江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2025年6月29日(フィリピの信徒への手紙4:2~20、苦しみを共にできる喜び) 副題「キリストによる一致」

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1.神学校週間~献身者とそれを支える人たち

・日本バプテスト連盟では6月の第4週から1週間を「神学校週間」として神学校(東京バプテスト神学校・九州バプテスト神学校・西南学院大学神学部)と学ぶ神学生を覚え祈り、献金を捧げます。献身する者の働きを覚え祈り、支えることは教会の大きな働きであり、神学生にとって大きな励みとなります。私も諸教会の兄弟姉妹、特に篠崎キリスト教会の兄弟姉妹に支えられたこと。そして今現在も支えられています事を感謝します。鬼澤寛神学生は、本日実習中の中野バプテスト教会で宣教奉仕されます。実習中の鬼澤寛神学生の宣教奉仕と中野バプテスト教会の兄弟姉妹に感謝して、共に祈りを捧げます。

 

2.フィリピ4章の背景と概要

・フィリピ最終週です。フィリピ4章は、パウロが獄中からフィリピの共同体に宛てて記した、感謝と励ましの言葉に満ちた手紙です。この手紙には、困難や苦しみの中でも揺るがない喜び、そしてキリストにおける一致の大切さが強調されています。

3.キリストによる一致

・フィリピ4章の冒頭では、パウロが特にエボディアとシンティケに対し、「主において同じ思いを抱きなさい。」と勧めています(4:2)。キリストにある同じ思い・一致は、単なる意見の一致ではなく、主の愛と赦しを土台とした心の一致です。個々の違いを超えて、キリストを中心に据え、謙遜と祈りによって共同体が一つになり、平和が保たれることが強調されています。

また、「どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。」(4:6)という言葉からも、信仰共同体としての一致した祈りが、神の平安をもたらす鍵であると理解できます。

・聖書の教えの中で「キリストによる一致」という言葉は、しばしば耳にする重要な教えです。しかし、その意味や、なぜそれがクリスチャンにとって大切なのかを深く考えたことがあるでしょうか。「キリストによる一致」とは何かを、聖書の教えや歴史的背景、現代社会での意義など共に考えてみたいと思います。

・「キリストによる一致」とは、イエス・キリストへの信仰を中心にして、人々が互いに結びつき、思いと心をひとつにすることを意味します。この一致は、単なる意見や趣味の一致ではなく、救い主であるキリストを共通の基盤とする、深い霊的なきずなです。キリスト教の神学では、この一致は神の家族としてのアイデンティティや、教会共同体の根幹をなすものと理解されています。

聖書に見る「一致」
新約聖書の中で、パウロは「一致」の重要性を何度も強調し、一致を勧めています。

―1コリ1:10「さて、兄弟たち、わたしたちの主イエス・キリストの名によってあなたがたに勧告します。皆、勝手なことを言わず、仲たがいせず、心を一つにし思いを一つにして、固く結び合いなさい。」

・皆が同じキリストを語り、分裂がなく、同じ心、同じ思いで堅く結び合うように、キリストが一つであるようにその一つのキリストによって一致するよう勧めています。また、

―フィリピ2:1,2「そこで、あなたがたに幾らかでも、キリストによる励まし、愛の慰め、“霊”による交わり、それに慈しみや憐れみの心があるなら、 同じ思いとなり、同じ愛を抱き、心を合わせ、思いを一つにして、わたしの喜びを満たしてください。」

・キリストにあって一致することの喜びと重要性が強調されています。

一致の目的と意味
キリストによる一致の最大の目的は、神の栄光を現わすことです。教会やクリスチャンが一致することで、神の愛と福音の力が世界に現されます。また、互いの違いや個性を尊重しつつ、共通の使命に向かって協力できるという点も重要です。イエス自身もヨハネによる福音書17章で、弟子たちのために「彼らが一つとなりますように」と祈りました。イエスの祈りです。これは、クリスチャンの交わりが世に対する証しとなるためです。

歴史に見る分裂と一致
キリスト教の歴史を振り返ると、初代教会から現代に至るまで、多くの分裂や対立がありました。東西教会分裂や宗教改革、さまざまな教派・教団の設立など、外面的な一致が揺らぐ場面も多く見られます。しかし、それでもキリスト教共同体は、根本的な信仰において一致を保とうと努力してきました。今日では「エキュメニズム(教会一致運動)」などが進められ、教派を越えて互いに協力し合う動きが活発に行われています。

