江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2014年2月6日祈祷会(ゼカリヤ11章、歴史の混乱の中でどう生きるか)

投稿日:2019年8月21日 更新日:

1.シリアの支配下で羊飼いたる大祭司が次々に交代していく

・ゼカリヤ9章以下はゼカリヤ黙示録と言われ、象徴的な言葉で預言が為されている。ペルシャを滅ぼし、パレスチナの支配者となったアレキサンダー以降の歴史が背景にある。アレキサンダーはペルシャを滅ぼし、エジプトを征服し、広大なヘレニズム帝国を打ち立てたが前323年に病没し、帝国は彼の将軍たちにより分割される。エジプトにはプトレマイオス帝国が、シリアにはセレウコス帝国が立てられ、両帝国がパレスチナの領有権をめぐって争い、狭間にあるユダの国土は焦土となり、民は「羊飼いのいない羊」のように翻弄される。
−ゼカリヤ11:1-3「レバノンよ、お前の門を開け。火にお前の杉を焼き尽くさせよう。糸杉よ、泣き叫べ。杉は倒れ、見事な大木も荒れ果てた。バシャンの樫の木よ、泣き叫べ。人を寄せつけなかった森も倒された。羊飼いたちの泣き叫ぶ声がする。彼らの見事な牧場は荒れ果てた。若い獅子のほえる声がする。ヨルダンの密林も荒れ果てた」。
・ペルシャ時代と続くエジプト時代には大祭司の自治が許されていたが、前198年シリアが支配権を握り、シリア王アンティオコス4世は律法の禁止、神殿へのゼウス像の持ち込み、反対者の処刑等ギリシャ化を強制し、国内は騒乱状態になる。その中で大祭司オニアス三世はシリアの支援を受けたヤソンに追放され、やがて殺される。同時代のダニエル書に描かれた「油注がれた者」はこのオニアス三世のことを指すと言われている。
−ダニエル9:26-27「その六十二週のあと油注がれた者は不当に断たれ、都と聖所は次に来る指導者の民によって荒らされる。その終わりには洪水があり、終わりまで戦いが続き、荒廃は避けられない。彼は一週の間、多くの者と同盟を固め、半週でいけにえと献げ物を廃止する。憎むべきものの翼の上に荒廃をもたらすものが座す。そしてついに、定められた破滅が荒廃の上に注がれる」。
・しかしヤソンもメネラウスに追放されて、神聖であるべき大祭司職がシリア王の動向に左右され(11:6「私はどの人もその隣人の手とその王の手に任せる」)、次から次に交代させられていく(11:8「私は一月のうちに三人の羊飼いを退けた」)。羊飼いは羊を守るためではなく、羊を食肉として売り渡し、利益を得ていく。このような無秩序・無慈悲を主は見過ごされないと第二ゼカリヤは預言する。
−ゼカリヤ11:4-9「わが神なる主はこう言われた。屠るための羊を飼え。それを買い取る者は、罪を帰せられずにそれを屠り、売るときは、『主はほめたたえられよ。私は金持ちになった』と言うが、羊飼いたちはそれを憐れまない。私はこの地の住民を再び憐れみはしない・・・私はどの人もその隣人の手とその王の手に任せる。彼らがこの地を打とうとしても、私は彼らの手から救いはしない。私は屠るための羊を、羊の商人のために飼った。私は二本の杖を手にして、一つを「好意」と名付け、もう一つを「一致」と名付けて羊を飼った。私は一月のうちに三人の羊飼いを退けた。私は彼らに我慢できなくなり、彼らも私を嫌った。そして、私は言った。『私はお前たちを飼わない。死ぬべき者は死ね。消え去るべき者は消え去れ。残った者は互いに肉を食い合うがよい』」。

