江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2020年4月9日祈祷会(列王記下20章、ヒゼキヤの回復とユダヤ滅亡の預言)

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1.ヒゼキヤ王の回復

 

・列王記下18-19章では、圧倒的なアッシリアの大軍に攻められて窮地に陥ったユダ王国が、ヒゼキヤの祈りに答えられた神の奇跡的な介入によって救われた。一人の信仰者の祈りを神が聞かれ、神が行為された。列王記下20章はその前後のヒゼキヤを描く。ヒゼキヤ王は死の病に罹り、預言者イザヤは王の死を宣告する。王は主に向かって憐れみを求めて祈った。

-列王記下20:1-3「ヒゼキヤは死の病にかかった。預言者、アモツの子イザヤが訪ねて来て『主はこう言われる。あなたは死ぬことになっていて、命はないのだから、家族に遺言をしなさい』と言った。ヒゼキヤは顔を壁に向けて、主にこう祈った。『ああ、主よ、私がまことを尽くし、ひたむきな心をもって御前を歩み、御目にかなう善いことを行ってきたことを思い起こしてください』。こう言って、ヒゼキヤは涙を流して大いに泣いた」。

・主はヒゼキヤの祈りを聞かれた。主はヒゼキヤの健康を回復され、彼の命を15年延ばすと約束された。

-列王記下20:4-6「イザヤが中庭を出ないうちに、主の言葉が彼に臨んだ。『わが民の君主ヒゼキヤのもとに戻って言いなさい。あなたの父祖ダビデの神、主はこう言われる。私はあなたの祈りを聞き、涙を見た。見よ、私はあなたをいやし、三日目にあなたは主の神殿に上れるだろう。私はあなたの寿命を十五年延ばし、アッシリアの王の手からあなたとこの都を救い出す。私は私自身のために、わが僕ダビデのために、この都を守り抜く』」。

・ヒゼキヤは病気が治るしるしを求めた。主はその求めに応じて、時を逆戻りさせられた。

-列王記下20:8-11「ヒゼキヤはイザヤに言った『主が私をいやされ、私が三日目に主の神殿に上れることを示すしるしは何でしょうか・・・影が十度伸びるのは容易なことです。むしろ影を十度後戻りさせてください』。そこで預言者イザヤが主に祈ると、主は日時計の影、アハズの日時計に落ちた影を十度後戻りさせられた」。

・人は時を逆戻りさせることは出来ないが、神には出来る。求めた時にそれが御心であれば適えられる。ヒゼキヤが病の回復を感謝して歌った詩がイザヤ38章に掲載されている。旧約聖書には復活はない。旧約において、死は「陰府の門」に下ること、何の楽しみもない所へいくことだった。

-イザヤ38:10-20「私は思った。人生の半ばにあって行かねばならないのか、陰府の門に残る齢をゆだねるのか、と・・・私の生涯は羊飼いの天幕のように、引き抜かれ、取り去られてしまった。昼も夜もあなたは私の息の根を止めようとされる。夜明けまで私はそれを甘んじて受け、獅子に砕かれるように私の骨はことごとく砕かれてしまう・・・主が近くにいてくだされば、人々は生き続けます。私の霊も絶えず生かしてください。私を健やかにし、私を生かしてください・・・命ある者、命ある者のみが、今日の、私のようにあなたに感謝し、父は子にあなたのまことを知らせるのです。主よ、あなたは私を救ってくださった。私たちは命のあるかぎり主の神殿で、私の音楽を共に奏でるでしょう」。

 

2.ユダヤ滅亡の預言

 

・病がいえたヒゼキヤを、アッシリアの敵対者バビロン王の使いが見舞いに訪ねた。バビロンはアッシリアの支配下にあったメソポタミヤ南部の国であるが、アッシリアからの独立を図って、周辺諸国を反アッシリア同盟に誘い込んでいた。今回の使者も単なる病気見舞いではなく、ユダ王国との軍事同盟締結のための使者であった。ヒゼキヤは喜び、王国の宝物庫、武器庫の全てを見せた。

-列王記下20:12-13「バビロンの王、バルアダンの子メロダク・バルアダンは、ヒゼキヤが病気であるということを聞いて、ヒゼキヤに手紙と贈り物を送って来た。ヒゼキヤは使者たちを歓迎し、銀、金、香料、上等の油など宝物庫のすべて、武器庫、また、倉庫にある一切のものを彼らに見せた」。

・イザヤはヒゼキヤの愚かな行為を叱る。他国と同盟して国を守る行為こそが、「主を信頼しない」不信仰な行為であり、主の裁きを受けるであろうとイザヤは警告する。ヒゼキヤはアッシリアの脅威から逃れるために、別の狼バビロンに頼った。

-列王記下20:16-18「イザヤはヒゼキヤに言った『主の言葉を聞きなさい。王宮にあるもの、あなたの先祖が今日まで蓄えてきたものが、ことごとくバビロンに運び去られ、何も残らなくなる日が来る、と主は言われる。あなたから生まれた息子の中には、バビロン王の宮殿に連れて行かれ、宦官にされる者もある』」。

