1.いなごの災い
・ファラオに対して、民を去らせよとの要求が繰り返されるが、ファラオは聞かず、第8のしるしとして、いなごの災いが下される。
―出エジプト記10:3-5「ヘブライ人の神、主はこう言われた。いつまで、あなたはわたしの前に身を低くするのを拒むのか。わたしの民を去らせ、わたしに仕えさせなさい。もし、あなたがわたしの民を去らせることを拒み続けるならば、明日、わたしはあなたの領土にいなごを送り込む。いなごは地表を覆い尽くし、地面を見ることもできなくなる。そして、雹の害を免れた残りのものを食い荒らし、野に生えているすべての木を食い尽くす」。
・家臣は民を去らせることを進言する。エジプトが滅びかかっているからだ。ファラオも譲歩するが、まだ「男だけ」という制限をつける。男だけであれば、やがて彼らはエジプトに帰るからだ。
―出エジプト記10:10-11「ファラオは二人に言った。『よろしい。わたしがお前たちを家族ともども去らせるときは、主がお前たちと共におられるように。お前たちの前には災いが待っているのを知るがよい。いや、行くならば、男たちだけで行って、主に仕えるがよい。それがお前たちの求めていたことだ。』ファラオは自分の前から彼らを追い出した。」
・かたくななファラオに対していなごの災いが臨む。それは地を徹底的に破壊する災いだ。
―出エジプト記10:13-15「主はまる一昼夜、東風を吹かせられた。朝になると、東風がいなごの大群を運んで来た。いなごは、エジプト全土を襲い、エジプトの領土全体にとどまった。このようにおびただしいいなごの大群は前にも後にもなかった。いなごが地の面をすべて覆ったので、地は暗くなった。いなごは地のあらゆる草、雹の害を免れた木の実をすべて食い尽くしたので、木であれ、野の草であれ、エジプト全土のどこにも緑のものは何一つ残らなかった。」
・災いを見てエジプト王は悔い改めるが、災いが去ればまた前言を翻す。舞台は最終破局へと進む。
2.闇の災い
・9番目に与えられた災いは闇の災いだった。3日の間、何も見えない漆黒の闇がエジプトを覆った。
―出エジプト記10:22-23「モーセが手を天に向かって差し伸べると、三日間エジプト全土に暗闇が臨んだ。人々は、三日間、互いに見ることも、自分のいる場所から立ち上がることもできなかったが、イスラエルの人々が住んでいる所にはどこでも光があった。」
・ファラオはまた譲歩するが、今回も家畜は残して行けとの制限つきであり、モーセはこれを拒否、ファラオは最後の災い(全ての長子の死)を迎える。
―出エジプト記10:28-29「ファラオが、『引き下がれ。二度とわたしの前に姿を見せないよう気をつけよ。今度会ったら、生かしてはおかない』と言うと、モーセは答えた。『よくぞ仰せになりました。二度とお会いしようとは思いません。』」
3.災いと救い
・災いが与えられるのは、人が神を主と認めないからだ。認めるまでは繰り返し災いが与えられる。
―出エジプト記10:1-2「彼とその家臣の心を頑迷にしたのは、わたし自身である。それは、彼らのただ中でわたしがこれらのしるしを行うためであり、わたしがエジプト人をどのようにあしらったか、どのようなしるしを行ったかをあなたが子孫に語り伝え、わたしが主であることをあなたたちが知るためである。」
・災いは激しくなり、全てが奪い去られる。後には何も残らない。いなごの害はその象徴だ。
―ヨエル1:2-4「かみ食らういなごの残したものを移住するいなごが食らい、移住するいなごの残したものを若いいなごが食らい、若いいなごの残したものを食い荒らすいなごが食らった。」
・何故か、神に立ち返るためには、人は徹底的に打ち砕かれなければいけないからだ。
―ヨエル2:12-14「主は言われる。『今こそ、心からわたしに立ち帰れ。断食し、泣き悲しんで。衣を裂くのではなく、お前たちの心を引き裂け。』あなたたちの神、主に立ち帰れ。主は恵みに満ち、憐れみ深く、忍耐強く、慈しみに富み、くだした災いを悔いられるからだ。あるいは、主が思い直され、その後に祝福を残し、あなたたちの神、主にささげる穀物とぶどう酒を残してくださるかもしれない。」