1.サウルの死の知らせ
・サウルから逃れてペリシテの地にいたダビデに、サウルと息子たちの戦死の知らせが届けられた。
―?サムエル1:1-4「ダビデはアマレク人を討ってツィクラグに帰り、二日過ごした。三日目に、サウルの陣営から一人の男がたどりついた。衣服は裂け、頭に土をかぶっていた。男はダビデの前に出ると、地にひれ伏して礼をした。ダビデは尋ねた「どこから来たのだ」。「イスラエルの陣営から逃れて参りました」と彼は答えた。「状況はどうか。話してくれ」とダビデは彼に言った。彼は言った「兵士は戦場から逃げ去り、多くの兵士が倒れて死にました。サウル王と王子のヨナタンも亡くなられました」。
・ダビデは知らせをもたらした若者にさらに詳細を語るように求める。若者は話す。
―?サムエル1:6-10「私はたまたまギルボア山におりました。そのとき、サウル王は槍にもたれかかっておられましたが、戦車と騎兵が王に迫っていました。王は振り返って私を御覧になり、お呼びになりました。『はい』とお答えすると、『お前は何者だ』とお尋ねになり、『アマレクの者です』とお答えすると、『そばに来て、とどめを刺してくれ。痙攣が起こったが死にきれない』と言われました。そこでおそばに行って、とどめを刺しました。倒れてしまわれ、もはや生き延びることはできまいと思ったからです。頭にかぶっておられた王冠と腕につけておられた腕輪を取って、御主人様に持って参りました。これでございます」
・若者の話は実際の話と異なる。傷を受けたサウルは自らを刀の上に身を投げて死んだ。男は戦場でサウルの遺体を見つけ、王冠と腕輪を盗み、報償目当てにダビデのところに来た。ダビデはうそを見抜き、この男を殺す。
―?サムエル1:14-16「ダビデは彼に言った「主が油を注がれた方を、恐れもせず手にかけ、殺害するとは何事か」。ダビデは従者の一人を呼び「近寄って、この者を討て」と命じた。従者は彼を打ち殺した」。
・サウルは自殺して果てた。聖書の記す自殺者はこのサウルとイスカリオテのユダの二人だ。人は誰も罪を、過ちを犯す。その過ちを悔いた者には命が開け、悔いぬ者には死がある。絶望の果てに神を見るかが運命を分ける。
―?コリント7:10「神の御心に適った悲しみは、取り消されることのない救いに通じる悔い改めを生じさせ、世の悲しみは死をもたらします」。
2.新しい時代の始まり
・男は、ダビデが宿敵サウルの死を喜ぶだろうと思った。しかし、ダビデはサウルの死を悲しんだ。
―?サムエル1:11-12「ダビデは自分の衣をつかんで引き裂いた。共にいた者は皆それに倣った。彼らは、剣に倒れたサウルとその子ヨナタン、そして主の民とイスラエルの家を悼んで泣き、夕暮れまで断食した」。
・それにもかかわらず、サウルの死は朗報だった。サウルが死なない限り、ダビデに王になる機会はなかった。しかし、彼は自らの手でサウルを殺すことをせず、神の審きを待った。神は約束を守られた。
―?サムエル24:11-13「今日、主が洞窟であなたを私の手に渡されたのを、あなた御自身の目で御覧になりました。そのとき、あなたを殺せと言う者もいましたが、あなたをかばって、『私の主人に手をかけることはしない。主が油を注がれた方だ』と言い聞かせました。・・・主があなたと私の間を裁き、私のために主があなたに報復されますように。私は手を下しはしません」。
・ダビデは主の導きを信じた。主が支配されておられることを信じる者は、審きを主に委ねる。
―ローマ12:18-21「すべての人と平和に暮らしなさい。自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。「復讐は私のすること、私が報復すると主は言われる」と書いてあります。「あなたの敵が飢えていたら食べさせ、渇いていたら飲ませよ。そうすれば、燃える炭火を彼の頭に積むことになる」。悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい」。
・サウルの息子イシュ・ボシェトが後継の王になったが、ダビデはヘブロンで王となる。サウルが死んだ以上、油を注がれた自分が王になるべきだと思ったからだ。御心が示されたから、ダビデは従っていった。
―?サムエル2:1-4「ダビデは主に託宣を求めて言った「どこかユダの町に上るべきでしょうか」。主は言われた「上れ、ヘブロンへ」と主はお答えになった。・・・ダビデは彼に従っていた兵をその家族と共に連れて上った。こうして彼らはヘブロンの町々に住んだ。ユダの人々はそこに来て、ダビデに油を注ぎ、ユダの家の王とした」。
・主の導きを信じる者は、過ちを犯しても、悔い改めることが出来る。御心にかなった悲しみは人を命に導く。
―?サムエル12:13-14「ダビデはナタンに言った「私は主に罪を犯した」。ナタンはダビデに言った「その主があなたの罪を取り除かれる。あなたは死の罰を免れる。しかし、このようなことをして主を甚だしく軽んじたのだから、生まれてくるあなたの子は必ず死ぬ」。