らえた。また彼は、戦士の監督をする宦官一人、都にいた王の側近五人、国の民の徴兵を担当する将軍の書記官、および都にいた国の民六十人を都から連れ去った。親衛隊の長ネブザルアダンは彼らを捕らえて、バビロンの王のもとに連れて行った。バビロンの王は彼らを打ち殺した」。

 

2.国の滅亡の後で

 

・国は滅びた。バビロン王はゲダルヤを総督として立てたが、国内の主戦派はゲダルヤを殺してエジプトに逃げた。出エジプトの民がエジプトに逃亡した。エレミヤも強いられてエジプトに連行され、そこで死んだ。

-列王記下25:22-26「バビロンの王ネブカドネツァルは、彼が残してユダの地にとどまった民の上に、シャファンの孫でアヒカムの子であるゲダルヤを総督として立てた。すべての軍の長たちはその部下と共に・・・ミツパにいるゲダルヤのもとに集まって来た・・・ゲダルヤは・・・言った『カルデア人の役人を恐れてはならない。この地にとどまり、バビロンの王に仕えなさい。あなたたちは幸せになる』。ところが第七の月に、王族の一人、エリシャマの孫でネタンヤの子であるイシュマエルが、十人の部下を率いて来てゲダルヤを打ち殺した。・・・民は皆、上の者から下の者まで、また軍の長たちも、カルデア人を恐れて、直ちにエジプトに出発した」。

・全ては滅んだ。しかし主はその滅びの中から、新しい命を起こされる。列王記は、捕らえられてバビロンで37年間獄中にあったヨヤキンがバビロン王の恩赦で釈放され、王の食卓につく者となったことで筆を置く。この出来事の中に列王記の記者は望みをいだく。歴史を支配される主への信仰がそこにある。

-列王記下25:27「ユダの王ヨヤキンが捕囚となって三十七年目の第十二の月の二十七日に、バビロンの王エビル・メロダクは、その即位の年にユダの王ヨヤキンに情けをかけ、彼を出獄させた」。

・このヨヤキン(エコンヤ)の末としてイエスが生まれられたとマタイは記述する。マタイは「神は滅ぼしても再び生かされる方だ」とその系図を通して証言する。

-マタイ1:12-16「バビロンへ移住させられた後、エコンヤはシャルティエルをもうけ、シャルティエルはゼルバベルを・・・マタンはヤコブを、ヤコブはマリアの夫ヨセフをもうけた。このマリアからメシアと呼ばれるイエスがお生まれになった」。

・この希望はエレミヤ書の中にもある。エレミヤは国の滅亡の中で新しい契約の幻を聞いた。

-エレミヤ31:27-29「見よ、私がイスラエルの家とユダの家に、人の種と動物の種を蒔く日が来る、と主は言われる。かつて、彼らを抜き、壊し、破壊し、滅ぼし、災いをもたらそうと見張っていたが、今、私は彼らを建て、また植えようと見張っている、と主は言われる。その日には、人々はもはや言わない『先祖が酸いぶどうを食べれば子孫の歯が浮く』と」。

・その新しい契約はイエスの誕生によって成就したとルカは記す。

-ルカ22:20「食事を終えてから、杯も同じようにして言われた。『この杯は、あなたがたのために流される、私の血による新しい契約である』」。

 

  1. エレミヤ書に見る国の滅亡

 

・ユダ王国は前587年にバビロンによって滅ぼされた。歴史上、多くの民族が滅ぼされ、歴史の中に埋没して行ったが、イスラエルは滅びず、50年後に彼らは捕囚地より帰還した。彼らを支えたのはエレミヤの回復預言であった。

-エレミヤ書29:10-14「主はこう言われる。バビロンに七十年の時が満ちたなら、私はあなたたちを顧みる。私は恵みの約束を果たし、あなたたちをこの地に連れ戻す。私は、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている、と主は言われる。それは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるものである。そのとき、あなたたちが私を呼び、来て私に祈り求めるなら、私は聞く。私を尋ね求めるならば見いだし、心を尽くして私を求めるなら、私に出会うであろう、と主は言われる。私は捕囚の民を帰らせる。私はあなたたちをあらゆる国々の間に、またあらゆる地域に追いやったが、そこから呼び集め、かつてそこから捕囚として追い出した元の場所へ連れ戻す、と主は言われる」。

