江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2018年3月1日祈祷会(ヨシュア記21章、レビ族への土地の割当)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.レビ族への土地の割り当て

・レビ族は祭司として、「土地の割り当てを受けず、イスラエル各部族から土地の分配を得よ」と主はモーセに言われた。祭司の嗣業は主ご自身であり、主が彼らを養われる。与えられるのは、生活に必要な最小限のものである。
−民数記35:1-8「主はモーセに仰せになった。『イスラエルの人々に命じなさい。嗣業として所有する土地の一部をレビ人に与えて、彼らが住む町とし、その町の周辺の放牧地もレビ人に与えなさい。町は彼らの住む所、放牧地は彼らの家畜とその群れ、その他すべての動物のためである』」。
・12部族への土地配分が終わった今、レビ族は自分たちにも約束の配分をしてほしいと申し出た。
−ヨシュア記21:1-3「レビ人の家長たちは、カナンの土地のシロにいる祭司エルアザル、ヌンの子ヨシュアと、イスラエルの人々の部族の家長たちのもとに来て、『主は、私たちに住む町と家畜の放牧地を与えるよう、モーセを通してお命じになりました』と申し出た。イスラエルの人々は、主の命令に従って、自分たちの嗣業の土地の中から次の町々とその放牧地をレビ人に与えた」。
・48の町が与えられたが、その中には6つの逃れの町も含められていた。祭司の支配する聖なる町に、過って罪を犯して追われる者が逃げ込める平安の場所が定められた。
−民数記35:6-8「あなたたちは、人を殺した者が逃れるための逃れの町を六つレビ人に与え、それに加えて四十二の町を与えなさい。レビ人に与える町は合計四十八の町とその放牧地である。イスラエルの人々の所有地の中からあなたたちが取る町については、大きい部族からは多く取り、小さい部族からは少なく取り、それぞれその受ける嗣業の土地の大きさに応じて、その町の一部をレビ人に与えなければならない」。
・逃れの町を直訳すると「cities of refuge」になるが、別の訳では「sanctuary」とある。聖所、聖域である。逃れの町が設置されたのは、シケム、ヘブロン等の聖所のある町であった。
−ヨシュア記20:7-8「彼らは、ナフタリの山地ではガリラヤのケデシュ、エフライム山地のシケム、ユダの山地ではキルヤト・アルバ、すなわちヘブロンを聖別した。エリコの東、ヨルダン川の向こう側では、ルベン族に属する台地の荒れ野にあるベツェル、ガド族に属するギレアドのラモト、マナセ族に属するバシャンのゴランをそれに当てた」。
・レビ族には 3つの氏族があった。ケハテ族、ゲルション族、メラリ族の三つで、この内、ケハテ族はアロンの子孫とそうでない者とに分けられ、アロンの子孫は他のレビ人とは区別されて、祭司の務めを受けた。彼ら祭司は主なる神とイスラエルの間の仲介者として、生贄をささげる働きを委ねられた。他のレビ人たちは、祭司の働きを助け、幕屋を管理・保護し、律法を教えたりなどの奉仕に当たった。こうしてレビ人は計四つのグループに分かれ、それぞれに町が与えられた。
−ヨシュア記21:4-7「まず、くじで割り当てを受けたのは、ケハトの諸氏族である。祭司アロンの子孫であるレビ人は、ユダ族、シメオン族、ベニヤミン族から十三の町をくじで得た。その他のケハトの人々は、エフライム族、ダン族、マナセの半部族の諸氏族から十の町をくじで得た。ゲルションの人々は、イサカル族、アシェル族、ナフタリ族、バシャン地方に住むマナセの半部族の諸氏族から十三の町をくじで得た。メラリの人々は、氏族ごとに、ルベン族、ガド族、ゼブルン族の十二の町をくじで得た。」
・「アロンの子孫」は、エルサレム神殿近く(南部)に配置されることになった。またケハテ族は、レビの二番目の息子の子孫で、契約の箱と他の幕屋の備品を運んだ氏族であり、彼らは初期イスラエルの礼拝の最初の中心地となった中央丘陵地帯を与えられている。以下、ゲルション、メラリの諸氏族は、それぞれ北部、東部の町々を与えられている。レビ人には生活するための町と、羊を飼うための牧草地が与えられたが、畑は与えられなかった。レビ族は神殿に仕えて生きることを許されているが、所有することは許されない。彼らの嗣業は主ご自身であるからだ。
−ヨシュア記21:8「イスラエルの人々はこのように、主がモーセを通して命じられたとおり、レビ人にこれらの町と放牧地をくじで分け与えた。」
-ヨシュア記k21:41-42「イスラエルの人々の所有地の中で、レビ人の町は総計四十八で、それに属する放牧地があった。どの町も例外なく周囲に放牧地を持っていた。これらの町はみなそうなっていた。」

