1.ヤコブのハラン到着(1-14節)
・1ヶ月の旅の後、ヤコブはハランに到着し、そこでいとこのラケルに出会う。
―創世記29:9-12「ヤコブは母の兄ラバンの娘ラケルと母の兄ラバンの羊とを見た。・・・ヤコブはラケルに口づけし、声をあげて泣いた。ヤコブはラケルに、自分がラケルの父のおいであり、リベカの子であることを告げたので、彼女は走って行って父に話した。」
・ラバンは甥のヤコブを親族として迎え入れた。
―創世記29:13-14「ラバンは妹の子ヤコブがきたという知らせを聞くとすぐ、走って行ってヤコブを迎え、これを抱いて口づけし、家に連れてきた。そこでヤコブはすべての事をラバンに話した。ラバンは彼に言った、「あなたはほんとうにわたしの骨肉です」。ヤコブは一か月の間彼と共にいた。」
2.ヤコブの結婚(15-30節)
・ラバンには二人の娘がいたが、ヤコブは美しいラケルに惹かれ、彼女のために7年間働くことを申し出る。
―創世記29:16-18「ラバンにはふたりの娘があった。姉の名はレアといい、妹の名はラケルといった。レアは目が弱かったが、ラケルは美しくて愛らしかった。ヤコブはラケルを愛したので、「わたしは、あなたの妹娘ラケルのために七年あなたに仕えましょう」と言った。」
・7年後にヤコブはラケルを求めた。しかし、与えられたのはレアであった。かってヤコブは自分をエソウとだまして長子権を得たが、今度は叔父ラバンに騙された(欺くものが欺かれるという応報の出来事が起こった)。
―創世記29:21-23「ヤコブはラバンに言った、「期日が満ちたから、わたしの妻を与えて、妻の所にはいらせてください」。そこでラバンはその所の人々をみな集めて、ふるまいを設けた。夕暮となったとき、娘レアをヤコブのもとに連れてきたので、ヤコブは彼女の所にはいった。」
・ヤコブはラケルのためにもう7年間の労働奉仕が必要になった
―創世記29:26-27「ラバンは言った、「妹を姉より先にとつがせる事はわれわれの国ではしません。まずこの娘のために一週間を過ごしなさい。そうすればあの娘もあなたにあげよう。あなたは、そのため更に七年わたしに仕えなければならない」。
3.ヤコブの子供(31-35節)
・古代世界にあっては、多くの子を得る為に、一夫多妻は認められた。しかし、このような制度により、妻たちは苦しんだ。レアの子に対する命名は愛されない妻の悲哀に満ちている。
―創世記29:32-35「レアは身ごもって男の子を産み、ルベンと名付けた。それは、彼女が、「主はわたしの苦しみを顧みて(ラア)くださった。これからは夫もわたしを愛してくれるにちがいない」と言ったからである。レアはまた身ごもって男の子を産み、「主はわたしが疎んじられていることを耳にされ(シャマ)、またこの子をも授けてくださった」と言って、シメオンと名付けた。レアはまた身ごもって男の子を産み、「これからはきっと、夫はわたしに結び付いて(ラベ)くれるだろう。夫のために三人も男の子を産んだのだから」と言った。そこで、その子をレビと名付けた。レアはまた身ごもって男の子を産み、「今度こそ主をほめたたえ(ヤダ)よう」と言った。そこで、その子をユダと名付けた。」
・レアの産んだ子の中から、モーセやダビデが生れる。神の業は人間の駆け引きや欲望を超えて実現されていく。
―出エジプト記6:14-20「レビの子らの名はゲルション、コハテ、メラリで、・・・コハテの子らはアムラム、イヅハル、ヘブロンで、・・・アムラムは父の妹ヨケベデを妻としたが、彼女はアロンとモーセを彼に産んだ。」
―マタイ1:2-16「ヤコブはユダとその兄弟たちとの父、・・・エッサイはダビデ王の父であった。・・・ヤコブはマリヤの夫ヨセフの父であった。このマリヤからキリストといわれるイエスがお生れになった。」
・ヤコブは兄エソウと相続を争った。今度はレアとラケルの姉妹が妻の座を争う。罪は贖わなければならない。
―創世記30:1「ラケルは自分がヤコブに子を産まないのを知った時、姉をねたんでヤコブに言った、「わたしに子どもをください。さもないと、わたしは死にます」。
―創世記30:15「レアはラケルに言った、「あなたがわたしの夫を取ったのは小さな事でしょうか。その上、あなたはまたわたしの子の恋なすびをも取ろうとするのですか」。