江戸川区南篠崎町にあるキリスト教会です

日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会

2023年1月18日祈祷会(ルカ24:1-12、イエスの復活)

投稿日:

 

 

1.イエスの復活を目撃した婦人たち

 

・イエスは金曜日午後3時ごろに亡くなられた。安息日は金曜日没から始まるため、イエスの遺体はあわただしく十字架からとり降ろされ、墓に入れられた。十字架刑を見守っていた婦人たちは、イエスが清めなしに墓に葬られたのを目撃し、イエスの遺体に塗るための香料と香油を準備し、安息日が明けた日曜日の朝早く、墓に急いだ。墓へ着いてみると、墓を封じた石は脇へ転がされ、イエスの遺体はなかった。狼狽する婦人たちの前に二人の天使が現れた。

-ルカ24:1-4「そして、週の初めの日の明け方早く、準備しておいた香料を持って墓に行った。見ると、石が墓の脇に転がしてあり、中に入っても主イエスの遺体は見つからなかった。そのため途方に暮れていると、輝く衣をきた二人に人がそばに現れた。」

・恐れる婦人たちに天使は、「イエスは復活された」と告げる。

-ルカ24:5-7「婦人たちが恐れて地に顔を伏せると、二人は言った。『なぜ、生きておられる方を死者の中に捜すのか。あの方は、ここにはおられない。まだガリラヤにおられたころ、お話しになったことを思い出しなさい。人の子は必ず、罪人の手に渡され、十字架につけられ、三日目に復活することいなっている、と言われたではないか。』

・空の墓を前に途方にくれていた婦人たちが、「人の子は十字架につけられ、三日目に復活する」という生前のイエスの言葉を思い起こすことを通して、イエスが復活されたことを知った。それを知った婦人たちは、喜びにあふれ、知らせを弟子たちに知らせるために急いだ。

-ルカ24:8-10a「そこで、婦人たちはイエスの言葉を思い出した。そして、墓から帰って、十一人と他の人皆に一部始終を知らせた。それはマグダラのマリア、ヨハナ、ヤコブの母マリア、そして一緒にいた他の婦人たちであった。」

 

2.イエスの復活を信じられない弟子たち

 

・しかし、知らせを聞いた弟子たちは、「信じなかった」。イエスに従って来た弟子たちにさえ、復活の知らせは、「たわ言」のように聞こえた。婦人たちの報告を受けて、ペトロはイエスの墓へ急いだ。そこにはイエスが着せられた亜麻布のみが残され、遺骸はどこにもなかった。

-ルカ24:10b-12「婦人たちはこれらのことを使徒たちに話したが、使徒たちは、この話がたわごとのように思われたので、婦人たちを信じなかった。しかし、ペトロは立ち上がって墓へ走り、身をかがめて中をのぞくと、亜麻布しかなかったので、この出来事に驚きながら家へ帰った。」

・イエスの復活について、四福音書は共通して、信じることがいかに困難であったかについて伝える。マルコはイエスの復活を告げ知らされた婦人たちが「震え上がり、正気を失った」と書き(マルコ16:8)、マタイでは、復活のイエスに出会った弟子たちが「疑った」(マタイ28:17)とあり、ヨハネでは、報告を受けたペテロが墓に急ぐが、イエスの復活を信じなかったとある(ヨハネ20:10)。復活はその出来事を目撃した人でさえ、信じることが難しい出来事だった。

 

3.復活物語についての証言

 

・復活は自らが経験しない限り、「たわ言」に過ぎず、復活が「たわ言」である時、十字架は惨めな敗北だ。

-第一コリント15:14「キリストが復活しなかったのなら、私たちの宣教は無駄であるし、あなたがたの信仰も無駄です」。

・しかしパウロは復活を信じている。何故ならば、彼は復活のイエスと出会ったからだ。復活信仰を支えるものは弟子たちの目撃証言である。

-第一コリント15:3- 8「最も大切なこととして私があなたがたに伝えたのは、私も受けたものです・・・キリストが・・・聖書に書いてある通り三日目に復活したこと、ケファに現れ、その後十二人に現れ・・・最後に、月足らずで生まれたような私にも現れました。」

・パウロはコリント教会への手紙の中で、キリストの復活について証言し、これは紀元55年頃に書かれた最古の復活証言である。この記事に書かれているのは、復活のイエスがペテロに現れ、次に弟子たちに現れたという証言だ。復活は歴史的には起こったかどうかを証明出来ない、しかし弟子たちは復活のイエスに出会ったと証言している。キリスト者は復活を信じる。それは復活のイエスと出会い、人生を変えられた人々の証言を聖書から聞くからだ。