一致を妨げるもの
キリストによる一致を妨げるものとして、自己中心や傲慢、赦せない心、さらには誤解や偏見などが挙げられます。また、文化や習慣、社会的背景の違いも一致を難しくする要因となることがあります。しかし、パウロは「めいめい自分のことだけでなく、他人のことにも注意を払いなさい。」(フィリピ2:4)と教えています。キリストを模範として、謙遜と愛が一致への道であることを示しています。

現代社会における一致の意義
現代社会では、価値観の多様化や個人主義の進展により、人々の間の断絶や孤立感が深まっています。こうした時代において、「キリストによる一致」は、単なる宗教的理想ではなく、社会に向けた重要なメッセージとなり得ます。違いを超えて受け入れ合い、支え合う共同体の姿は、多様性と共生の模範ともなります。

また、教会が外部に対して一致した姿勢やメッセージを示すことは、キリストの福音がいかに力強く、実生活に根ざしているかを証明するものです。たとえば災害支援、地域奉仕、平和活動など、共同体として行動することで、神の愛が社会に伝わって行く様になります。

実践としての一致
キリストによる一致は、単に理念を語るだけでは実現しません。日々の実践が何より重要です。その具体的な方法としては次のようなものが挙げられます。

  • 祈り合うこと:互いのために祈ることで、心が一つにされていきます。
  • 赦し合うこと:過ちや傷を受けたときに、キリストの愛に倣い赦し合う努力が必要です。
  • 謙遜でいること:自分を低くし、他者の意見や立場を尊重する姿勢が大切です。
  • 助け合うこと:弱っている人や困っている人に手を差し伸べることが一致を深めます。
  • 対話を続けること:意見の違いがある場合でも、対話を通して理解し合う努力が必要です。

一致の実例と証し
世界各地の教会では、一致の素晴らしい実例が数多く見られます。たとえば、異なる国籍や文化背景を持つ人々が、キリストの名の下で共同生活を送り、助け合いながら歩んでいる共同体もあります。また、教会一致運動や合同礼拝、共同奉仕活動などを通して、教派の壁を越えて連携する動きも広がっています。9月23日に船橋バプテスト教会で行われる「秋の集い」は、東京連合の東ブロックの連携・一致の実例の一つと言えると思います。

キリストによる一致のまとめ
「キリストによる一致」とは、イエス・キリストという共通の信仰を土台に、互いに愛し、支え合いながら歩むことを意味します。それは単なる宗教的な理念ではなく、日々の生活や社会にも大きな影響を与える生き方です。違いを認め合いながらも、共通の使命とビジョンに向かって一つになること。それこそが、キリストによる一致の本質と言えるでしょう。

この一致を実現するためには、忍耐と努力、そして神への信頼が欠かせません。クリスチャンとして、また人間として、お互いを尊重し、謙遜に仕え合う心を持つことが、キリストが願われた本当の一致への道なのです。

―コロサイ1:20「その十字架の血によって平和を打ち立て、地にあるものであれ、天にあるものであれ、万物をただ御子によって、御自分と和解させられました。」

・キリストは私たちが神と和解する為に死んでくださいました。キリストの死によって私たちは神と和解しました。神と和解した者は、人とも和解出来ると信じます。

4.苦しみを共にできる喜び
・フィリピ4章では、パウロは自らの困難な状況を率直に述べつつも、フィリピの信徒たちがその苦しみを共に担ってくれたことを、深い感謝と喜びをもって語っています4:14「それにしても、あなたがたは、よくわたしと苦しみを共にしてくれました。」この「共に苦しみを担う」ことこそ、キリストにある交わりの本質であり、単なる同情ではなく、実際に支え合い、祈り合う関係の中に真の喜びがあるとパウロは示しています。

・パウロは、苦しみの中にあること自体が神の恵みと結びついていることを伝えています。4:12で「貧しく暮らすすべも、豊かに暮らすすべも知っています。満腹していても、空腹であっても、物が有り余っていても不足していても、いついかなる場合にも対処する秘訣を授かっています。」とあるように、状況がどうであれ、キリストとの深い結びつきがすべての苦しみや不足をも包み込んでくださるのです。

・また、私たちが互いに苦しみを担い合うとき、そこに生まれるのは単なる同情や慰めではなく、4:4「主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい。」というパウロの言葉が示すような、天から与えられる本物の喜びです。キリストに根ざして一致すること。これは、意見や性格の違いを超えて、神の愛を中心に据えることに他なりません。

・フィリピの信仰共同体がそうであったように、私たちもまた、困難な時代にあってこそ、4:2「主において同じ思いを抱きなさい。」との呼びかけに応え、互いの痛みや喜びを分かち合う存在として招かれています。祈りをもって思い煩いを主に委ねるとき、4:7「あらゆる人知を超える神の平和」が私たちの心と考えとを守り、どんな苦しみの中にも「共に担う喜び」が与えられるのです。