2.歴史の混乱の中でどう生きるか

・シリアによる宗教弾圧の中でユダヤ国民の不満は爆発し、ハスモン家を中心とした対シリア独立戦争が起こり(マカベア戦争、前167−164年)、ユダヤは勝利し、ハスモン家のヨナタンが軍事指導者として大祭司に就任し、シリアから独立する。その代償が銀貨30枚として象徴化されて預言される。
−ゼカリヤ11:10-14「私は「好意」という私の杖を取って折り、諸国の民すべてと結んだわが契約を無効にした。その日に、それは無効にされた。私を見守ってきた羊の商人たちは、それが主の言葉であることを知った。私は彼らに言った。『もし、お前たちの目に良しとするなら、私に賃金を支払え。そうでなければ、支払わなくてもよい』。彼らは銀三十シェケルを量り、私に賃金としてくれた。主は私に言われた。『それを鋳物師に投げ与えよ。わたしが彼らによって値をつけられた見事な金額を』。私はその銀三十シェケルを取って、主の神殿で鋳物師に投げ与えた。私は「一致」という私のもう一つの杖を折り、ユダとイスラエルの兄弟の契りを無効にした」。
・銀貨30枚、奴隷の値段で、イスカリオテのユダはイエスを売り渡したとマタイはユダを非難する。マタイはゼカリヤ11:12-13がユダの裏切りにより、成就したと見ている。
−マタイ26:14-15「そのとき、十二人の一人で、イスカリオテのユダという者が、祭司長たちのところへ行き、 『あの男をあなたたちに引き渡せば、幾らくれますか』と言った。そこで、彼らは銀貨三十枚を支払うことにした」。
−マタイ27:3-5「そのころ、イエスを裏切ったユダは、イエスに有罪の判決が下ったのを知って後悔し、銀貨三十枚を祭司長たちや長老たちに返そうとして、『私は罪のない人の血を売り渡し、罪を犯しました』と言った。しかし彼らは、『我々の知ったことではない。お前の問題だ』と言った。そこで、ユダは銀貨を神殿に投げ込んで立ち去り、首をつって死んだ」。
・15節以下に語られる「愚かな羊飼い」とは、戦争に勝利し、ユダヤの支配者となったハスモン家の大祭司たちを指すのであろう。彼らは民衆を飼うことをせず、自分たちの栄華を求めて統治し、やがて前30年ローマにより滅ぼされていく。その後にローマの支援を受けたヘロデが王となり、ヘロデの時代にイエスが生れられた。
−ゼカリヤ11:15-17「主は更に私に言われた。「愚かな羊飼いの道具を取れ。見よ、私はこの地に羊飼いを起こす。彼は見失われたものを尋ねず、若いものを追い求めず、傷ついたものをいやさず、立っているものを支えもせず、肥えたものの肉を食べ、そのひづめを砕く。災いだ、羊を見捨てる無用の羊飼いたちは。剣が、その腕と右の目に差し向けられる。その腕は力を失い、右の目はかすむ」。
・小国の主権は大国の動向に左右され、その中で民衆は飼う者のいない羊の状態に置かれ、右往左往する。しかしその苦難の中から真理の言葉が紡ぎだされていく。旧約で復活の希望が出てくるのはダニエル書以降で、それは敬虔な者の殉教という困難の中で、神はこの不条理を放置されないという信仰の中から生まれた。
−ダニエル12:2-3「多くの者が地の塵の中の眠りから目覚める。ある者は永遠の生命に入り、ある者は永久に続く恥と憎悪の的となる。目覚めた人々は大空の光のように輝き、多くの者の救いとなった人々はとこしえに星と輝く」。
・ダニエルの信仰の実現としてイエスの復活があり、その希望が今日の私たちを励ましていく。
−ヨハネ11:25-26「イエスは言われた。『私は復活であり、命である。私を信じる者は、死んでも生きる。生きていて私を信じる者はだれも、決して死ぬことはない。このことを信じるか』」。
-1コリント15:20-22「しかし、実際、キリストは死者の中から復活し、眠りについた人たちの初穂となられました。死が一人の人によって来たのだから、死者の復活も一人の人によって来るのです。つまり、アダムによってすべての人が死ぬことになったように、キリストによってすべての人が生かされることになるのです」。

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