1.ヤコブのエジプト王との会見(47:1‐12)
・ヨセフは兄弟たちをエジプト王に合わせ、ヤコブ一族はゴセン居住の許しを得る。その後ヨセフは父ヤコブを王の前に連れて来た。ヤコブはエジプト王を祝福し、自分の生涯について述懐する。
―創世記47:7-9「ヨセフは父ヤコブを導いてパロの前に立たせた。ヤコブはパロを祝福した。パロはヤコブに言った『あなたの年はいくつか』。ヤコブはパロに言った『私の旅路の年月は、百三十年です。私のよわいの日はわずかで、ふしあわせで、私の先祖たちのよわいの日と旅路の日には及びません』」
・ヤコブの生涯は涙と波乱の生涯であった。
―兄とのいさかいから故郷を追われ、遠い異国に逃れる。
―異国の地で、叔父ラバンの召使として20年以上の年月に耐える。
―故郷に帰った時には、兄エソウの復讐に怯え、死をも覚悟する。
―生活が安定した時、妻ラケルは死に、最愛の子ヨセフも失踪する。
―シメオンとレビの愚行により、一旦住んだシケムの地を追われる。
―飢饉のため父祖の地を離れてエジプトに寄留する。
・しかし、その中にあっても神はいつもヤコブと共にあり、ヤコブを導かれた。寄留者であるヤコブが権力者の王を祝福するようになる。神と共にある者は祝福の基であり、信仰者はこの祝福を継承する。
―?ペテロ3:9「悪をもって悪に報いず、悪口をもって悪口に報いず、かえって、祝福をもって報いなさい。あなたがたが召されたのは、祝福を受け継ぐためなのである。」
2.ヨセフの食料政策
・飢饉は激しくなり、ヨセフの蓄えた食糧が世界の民を養う。最初ヨセフは銀と引き換えに食料を売った。
―創世記47:13-14「飢饉が非常に激しかったので全地に食物がなく、エジプトの国もカナンの国も飢饉のために衰えた。それでヨセフは人々が買った穀物の代金としてエジプトの国とカナンの国にあった銀をみな集め、その銀をパロの家に納めた。」
・次に家畜と引き換えに食料を人々に売った。
―創世記47:16-17「『あなたがたの家畜を出しなさい。銀が尽きたのならあなたがたの家畜と引き替えで食物をわたそう』。彼らはヨセフの所へ家畜をひいてきたので、ヨセフは馬と羊の群れと牛の群れ及びろばと引き替えで、食物を彼らにわたした。こうして彼はその年、すべての家畜と引き替えた食物で彼らを養った。」
・最後に人々は畑を王に売り、小作になった。ヨセフの政策により、人々は飢饉を生き抜いた。
―創世記47:25「彼らは言った『あなたはわれわれの命をお救いくださった。どうかわが主の前に恵みを得させてください。われわれはパロの奴隷になりましょう』」。
・ヨセフの政策を通して中央集権国家が成立した。エジプト第18王朝の社会制度がそれを裏付けている。
―創世記47:26「ヨセフはエジプトの田地について、収穫の五分の一をパロに納めることをおきてとしたが、それは今日に及んでいる。」
3.ヤコブの遺言
・年老いたヤコブはヨセフを呼び、自分の遺体を約束の地に葬るようにヨセフに頼む。
―創世記47:29-30「もし私があなたの前に恵みを得るなら、どうか手を私のももの下に入れて誓い、親切と誠実とをもって私を取り扱ってください。どうか私をエジプトには葬らないでください。私が先祖たちと共に眠るときには、私をエジプトから運び出して先祖たちの墓に葬ってください」。
・ヨセフがその通りにすると誓うとヤコブはヨセフを拝した。ヨセフの見た夢がここでも実現されていく。
―創世記37:9-11「『私はまた夢を見ました。日と月と十一の星とが私を拝みました』。彼はこれを父と兄弟たちに語ったので父は彼をとがめて言った『あなたが見たその夢はどういうのか。本当に私とあなたの母と、兄弟たちとが行って地に伏し、あなたを拝むのか』。兄弟たちは彼をねたんだ。しかし父はこの言葉を心にとめた。」
・ヤコブは子供たちに囲まれ、主を礼拝しながら、死んでいった。
―ヘブル11:21「信仰によって、ヤコブは死の間際に、ヨセフの子らをひとりびとり祝福し、そしてそのつえのかしらによりかかって礼拝した。」