1.パロの見た夢
・パロは夢を二度見た。第一の夢では7頭のやせた牛が肥えた7頭の牛を食い尽くし、第二の夢ではしおれた7つの穂が肥えた7つの穂を呑み込んだ。夢を解く者がいず、パロは不安に駆られた。
―創世記41:8「朝になって、パロは心が騒ぎ、人をつかわして、エジプトのすべての魔術師とすべての知者とを呼び寄せ、彼らに夢を告げたが、これをパロに解き明かしうる者がなかった。」
・その時、給仕役の長がヨセフのことを思い出し、パロに推薦することから、ヨセフの出番になる。導きを信じて待つとき、必ず約束は成就するが、それが何時なのか、人は知ることができない。
―創世記41:9「給仕役の長はパロに告げて言った、『私は今日、自分のあやまちを思い出しました。』」
・ヨセフはパロの夢の意味を解いた。
―創世記41:25-30「ヨセフはパロに言った『パロの夢は一つです。神がこれからしようとすることをパロに示されたのです。七頭の良い雌牛は七年です。七つの良い穂も七年で、夢は一つです。後に続いて、上がってきた七頭のやせた醜い雌牛は七年で、東風に焼けた実の入らない七つの穂は七年の飢饉です。・・・エジプト全国に七年の大豊作があり、その後七年の飢饉が起り、その豊作はみなエジプトの国で忘れられて、その飢饉は国を滅ぼすでしょう。』
2.夢の対応策を示すヨセフとその登用
・ヨセフはパロの夢を解くだけでなく、その対応策をも提案する。
―創世記41:32-36「パロは今、聡く、かつ賢い人を尋ね出してエジプトの国を治めさせなさい。パロはこうして国中に監督を置き、その七年の豊作のうちに、エジプトの国の産物の五分の一を取り、続いて来る良い年々の全ての食糧を彼らに集めさせ、穀物を食糧として、パロの手で町々に蓄え守らせなさい。こうすれば食糧は、エジプトの国に臨む七年の飢饉に備えて、国のために蓄えとなり、この国は飢饉によって滅びることがないでしょう」。
・ヨセフの夢解きとその対応策はパロの心を動かし、ヨセフは大臣に登用される。
―創世記41:39-40「神がこれを皆あなたに示された。あなたのように聡く賢い者はない。あなたは私の家を治めてください。私の民はみなあなたの言葉に従うでしょう。私はただ王の位でだけあなたにまさる」。
・こうしてヨセフの政策が実行に移されるようになった。
―創世記41:47-48「七年の豊作のうちに地は豊かに物を産した。ヨセフはエジプトの国にできたその七年間の食糧をことごとく集め、その食糧を町々に納めさせた。即ち町の周囲にある畑の食糧をその町の中に納めさせた。」
・飢饉が襲った時、エジプトは世界の民を養った。賜物が与えられた人の活用を通して、神は民を養われる。
―創世記41:57「飢饉が全地に激しくなったので、諸国の人々がエジプトのヨセフのもとに穀物を買うために来た」
・この事を通してヤコブの一族もエジプトに招かれる。神の経綸は人間の業や思いを超える。
―創世記42:3「そこでヨセフの十人の兄弟は穀物を買うためにエジプトへ下った。」
3.神の導きに託す生涯
・給仕役の長はヨセフに助けられたにもかかわらず、それを忘れて2年が経った。忍従の時は続く。
―創世記40:23―41:1「給仕役の長はヨセフを思い出さず、忘れてしまった。二年の後パロは夢を見た。」
・詩篇記者はこれを「主のみ言葉が彼を試みた」と表現している。
―詩篇105:18-19「彼の足は足かせをもって痛められ、彼の首は鉄の首輪にはめられ、彼の言葉の成る時まで、主のみ言葉が彼を試みた。」
・ヨセフは自分の生涯を神の経綸の中で見る。その時、人は不遇の時にもつぶやかず、得意の時にも奢らない。
―創世記45:7-8「神は、あなたがたの末を地に残すため、また大いなる救をもってあなたがたの命を助けるために、私をあなたがたより先に遣わされたのです。それ故私をここに遣わしたのはあなたがたではなく、神です。」
・今は全てのことはわからない、しかしわかる時が来る。約束を信じる、それが信仰である。
―?コリ13:12-13「私たちは、今は、鏡に映して見るようにおぼろげに見ている。しかしその時には、顔と顔とを合わせて、見るであろう。私の知るところは、今は一部分にすぎない。しかしその時には、私が完全に知られているように、完全に知るであろう。このように、いつまでも存続するものは、信仰と希望と愛と、この三つである。このうちで最も大いなるものは、愛である。」