・イザヤの預言はヒゼキヤの6代後、ヨヤキン王の時に現実化する。バビロン王ネブカドネザルはエルサレムを占領し、全ての宝物と1万人の民をバビロンに運び去った。前597年第一回バビロン捕囚である。

-列王記下24:10-15「バビロンの王ネブカドネツァルの部将たちがエルサレムに攻め上って来て、この都を包囲した・・・主が告げられたとおり、バビロンの王は主の神殿の宝物と王宮の宝物をことごとく運び出し、イスラエルの王ソロモンが主の聖所のために造った金の器をことごとく切り刻んだ。・・・彼はヨヤキンを捕囚としてバビロンに連れ去り、その王の母、王妃たち、宦官たち、国の有力者たちも、捕囚としてバビロンに行かせた」。

・歴代誌の記者はヒゼキヤの愚かな行為が後の捕囚を招いたと批判する。

-歴代誌下32:25-31「ヒゼキヤは受けた恩恵にふさわしくこたえず、思い上がり、自分とユダ、エルサレムの上に怒りを招いた・・・バビロンの諸侯が、この地に起こった奇跡について調べさせるため、使節を遣わしたとき、神はヒゼキヤを試み、その心にある事を知り尽くすために、彼を捨て置かれた」。

 

3.列王記下20章の黙想~人はどのようにして死を迎えるのか

 

・ヤコブは語る「あなたがたには自分の命がどうなるか、明日のことは分からないのです。あなたがたは、わずかの間現れて、やがて消えて行く霧にすぎません。むしろ、あなたがたは、『主の御心であれば、生き永らえて、あのことやこのことをしよう」と言うべきです』」(ヤコブ4:14-15)。

・ヒゼキヤは死の病から癒されて、新たに15年の命をいただいた。死の床にあった時、ヒゼキヤは「人の命の年数は神の御手の中にあり、人は許された時間を生きるだけだ」ということを思い知った。まさにヤコブが語るように、「人は自分の命がどうなるか、明日のことは分からない。人は、わずかの間現れて、やがて消えて行く霧にすぎない」。私たちも許されて60年、70年、あるいは80年の時間を生きる存在だ。しかし同時に、「為すべきことをする」十分な時間が与えられている。

-詩編90:10-12「人生の年月は七十年程のものです。健やかな人が八十年を数えても、得るところは労苦と災いにすぎません。瞬く間に時は過ぎ、わたしたちは飛び去ります・・・生涯の日を正しく数えるように教えてください。知恵ある心を得ることができますように」。

・ヒゼキヤはイザヤの預言から「自分の在世中は平和と安定が続く」ことを聞き、感謝する。ユダの国を守るという使命を果たすだけの時間が与えられたことを感謝した。人はいつまでも健康で生きることが出来るわけではなく、いつかは死ぬ時が来る。私たちは刑の執行を猶予されている死刑囚だ。メメント・モリ=死を忘れるなという言葉は、刑の執行が猶予されていることを感謝する生き方だ。それは「食べたり飲んだりしようではないか。どうせ明日は死ぬ身ではないか」(第一コリント15:32)という投げやりな生き方ではなく、残された時間を誠実に生きる生き方、ヤコブの言う「主の御心であれば、生き永らえて、あのことやこのことをしよう」という生き方である。

・哲学者として知られる田辺元は晩年に「死の哲学(死の弁証法)」と呼ばれる哲学を構想した。その哲学の概略を示すために発表された論文が「メメント・モリ」と題されている。田辺はこの論文の中で現代を「死の時代」と規定した。近代人が生きることの快楽と喜びを無反省に追求し続けた結果、生を豊かにするはずの科学技術が却って人間の生を脅かすという自己矛盾的事態を招来し、現代人をニヒリズムに追い込んだ。田辺はこの窮状を打破するために、メメント・モリの戒告「死を忘れるな」に立ち返るべきだと主張する。

・私たちの人生には、多くの苦しみが与えられる。この苦難も信仰者にとっては祝福になる。ヒゼキヤも死の病を経験して、新しく生まれ変わった存在となった。病気になって初めてわかる祝福がある。家族や友人を失って知る大切なものがある。地上の財を奪われて初めて見える天上の宝がある。イスラエルはこの時はアッシリアから守られ、存続が許されたが、100年後にはバビロンによって国を滅ぼされ、世界に散らされ、捕囚の憂き目を味わう。しかしユダはそのことを通して、自分たちの罪を認め、神なしに生きることが出来ないことを知り、神の憐れみ深さに感謝して生きる信仰の民となった。裁きもまた恵みなのである。

・ユダヤ人はヒゼキヤの出来事から2500年の間、さまざまな苦難の中に生きて来た。彼らの目に見える地上の現実は、決して幸福なものではないが、彼らは希望を持ち続けて数千年の時を生きて来た。そして彼らの後継者である私たちも天を仰いで歌う「御国が来ますように。御心が天に行なわれるとおり、地にも行なわれますように。そのための器として、私たちをお用い下さい」と。

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