・バルクはユダの貴族出身であり、父親や兄弟は政府の高官であった。彼はエレミヤの救国預言に感動し、その弟子となり、彼の預言を筆記し、エレミヤの代わりに神殿で代読した。そのことによって「民は悔い改め、ユダは救済される」と思った。王国滅亡18年前の前605年のことであった。

-エレミヤ36:4-8「バルクはエレミヤの口述に従って、主が語られた言葉をすべて巻物に書き記した。エレミヤはバルクに命じた『私は主の神殿に入ることを禁じられている。お前は断食の日に行って、私が口述したとおりに書き記したこの巻物から主の言葉を読み、神殿に集まった人々に聞かせなさい・・・この民に向かって告げられた主の怒りと憤りが大きいことを知って、人々が主に憐れみを乞い、それぞれ悪の道から立ち帰るかもしれない』」。

・しかし時の王エホヤキムはエレミヤとバルクを捕えるように命じ、二人は身を隠した。その後もエレミヤは預言を続けたが、誰もエレミヤの言葉に聞かず、逆にエレミヤを逮捕し、投獄した。この時、エレミヤは弱音を吐いた。その言葉が45章1-3節の言葉であろう。

-エレミヤ45:1-3「ユダの王ヨシヤの子ヨヤキムの第四年に、ネリヤの子バルクは、預言者エレミヤの口述に従ってこれらの言葉を巻物に書き記した。そのとき、エレミヤは次のように語った。『バルクよ、イスラエルの神、主は、あなたについてこう言われる。あなたは、かつてこう言った。“ああ、災いだ。主は、私の苦しみに悲しみを加えられた。私は疲れ果てて呻き、安らぎを得ない”』」。

・それから18年、国は滅び、生き残った人々はバビロン軍を恐れてエジプトに逃げ、エレミヤもバルクも無理やりにエジプトに連れ去られた。エレミヤは「ユダに戻れ、神の怒りを受け入れよ」と預言するが、人々は聞かなかった。エレミヤの最後の預言も人々に受け入れられることはなかった。エレミヤはその地で死んだと思われる。エレミヤの死を見届け、バルクは自分の師の生涯の意味、そして自分の働きの意味を考え込まざるを得なかった「意味があったのだろうか」と。そして18年前の師の預言を思い出した「あなたは自分に大きなことを期待しているが、そのような期待を抱くな。しかしあなたはあなたの使命を持つ。その使命を果たすまでは主はあなたの命を守って下さるだろう」。この後、バルクは再びカナンの地に戻り、さらにはバビロンまで行ったと伝えられている。

・聖書外典バルク書はその次第を記す。バルク書はギリシャ語で書かれ、後代のものだといわれるが、エレミヤ亡き後のバルクの動向をうかがわせる資料であろう。それによれば、バルクはその使命を果たしてエレミヤの預言をバビロンの地に伝え、その預言がイスラエルを再生させた。彼もまたエレミヤの弟子として「大きな使命」を果たした。

-バルク書1:1-5「本書は・・・ネリヤの子バルクがバビロンで書いたものである。それはカルデア人がエルサレムを占領し、焼き払ってから五年目、かの月の七日のことである。バルクは本書をユダの王エホヤキムの子エコンヤや民全体に聞かせた・・・人々は涙を流し、断食して主に祈った」。

・イエスは世を去る前に弟子たちに言われた「人々が私を迫害したのであればあなた方も迫害する。しかしくじけるな。私は既に世に勝っている」。死を超えた真実をエレミヤもイエスも伝えた

-ヨハネ16:33「これらのことを話したのは、あなたがたが私によって平和を得るためである。あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。私は既に世に勝っている」。

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