1.工匠たちの働き
・幕屋を立てるために、必要な工事を行う工匠の頭として、ベツァルエルとオホリアブが任命された。
―出エジプト記35:30-35「見よ、主は、ユダ族のフルの孫、ウリの子ベツァルエルを名指しで呼び、彼に神の霊を満たし、どのような工芸にも知恵と英知と知識を持たせ、金、銀、青銅による細工に意匠をこらし、宝石をはめ込み、木に彫刻するなど、すべての細かい工芸に従事させ、更に、人を教える力をお与えになった。主は、彼とダン族のアヒサマクの子オホリアブに、知恵の心を満たして、すべての工芸に従事させ、彫刻師、意匠を考案する者、更に、青、紫、緋色の毛糸、亜麻糸を使ってつづれ織や縁取りをする者など、あらゆる種類の工芸に従事する者とし、意匠を考案する者とされた。」
・モーセは工事人たちを呼び、「全て主の命じられた通りに造らねばならない」と命じた。
―出エジプト記36:1-2「『ベツァルエルとオホリアブ、および知恵と英知を主から授けられ、聖所の建設のすべての仕事を行うに必要な知識を与えられた、心に知恵のある者は、すべて主が命じられたとおり、作業に当たらねばならない。』モーセは、ベツァルエルとオホリアブ、および主から心に知恵を授けられた、心に知恵のあるすべての者、すなわち、心動かされたすべての者をこの仕事に従事させるために呼び集めた。」
・人々は幕屋建設に必要なものを競うように献げ、その献げ物は必要量を上回って捧げられた。
―出エジプト記36:3-5「彼らは、イスラエルの人々が聖所建設の仕事を行うために携えて来たすべての献納物を、モーセから受け取ったが、人々はなおも、毎朝、随意の献げ物を彼のもとに携えて来たので、聖所のあらゆる仕事に携わる知恵のある者は皆、それぞれの仕事場を離れて来て、モーセに言った。『この民は、主がお命じになった仕事のために、必要以上の物を携えて来ます。』」
・必要以上のものが奉げられた。神の恵みを心に豊かに感じる時、人は喜んで多くのものを献げる。ナルドの香油を注いだ女もそうであった。
―ヨハネ12:3-8「そのとき、マリアが純粋で非常に高価なナルドの香油を一リトラ持って来て、イエスの足に塗り、自分の髪でその足をぬぐった。家は香油の香りでいっぱいになった。弟子の一人で、後にイエスを裏切るイスカリオテのユダが言った。『なぜ、この香油を三百デナリオンで売って、貧しい人々に施さなかったのか。』
・・・イエスは言われた。『この人のするままにさせておきなさい。私の葬りの日のために、それを取って置いたのだから。貧しい人々はいつもあなたがたと一緒にいるが、私はいつも一緒にいるわけではない。』」
2.幕屋は主が命じられた通りに作れ
・モーセは人々の献げ物を使えば、もっと大きな幕屋を造ることも出来たが、そうしなかった。「主が命じられた通りに造る」ことにこそ、意味があると思ったからだ。
―出エジプト記36:6-7「モーセが宿営に、『男も女も、聖所の献納物のためにこれ以上努める必要はない』との命令を伝えさせたので、民は携えて行くのをやめた。既にささげられた物は、作業全体を仕上げるのに十分で有り余るほどあった。」
・聖所は大きさではない。必要以上の大きさの聖所を立てる必要はない。教会も同じで、二人または三人が集まるところには主がおられることを信じ切る勇気が必要だ。
―マタイ18:19-20「どんな願い事であれ、あなたがたのうち二人が地上で心を一つにして求めるなら、私の天の父はそれをかなえてくださる。二人または三人が私の名によって集まるところには、私もその中にいるのである。」
・私たちも信仰生活という聖所を自分の生活の中に立てる。それは主が命じられたように立てれば良いのであって、必要以上に大きな聖所を立てる必要はない。
―箴言30:7-9「二つのことをあなたに願います。私が死ぬまで、それを拒まないでください。空しいもの、偽りの言葉を、私から遠ざけてください。貧しくもせず、金持ちにもせず、私のために定められたパンで、私を養ってください。飽き足りれば、裏切り、主など何者か、と言うおそれがあります。貧しければ、盗みを働き、私の神の御名を汚しかねません。」
・幕屋建築が始まった。幕屋で礼拝することによって、民は神の民と成ったが、やがてこの幕屋は恒久的な神殿となり、神の住まわれるところではなくなった。イエスの十字架の時に、至聖所の幕が裂けたことはそれを示す。
―マルコ15:37-38「イエスは大声を出して息を引き取られた。すると、神殿の垂れ幕が上から下まで真っ二つに裂けた。」