・詩篇147編はエズラ記とネヘミヤ記が背景になっている。エズラ記は捕囚から帰還したユダヤの民がハガイとゼカリヤたちを中心に反対勢力の妨害に耐え抜き、神殿再建に成功したことを記す。
-エズラ6:15-16「この神殿はダレイオス王の治世第六年のアダルの月の二十三日に完成した。イスラエルの人々、祭司、レビ人、残りの捕囚の子らは、喜び祝いつつその神殿の奉献を行った。」
・147編は捕囚からの解放と神殿再建の喜びから始まる。捕囚の苦しみから解放され、神殿再建を成し遂げたからこそ、その喜びは大きい。
-詩篇147:1-3「ハレルヤ。私たちの神をほめ歌うのはいかに喜ばしく、神への賛美はいかに美しく快いことか。主はエルサレムを再建し、イスラエルの追いやられた人々を集めてくださる。打ち砕かれた心の人々を癒し、その傷を包んでくださる。」
・民はエルサレム再建に導いた主の偉大さをたたえる賛美を行う。
-詩篇147:4-7「主は星に数を定め、それぞれに呼び名をお与えになる。私たちの主は大なる方、御力は強く、英知の御業は数知れない。主は貧しい人々を励まし、逆らう者を地に倒される。感謝の献げ物をささげて主に歌え。竪琴に合わせてわたしたちの神にほめ歌を歌え。」
・イスラエルは地中海式気候で、北部は雨が多く湿潤で緑が多いが、雨の量は南部では地を潤すには足りず、南育ち難い。だからこそ恵みの雨を降らせ、草木を芽生えさせ、烏まで養う神の恩寵に感謝し賛美する。
-詩篇147:8-9「主は天を雲で覆い、大地のために雨を備え、山々の草を芽生えさせられる。獣や、烏のたぐいが求めて鳴けば、食べ物をお与えになる。」
・古より、人間の争いは絶えず、戦いの恐怖は人々を軍備に駆り立て、際限なく、新しい兵器を造り出した。そして20世紀に至り大量殺戮兵器、原子爆弾、水素爆弾まで発明した。しかし、それで救われるどころか、かえって、人類絶滅の恐怖に怯えるようになる。10-11節は、救いは武力では得られないと軍備を否定する。
-詩篇147:10-11「主は馬の勇ましさを喜ばれるのでもなく、人の足の速さを望まれるのでもない。主が望まれるのは主を畏れる人、主の慈しみを待ち望む人。」
・ホセア書はもっとはっきり軍備を否定する。
-ホセア1:7「だが、ユダの家に憐れみをかけ、かれらの神なる主として、私は彼らを救う。弓、剣、戦い、騎兵によって救うのではない。」
・捕囚帰還後、ペルシャに残留していたネヘミヤはユダの子孫で、ペルシャ王の側近だった。彼はエルサレムの荒廃を聞き、エルサレムを再興させることを王に願い出て、期限つきで帰還を許される。彼はまずエルサレムの城壁の再建を計画し、敵に妨げられながらも52日で完成させる。その後、敵の侵入を防ぐため城門の管理を厳しくする。それは城門のかんぬきを堅固にすることであった。
-詩篇147:12-14「エルサレムよ、主をほめたたえよ、シオンよ、あなたの神を賛美せよ。主はあなたの城門のかんぬきを堅固にし、あなたの中に住む子らを祝福してくださる。あなたの国境に平和を置き、あなたを最良の麦の飽かせてくださる」
・エズラ帰還の13年後にイスラエルに帰ったネヘミヤは様々の改革を行う。城壁で外敵の侵入を防ぐだけでなく。宗教改革も実行する。神の会衆から異邦人を除き(ネヘミヤ13:1-3)、安息日の就労と商取引を中止させ(ネヘミヤ13:5-22)、復興後の神殿での奉仕を維持し(10章)モ-セの律法の朗読の慣習を確立させた。(8章)
・詩篇147編15-18節は神の命によりすべての気象現象は起こると歌う。
-詩篇147:15-18「主は仰せを地に遣わされる。御言葉は速やかに走る。羊の毛のような雪を降らせ、灰のような霜をまき散らし、氷塊をパン屑のように投げられる。誰がその冷たさに耐ええよう。御言葉を遣わされれば、それは溶け、息を吹きかけられれば、流れる水となる。」
・主はイスラエルに啓示を与えられる。
-詩篇147:19-20「主はヤコブに御言葉を、イスラエルに掟と裁きを告げられる。度の国に対しても、このように計らわれたことはない。彼らは主の裁きを知りえない。ハレルヤ。」
・しかし、私たちはイエス・キリストによる啓示をすでに受けている。
-ヨハネ1:16-17「私たちは皆、この方の満ちあふれる豊かさの中から、恵みの上に、更に恵みを受けた。律法はモ-セを通して与えられたが、恵みはイエス・キリストを通して現れたからである。いまだかって、神を見た者はいない。父のふところにいる独り子である神、この方が神を示されたのである。」