・最初の証言者はケファ(ペテロ)だ。彼は3年間イエスに従い、「イエスのためであれば死んでもよい」と公言していた(ルカ22:33)。そのペテロが、イエスが捕らえられた時に、大祭司の屋敷で「お前も仲間だろう」と問われ、繰り返し否認する(ルカ22:57)。そしてイエス処刑時には逃げ出してしまった。その彼が処刑後50日目のペンテコステの時には、「神はイエスを復活させられた。私たちはその証人だ」と公衆の前で説教し(使徒2:32)、祭司長たちに呼び出されて説教を止めるよう命令された時に答える「神に従わないであなた方に従うことはできない」(使徒4:19)。弱かったペテロを変えたものは、パウロが証言するように、「ケファ(ペテロ)にイエスが現れ」という復活顕現体験をしたからであろう。

・同じことが復活の証言者パウロにも言える。彼はキリスト教の迫害者だった。その彼がダマスコ近郊で劇的な回心を経験する。彼は証言する「そして最後に(キリストは)、月足らずで生まれたような私にも現れました。私は、神の教会を迫害したのですから、使徒たちの中でもいちばん小さな者であり、使徒と呼ばれる値打ちのない者です」(第一コリント15:8-9)。パウロを変えたのもまた復活者との出会いであろう。

 

4.私たちに取って復活とはなにか

 

・イエス復活の確かさは、彼が「生ける者」として、人に出会われることの中にある。私たちも自身も復活者に出会う時、復活は私たちの出来事になる。では、私たちはどのようにして「生けるイエスと出会うのか」、「ガリラヤに行く」ことによってだ。弟子たちはイエス逮捕時にはこれを否認し、処刑時には逃げた。しかし、イエスはその弟子たちを見棄てられなかった。そして弟子たちに言われた「ガリラヤに行きなさい。そこで私と出会うであろう」(マルコ16:7)と。ガリラヤはイエスが「時が満ちた。神の国は近づいた」(マルコ1:15)と宣教された場所、社会から排除された罪人や娼婦たちと食卓を共にされた場所、泣く者に「泣かなくとも良い」と言われ、貧しい人々に「私こそ命のパンである。私を食べよ」と言われた場所だ。私たちは、「ガリラヤに行きなさい、そこでイエスと出会うであろう」と招かれている。

・私たちのガリラヤはどこなのか、トルストイの描いた童話「靴屋のマルチン」が一つの示唆を与える。マルチンは妻や子供に先立たれ、辛い出来事の中で生きる希望を失いかけていた。ある日、神父が傷んだ革の聖書の修理を依頼する。マルチンは辛い経験から神への不満をもっていたが、それでも神父が置いていった聖書を読み始める。ある日の夜、夢の中に現れたキリストがマルチンに言う「マルチン、明日、おまえのところに行く」。

・次の日、マルチンは仕事をしながら窓の外の様子をうかがう。外には寒そうに雪かきをしているおじいさんがいる。マルチンはおじいさんを家に迎え入れ、お茶をご馳走する。今度は赤ちゃんを抱えた貧しいお母さんに目がとまる。マルチンは出て行って、親子を家に迎え、亡き妻のショールをあげた。今度はおばあさんの籠から一人の少年がリンゴを奪っていくのが見え、マルチンは少年のために代金を立て替える。一日が終わった。期待していたキリストは現れなかった。がっかりしているマルチンに、夢の中でキリストが現れる「マルチン、今日私がお前のところに行ったのがわかったか」。そう言い終わると、キリストの姿は雪かきの老人や貧しい親子やリンゴを盗んだ少年の姿に次々と変わる。最後にキリストの言葉が響く「私の兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、私にしてくれたことなのである」(マタイ25:40)。

・ガリラヤはガーリール(周辺)を意味する。中心であるエルサレムから見れば周辺の地だ。「周辺で生きる」、「自分のため」だけではなく、「隣人と共に生きる」生活を私たちが始めた時、私たちは「生けるイエス」と出会う。その人生は、この世的な「幸福な人生」ではないかもしれない。ペテロもパウロも殉教した。しかし「意味のある人生」だった。キリストに出会うことを通して、私たちは「意味のある人生」に招かれる。

・国連が調査した世界幸福度調査(2013年)によると、幸福度1位はデンマーク、2位ノルウェー、3位スイス、以下17位アメリカ、22位イギリス、日本は43位。シンガポール(30位)、タイ(36位)より下で、先進国では最低レベルである。OECD調査も同じ傾向を示している。「日本は経済的に豊かなのに、日本人は幸福ではない」、何故ならば「人はパンだけで生きるのではない」(マタイ4:4)からだ。私たちはパン=物質的な豊かさを求めすぎて、不幸になっているのではないか。本当の命はどこにあるのか、復活のイエスはガリラヤで弟子たちを招かれ、弟子たちはイエスの業を継承するために教会を形成した。私たちも復活のイエスと出会い、召命を受け、それぞれの持ち場に遣わされていく。「ガリラヤに行きなさい」、私たちも弟子たちと同じ経験をすることによって、真の豊かさに巡り会えるのではないか。

-

Copyright© 日本バプテスト連盟 篠崎キリスト教会 , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.