江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2020年1月16日祈祷会(列王記下5章、異邦人ナアマンの癒しと入信)

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1.シリアの将軍ナアマンの癒し

 

・シリアとイスラエルは長い間、戦争状態の中にあった。そのシリア軍の将軍がらい病に罹り、悩まされていた。将軍の捕虜であった少女が、イスラエルの預言者であれば病の癒しが出来ると進言し、物語は始まる。

-列王記下5:1-5「アラム王の軍司令官ナアマンは、主君に重んじられ、気に入られていた・・・この人は勇士であったが、重い皮膚病を患っていた・・・彼らはイスラエルの地から一人の少女を捕虜として連れて来て、ナアマンの妻の召し使いにしていた。少女は女主人に言った『御主人様がサマリアの預言者のところにおいでになれば、その重い皮膚病を癒してもらえるでしょうに』。ナアマンが主君のもとに行き『イスラエルの地から来た娘がこのようなことを言っています』と伝えると、アラムの王は言った『行くがよい。私もイスラエルの王に手紙を送ろう』。こうしてナアマンは銀十キカル、金六千シェケル、着替えの服十着を携えて出かけた」。

・手紙を受領したイスラエル王は驚く。シリア王が無理難題を持ちかけて戦争をしかけようとしていると曲解したからだ。

-列王記下5:6-7「彼はイスラエル王に手紙を持って行った。そこにはこうしたためられていた『今、この手紙をお届けすると共に、家臣ナアマンを送り、あなたに託します。彼の重い皮膚病を癒してくださいますように』。イスラエル王はこの手紙を読むと、衣を裂いて言った『私が人を殺したり生かしたりする神だとでも言うのか。この人は皮膚病の男を送りつけて癒せと言う・・・彼は私に言いがかりをつけようとしているのだ』」。

・エリシャはこの癒しを引き受ける。エリシャは訪ねてきたナアマンに直接会わず、「ヨルダン川に入って七度洗うように命じる」が、ナアマンはエリシャが将軍の自分に、敬意をもって応対しなかったことに腹を立て、帰る。

-列王記下5:9-12「エリシャは使いの者をやってこう言わせた『ヨルダン川に行って七度身を洗いなさい。そうすれば、あなたの体は元に戻り、清くなります』。ナアマンは・・・身を翻して、憤慨しながら去って行った」。

・ナアマンは自分の誇り、民族の誇りを失っていない。救われるためには、この誇りを捨てることが必要だ。

-列王記下5:13-14「彼の家来たちが近づいて来ていさめた『わが父よ、あの預言者が大変なことをあなたに命じたとしても、あなたはその通りなさったにちがいありません。あの預言者は、身を洗え、そうすれば清くなると言っただけではありませんか』。ナアマンは神の人の言葉どおりに下って行って、ヨルダンに七度身を浸した。彼の体は元に戻り、小さい子供の体のようになり、清くなった」。

 

2.異教社会の中でどのように信仰を守るのか

 

・このしるしを見て、ナアマンは主こそ神であることを知り、エリシャに信仰を告白する。

-列王記下5:15「彼は随員全員を連れて神の人のところに引き返し、その前に来て立った『イスラエルのほか、この世界のどこにも神はおられないことが分かりました。今この僕からの贈り物をお受け取りください』」。

・エリシャは贈り物を受け取らない。ナアマンはそのエリシャに二つのことを願う。一つは主の祭壇を築くための土を、もう一つはやむを得ず従わざるを得ない主君の神への礼拝の赦しだった。

-列王記下5:17-19「ナアマンは言った『らば二頭に負わせることができるほどの土をこの僕にください。僕は今後、主以外の他の神々に焼き尽くす献げ物やその他の生贄をささげることはしません。ただし・・・私の主君がリモンの神殿に行ってひれ伏す時・・・私もリモンの神殿でひれ伏さねばなりません・・・主がその事についてこの僕を赦してくださいますように』。エリシャは彼に『安心して行きなさい』と言った」。

・ナアマンはこの出来事を通して、信仰者に変えられている。列王記はバビロン捕囚時代にまとめられている。物語をバビロンに捕囚になっている民はどのように聞いたのか。自分たちは信じきることが出来なかった故に今、ここに捕囚になっていると思ったであろうか。

・ナアマンの信仰をイエスはほめられた。イスラエル王さえ信じない中で、異邦人ナアマンはその信仰を告白した。イエスが救いを述べてもユダヤ人はイエスを受け入れず、ただ異邦人のみがイエスを受け入れるであろうと。

-ルカ4:27-29「『預言者エリシャの時代に、イスラエルには重い皮膚病を患っている人が多くいたが、シリア人ナアマンのほかはだれも清くされなかった』。これを聞いた会堂内の人々は皆憤慨し、総立ちになって、イエスを・・・山の崖まで連れて行き、突き落とそうとした」。

