1.安息日、安息月、安息年
・イスラエルの祝祭日の基本は、7日目の安息日である。安息日には聖なる集会を守れと命じられる。
−レビ記23:3「六日の間仕事をする。七日目は最も厳かな安息日であり、聖なる集会の日である。あなたたちはいかなる仕事もしてはならない。どこに住もうとも、これは主のための安息日である。」
・これは主の創造の業を感謝する意味と、主の救済の業を感謝する、双方の意味があった。安息日は、単に休息するのではなく、聖別された日であり、聖なる集会を持って、主を覚えよと命令されている。
−出エジプト記20:8-11「六日の間に主は天と地と海とそこにあるすべてのものを造り、七日目に休まれたから、主は安息日を祝福して聖別されたのである。」
−申命記5:12-15「あなたはかつてエジプトの国で奴隷であったが、あなたの神、主が力ある御手と御腕を伸ばしてあなたを導き出されたことを思い起こさねばならない。そのために、あなたの神、主は安息日を守るよう命じられたのである。」
・第7の月は、安息月である。この日の1日目は新年として、10日目は贖罪の日として守れと言われている。
−レビ記23:24-28「第七の月の一日は安息の日として守り、角笛を吹き鳴らして記念し、聖なる集会の日としなさい。・・・第七の月の十日は贖罪日である。聖なる集会を開きなさい。あなたたちは苦行をし、燃やして主にささげる献げ物を携えなさい。この日にはいかなる仕事もしてはならない。この日は贖罪日であり、あなたたちの神、主の御前においてあなたたちのために罪の贖いの儀式を行う日である。」
・7年目は安息の年であり、7の7倍の50年目は大贖罪日と呼ばれ、全ての奴隷や債務が許された。
−レビ記25:8-13「安息の年を七回、すなわち七年を七度数えなさい。七を七倍した年は四十九年である。・・・この五十年目の年を聖別し、全住民に解放の宣言をする。それが、ヨベルの年である。あなたたちはおのおのその先祖伝来の所有地に帰り、家族のもとに帰る。・・・ヨベルの年には、おのおのその所有地の返却を受ける。」
2.過越、七週、仮庵の祭り
・イスラエルの三大祭りは春の過越し、夏の七週、秋の仮庵の祭りである。それぞれ農耕に起源を持つが、出エジプトを記念して、救済の祭りとしても祝うようになった。
−出エジプト記23:14-17「あなたは年に三度、私のために祭りを行わねばならない。あなたは除酵祭を守らねばならない。・・・あなたは、畑に蒔いて得た産物の初物を刈り入れる刈り入れの祭りを行い、年の終わりには、畑の産物を取り入れる時に、取り入れの祭りを行わねばならない。年に三度、男子はすべて、主なる神の御前に出ねばならない。」
・過越しの祭り(太陽暦3−4月)は、種入れぬパンの祭りと重なる。本来は、羊の初子を献げ、穀物の初穂を捧げる祭りであったが、出エジプトの出来事の後、神の救済を覚える祭りとなった。
−出エジプト記12:13-14「あなたたちのいる家に塗った血は、あなたたちのしるしとなる。血を見たならば、私はあなたたちを過ぎ越す。・・・この日は、あなたたちにとって記念すべき日となる。あなたたちは、この日を主の祭りとして祝い、代々にわたって守るべき不変の定めとして祝わねばならない。」
・七週の祭り(太陽暦5−6月)は、過越から七週目(50日目=ペンテコステ)に、小麦の収穫を祝う刈入れの祭りであったが、この日にシナイ山で律法が与えられた日より、ユダヤ教の誕生日とされた。
−出エジプト記34:22 「あなたは、小麦の収穫の初穂の時に、七週祭を祝いなさい。」
・仮庵の祭り(太陽暦9−10月)は、元来はぶどうの収穫を祝う祭り(仮庵を造り、寝泊りして収穫する)、次第に、仮庵に住み、荒野を旅した先祖達の労苦を思う日になっていった。
−レビ記23:42-43「あなたたちは七日の間、仮庵に住まねばならない。イスラエルの土地に生まれた者はすべて仮庵に住まねばならない。これは、私がイスラエルの人々をエジプトの国から導き出したとき、彼らを仮庵に住まわせたことを、あなたたちの代々の人々が知るためである。私はあなたたちの神、主である。」
・イエスは過越の祭りの時に犠牲の子羊として十字架で死なれ、七週の祭りの時に聖霊が降臨し教会が出来た。イエスが宣教の始めに言われたことは、今こそ大贖罪日の日、解放の日が来たとの宣言であった。新約聖書は旧約聖書を踏まえた上で書かれている。
−ルカ4:18-19「主の霊が私の上におられる。貧しい人に福音を告げ知らせるために、主が私に油を注がれたからである。主が私を遣わされたのは、捕らわれている人に解放を、目の見えない人に視力の回復を告げ、圧迫されている人を自由にし、主の恵みの年を告げるためである。」