また、パウロは物質的な援助によって得られる満足だけではなく、どのような状況にも満ち足りることができる秘訣、すなわち4:13「わたしを強めてくださる方のお陰で、わたしにはすべてが可能です。」と述べています。これは、外的な状況に左右されず、キリストに根差した喜びと感謝が、苦しみをも共にできる土台であることを意味しています。

5.結び
招詞にフィリピ1章29節を選びました。ご一緒にお読みしたいと思います。

―フィリピ1:29「つまり、あなたがたには、キリストを信じることだけでなく、キリストのために苦しむことも、恵みとして与えられているのです。」

・このようにフィリピ書は、ただ理論的な一致や励ましを語るだけでなく、信仰共同体における実践的な愛と具体的な連帯の姿を強調しています。パウロが繰り返し「喜びなさい」と勧める背景には、試練や葛藤の中にあっても、キリストを中心に据えることで互いの支えと祈りが生まれ、やがて神の平安が心に満ちるという確信がありました。

・また、パウロは物質的な援助に対しても、単なる感謝の意を超えて、その行為が「香ばしいいけにえ」として神に受け入れられることを語ります(4:18)。このことからも、信仰に基づく実践が、天においても価値あるものであることが示されています。

・困難の中にあっても、キリストに根ざした一致と喜びを選び取ること、それがフィリピの共同体に与えられた最大の励ましでした。

・フィリピ4章は、4:4「主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい。」という言葉に象徴されるように、苦しみも分かち合い、キリストにあって一致することの素晴らしさを教えています。信仰共同体の中で苦しみを共に担い、キリストの愛に根差すとき、どんな状況の中にも平安と喜びがもたらされる。その希望を、パウロはこの章を通してフィリピの教会だけでなく、現代に生きる私たちにも示してくださっています。

・こうしたパウロの教えは、現代を生きる私たちにとっても大きな示唆を与えてくれます。日々の生活の中で直面する困難や不安は、時として心を閉ざし、他者との関わりを遠ざけてしまう要因となりがちです。しかし、フィリピの信徒たちが実践したように、苦しみを分かち合い、互いに祈り合うことで、個人を超えた深い絆が結ばれるのというのです。

・さらに、物質的な豊かさや貧しさに捉われず、すべての状況の中で満ち足りる秘訣を知ることは、現代社会の不安定さの中で生きる私たちにとって大きな慰めと希望となるでしょう。困難の最中にも、神の平安に守られながら、感謝と喜びを選び取る姿勢こそが、信仰共同体の真の力であると言えるのです。

・私たちもまた、日々の歩みの中で祈りと分かち合いを大切にし、多様性の中で一致を目指すとき、パウロが語った「主において常に喜びなさい。重ねて言います。喜びなさい。」という勧めの言葉が、心の奥深くに響いてくるのではないでしょうか。

・最後に、フィリピの信仰共同体の姿は、現代社会で孤立や不安を感じる多くの人々にとって、大きな励ましと指針を与えてくれます。困難に直面したときこそ、互いに支え、祈り合い、感謝と一致をもって歩むことが、私たち自身の人生にも、周囲にも、確かな希望をもたらしてくれるのです。

・「苦しみを共にできる喜び」と「キリストによる一致」が、信仰共同体の中でいかに大切にされてきたかを物語っています。信仰共同体が直面する困難の中にあっても、互いに励まし合い、愛と平和をもって一致し続けることの大切さを私たちに教えています。キリストに根ざした一致は、単なる思想や感情の共有を超え、心の深いところから湧き上がる愛と忍耐、そして互いを思いやる姿勢によって形作られます。そこには、個々の弱さや違いを受け入れ、共に歩もうとする意志が求められています。

また、「一つの体」として招かれているという意識は、私たちが孤立せずに生きることの力強い根拠となります。愛と感謝を身にまといながら進むとき、共同体の中に本当の平和と調和がもたらされるのです。こうした一致の姿は、外から見ても魅力的であり、多くの人を引き寄せる光となるでしょう。

・「苦しみを共にできる喜び」と「キリストによる一致」は、信仰共同体において大切にされてきた価値です。困難の中でも愛と平和をもって一致し続けることの大切さを私たちに教えてくれます。キリストに根ざした一致は、単なる感情や思想を越え、心の深いところから湧き上がる愛と忍耐、互いを思いやる姿勢によって形作られます。弱さや違いを受け入れ、共に歩もうとする意志こそが、信仰共同体の力となるのです。

・喜びも悲しみも、楽しいことも苦しみも共にできる教会の兄弟姉妹を覚え、共に感謝します。

 

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