・私たちは異教社会の中で、どのように自分たちの信仰を守ればよいのか。エリシャはナアマンの願いを認めた。私たちがキリスト教信仰を守る上で、仏式の葬儀に参加し、地鎮祭に列席することも認められるのだろうか。

-ローマ13:1-7「人は皆、上に立つ権威に従うべきです。神に由来しない権威はなく、今ある権威はすべて神によって立てられたものだからです・・・権威者は神に仕える者であり、そのことに励んでいるのです。すべての人々に対して自分の義務を果たしなさい。貢を納めるべき人には貢を納め、税を納めるべき人には税を納め、恐るべき人は恐れ、敬うべき人は敬いなさい」。

 

3.異教社会の中でどのように生きるのか(第一ペテロ書から学ぶ)

 

・ペテロ第一の手紙は「異教社会の中で信徒となり、嘲られ、誤解され、迫害された」信徒に宛てて書かれている。ペテロは語る「あなたがたは人から非難されない生き方をして、キリストを証しするのだ」と。

-第一ペテロ2:11-12「異教徒の間で立派に生活しなさい。そうすれば、彼らはあなたがたを悪人呼ばわりしてはいても、あなたがたの立派な行いをよく見て、訪れの日に神をあがめるようになります」。

・それは、良き市民としての義務を果たしていくことだとペテロは言う。

-第一ペテロ2:13-14「主のために、すべて人間の立てた制度に従いなさい。それが、統治者としての皇帝であろうと、あるいは、悪を行う者を処罰し善を行う者をほめるために、皇帝が派遣した総督であろうと、服従しなさい」。

・世の秩序もまた神の定めたものだ。支配者は神の代務者として支配する。神を畏れ、皇帝を敬いなさい。

-第一ペテロ2:15-17「善を行って、愚かな者たちの無知な発言を封じることが、神の御心だからです。自由な人として生活しなさい。しかし、その自由を、悪事を覆い隠す手だてとせず、神の僕として行動しなさい。すべての人を敬い、兄弟を愛し、神を畏れ、皇帝を敬いなさい」。

・しかし、支配者が神の委託を超えて偶像化する時は「人に従うよりも神に従え」と聖書は教える。それは私たちにとって、天皇代替わりや特定の祝日を祝わないことを肯定するのだろうか(バプテスト連盟は2/11建国記念の日を「信教の自由を守る日」と定義し、2/23「天皇誕生日」はこれを祝日としない)。

-使徒言行録5:29「ペトロと他の使徒たちは答えた“人間に従うよりも、神に従わなくてはなりません”」。

・どのような妥協が許され、どのようなものが信仰を裏切る行為になるのだろうか。それは一人一人が神に向き合う中で自然と決定されていくのであろう。その時、ラインホルド・ニーバーの言葉が響いてくる。

-ニーバーの祈りから「神よ、変えることの出来るものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。変えることの出来ないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。そして、変えることの出来るものと、変えることの出来ないものとを、識別する知恵を与えたまえ」。

 

*参考資料 富山鹿島町教会 藤掛順一牧師説教から(2003年7月27日)

・5章18節のナアマンの言葉は、異教社会の中で神を礼拝しつつ生きようとする者が直面する大きな問題を示している。ナアマン個人は、主なる神こそまことの神であり他には神はない、という信仰に生きる者となった。しかし彼はアラムの軍司令官であり、王に仕える者であい、アラム王はリモンという偶像神を礼拝している。彼もまた王に仕える職務上その礼拝に連なり、リモンの前にひれ伏すことを求められる。そのことを主が許してくださるようにナアマンは願う。

・ナアマンの悩みは私たち一人一人の悩みでもある。ナアマンの姿は一つの明確なあり方を示す。自分の信仰はしっかりと保ち、礼拝の生活を確保しつつ、異教の社会における職務や立場上他の神々への祭儀に連ならなければならない時はそれをしきたり通りに行う、そのことを主なる神に赦を願い、エリシャは「安心して行きなさい」と答えている。

・エリシャはナアマンに対して、「それでよい、あなたのその歩みに、主なる神が祝福と恵みと平安を満たして下さる」と約束した。ここに、異教の民の中で生きる私たちへの大切な教えがある。私たちは、異教の民の中で偶像への礼拝には絶対に連ならないと突っ張って生きる必要はない。信仰をしっかり持って生きることと、この社会における立場、関係の中で、他の宗教の祭儀に連なり、また他の宗教を信じる人々との良い交わりの内に生きることは両立できる。自己主張やプライドはもう捨てたのですから、そうすることができる。そこでこそ私たちは、伝道をすることができる。神が働いて下さるための小さなきっかけを作り出していくことができるのである。

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