2.全ての約束は実現した

・全ての土地の配分が終った時、ヨシュア記の著者は語る「恵みの約束は全て実現した」と。
−ヨシュア記21:43-45「主が先祖に誓われた土地をことごとくイスラエルに与えられたので、彼らはそこを手に入れ、そこに住んだ。主はまた、先祖に誓われた通り、彼らの周囲を安らかに住めるようにされたので、彼らに立ちはだかる敵は一人もなくなった。主は敵を一人残らず彼らの手に渡された。主がイスラエルの家に告げられた恵みの約束は何一つたがわず、すべて実現した」。
・私たちはヨシュアの言葉に違和感を覚える。土地の割り当ては終わったかもしれないが、土地はまだイスラエルのものにはなっていない。恵みの約束はまだ実現していないではないかと。
−ヨシュア記13:1「ヨシュアが多くの日を重ねて老人となったとき、主は彼にこう言われた。『あなたは年を重ねて、老人となったが、占領すべき土地はまだたくさん残っている』」。
・ヨセフ族に割り当てられた地もまだ占領されていない。
−ヨシュア記17:18「山地は森林だが、開拓してことごとく自分のものにするがよい。カナン人は鉄の戦車を持っていて、強いかもしれないが、きっと追い出すことができよう。」
・神は約束を守って、イスラエルの民に土地を所有させた。その約束は最初アブラハムに与えられ(創世記13:14-17)、その子孫に与えられたものである(創世記17:8)。その約束に基づいて、モーセはエジプトを脱出し、ヨシュアが引き継いでイスラエルの民をカナンへと導いた。そして約束を信じる戦いを戦い抜き、その土地を自分たちのものとした。そういう意味でこの土地のリストは、神の約束の確かさを強調している。しかしここまで来るには数百年の時を必要とした。アブラハムは生前には墓地以外には一片の地も所有しなかった。約束を信じるには忍耐が必要である。
-へブル11:13「この人たちは皆、信仰を抱いて死にました。約束されたものを手に入れませんでしたが、はるかにそれを見て喜びの声をあげ、自分たちが地上ではよそ者であり、仮住まいの者であることを公に言い表したのです。」
・信仰とは「望んでいることを確信し、まだ見ていない事実を確認することである」と言われている。しかし、未だ現実になっていない事柄を、それが神の約束であるゆえに先取りして生きることは難しい。私たちは現実の厳しさに負けそうになる。しかし、約束は与えられた時に成就する。イエスは言われた「神を信じなさい。自分の力では解決できない問題であっても、神が解決してくださる」。それを信じる時、ヨシュア記の信仰告白が理解できる。
−マルコ11:22-24「イエスは言われた。『神を信じなさい。はっきり言っておく。だれでもこの山に向かい、立ち上がって、海に飛び込めと言い、少しも疑わず、自分の言うとおりになると信じるならば、そのとおりになる。だから、言っておく。祈り求めるものはすべて既に得られたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになる』」。

3.その後のレビびと

・モーセとアロンはレビ族の出身である。イスラエルは彼らに導かれて、奴隷の地エジプトのゴシェンから脱出した。ただレビ族は12部族の中で最小の部族で、男子の人数が22,000人しかおらず、2回目の人口調査でも22,300人であった。荒野でレビ人は、アロンの監督下で幕屋の奉仕、契約の箱の運搬、聖所での奉仕に従事した。会見の天幕の奉仕は、ゲルション族、ケハテ族、メラリ族の3つに分けてなされた。レビ族において、アロンの家系は名門として特別に扱われて祭司階級を形成し、アロンの息子エルアザルの家系から大祭司が世襲で輩出された。モーセの後継者ヨシュアの時に、パレスチナ地方を占領し土地の分配が行われるが、レビ人は相続地を持たず、全国に居住の町を与えられて住んだ。そして、レビ人はその奉仕の報酬として奉納物の十分の一が給付された。
・イスラエル王国が誕生すると、神殿が建設されて、レビ人の神殿礼拝は政治と結びつくようになる。その後、イスラエル王国が北イスラエルと南ユダに分裂し、北イスラエルに住んでいたレビ族も南ユダに移住し、神殿の仕事に携わる。ただし、バビロン捕囚以降の第二神殿時代になると、レビ族は祭司を補佐する下級祭司として固定されていく。さらにヘレニズム時代以降はハスモン朝の家系から大祭司が選ばれ、ローマ帝国下ではヘロデ家の関係者が大祭司に任命され、レビびとの役割はここで歴史的に終わった。
・旧約の中で、レビ族=レビびと=祭司と考えている立場の書物(申命記、ヨシュア記〜列王記など)と、祭司はレビ族の中でもアロンの直系だけであると考え、レビ人とは祭司よりも低い務めについている人々のことと考える立場の書物(出エジプト記、民数記、歴代〜ネヘミア記、エゼキエル書など)が分かれる。

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