1.祝福と呪い
・死を前にしたヨシュアは最後の言葉を語る。説教はイスラエルの長老や司たちを前に語られる。編集者(申命記記者)はその子孫、約束の地から追われ異国に捕囚となっている民だ。「主は何故、約束の地から私たちを追放されたのか」を、彼らはヨシュアを通して同時に聞く。
―ヨシュア記23:16「もし、あなたたちの神、主が命じられた契約を破り、他の神々に従い、仕え、これにひれ伏すなら、主の怒りが燃え上がり、あなたたちは与えられた良い土地から、速やかに滅び去る。」
・約束の地は、主が自ら戦いとられ、あなたたちに与えられたとヨシュアは説く。それゆえ、未征服の土地もまた与えられるであろう。
―ヨシュア記23:3-5「あなたたちの神、主があなたたちのために、これらすべての国々に行われたことを、ことごとく、あなたたちは見てきた。あなたたちの神、主は御自らあなたたちのために戦って下さった。見よ、私はヨルダン川から、太陽の沈む大海に至る全域、未征服の国々も、既に征服した国々もことごとく、くじによってあなたたち各部族の嗣業の土地として分け与えた。主は、御自ら彼らをあなたたちのために押しのけ、あなたたちのために追い出される。主の約束されたとおり、あなたたちは彼らの土地を占領するであろう」。
・それはあなたたちが「主に従う」と約束したからだ。その約束をたがえて、あなたたちが異教の民と交わり、婚姻を結ぶなら、主は契約を破棄される。土地の保有はあなたたちの従順にかかっている。
―ヨシュア記23:6-8「右にも左にもそれることなく、モーセの教えの書に書かれていることをことごとく忠実に守りなさい。あなたたちのうちに今なお残っているこれらの国民と交わり、その神々の名を唱えたり、誓ったりしてはならない。それらにひれ伏し拝んではならない。今日までしてきたように、ただあなたたちの神、主を固く信頼せよ」。
・異教の民と交わる。宗教的混交であり、姦淫である。もしあなたたちがそうすれば、あなたたちは偶像の神を拝むようになるだろう。知れ、そのとき、主はあなたと共にはおられない。
―ヨシュア記23:12-13「もしあなたたちが背いて離れ去り、あなたたちのうちに残っているこれらの国民となれ親しんで、婚姻関係を結び、向こうに行ったり、こちらに迎えたりするなら、あなたたちの神、主がもはや、これらの国民を追い払われないことを覚悟しなさい。彼らはあなたたちの罠となり、落とし穴となり、脇腹を打つ鞭、目に突き刺さるとげとなり、あなたたちは、あなたたちの神、主が与えられたこの良い土地から滅びうせる」。
2.豊かな土地の与えるもの=原罪
・人は豊かな地に入れば、偶像を拝む。偶像とは、自分の意のままになる神だ。病を癒し、災いから守り、幸いを与えてくれる神だ。荒野では人は偶像を拝まない、主なしには生存できないからだ。しかし、豊かになれば偶像に惹かれる。ここに原罪がある。
―申命記31:16-21「主はモーセに言われた『あなたは間もなく先祖と共に眠る。するとこの民は直ちに、入って行く土地で、その中の外国の神々を求めて姦淫を行い、私を捨てて、私が民と結んだ契約を破るであろう。・・・私がその先祖に誓った乳と蜜の流れる土地に彼を導き入れるとき、彼は食べて満ち足り、肥え太り、他の神々に向かい、これに仕え、私を侮って私の契約を破るであろう』」。
・荒野で信仰の鍛錬を受けた者も、豊かな地に入れば堕落する。ヨシュアもそれを知っていた。
―ヨシュア記23:14-15「あなたたちは心を尽くし、魂を尽くしてわきまえ知らねばならない。主があなたたちに約束されたすべての良いことは、何一つたがうことはなかった。何一つたがうことなく、全てあなたたちに実現した。あなたたちの神、主が約束された良いことが全て、あなたたちに実現したように、主はまた、あらゆる災いをあなたたちに下して、主があなたたちに与えられたこの良い土地からあなたたちを滅ぼされる」。
・人は罪を犯して主に鞭打たれる。しかし、それは滅びではない。悔い改めれば主は赦して下さる。
―エレミヤ29:10-14「主はこう言われる。バビロンに七十年の時が満ちたなら、私はあなたたちを顧みる。私は恵みの約束を果たし、あなたたちをこの地に連れ戻す。・・・あなたたちが私を呼び、来て私に祈り求めるなら、私は聞く。私を尋ね求めるならば見いだし、心を尽くして私を求めるなら、私に出会うであろう、と主は言われる。私は捕囚の民を帰らせる」。
・聖書には滅びはない。あるのは罪の償いだけだ。罪の償いを果たして帰る者は、新しく生まれて帰る。
―イザヤ40:1-2「慰めよ、私の民を慰めよとあなたたちの神は言われる。エルサレムの心に語りかけ彼女に呼びかけよ。苦役の時は今や満ち、彼女の咎は償われた、と。罪のすべてに倍する報いを主の御手から受けた、と」。