１．パンを与えると言うイエスの言葉を信じない弟子たち
・イエスはヨハネが殺されたことを聞かれると、祈るためにガリラヤ湖の対岸に行かれた。
―マタイ14:12-13「ヨハネの弟子たちが来て、遺体を引き取って葬り、イエスのところに行って報告した。イエスはこれを聞くと、舟に乗ってそこを去り、ひとり人里離れた所に退かれた。」
・しかし、そこにも群集がついてきた。イエスに病人をいやしてもらうためである。
―ヨハネ6:1-2「イエスはガリラヤ湖、すなわちティベリアス湖の向こう岸に渡られた。大勢の群衆が後を追った。イエスが病人たちになさったしるしを見たからである。」
・イエスは群集を憐れみ、彼らにパンを与えるよう、弟子たちに命じられた。ピリポは「こんなに大勢にパンを与えることは無理です」と言った。
―ヨハネ6:5-7「イエスは目を上げ、大勢の群衆が御自分の方へ来るのを見て、フィリポに、『この人たちに食べさせるには、どこでパンを買えばよいだろうか』と言われた。・・・フィリポは、『めいめいが少しずつ食べるためにも、二百デナリオン分のパンでは足りないでしょう』と答えた。」
・アンデレも「ここに5つのパンと2匹の魚がありますが、こんなに大勢では役には立たないでしょう」と言った。
―ヨハネ6:8-9「弟子の一人で、シモン・ペトロの兄弟アンデレが、イエスに言った。『ここに大麦のパン五つと魚二匹とを持っている少年がいます。けれども、こんなに大勢の人では、何の役にも立たないでしょう。』」
・人間は自分の尺度で計算し、物事の成否を決める。モーセでさえ、肉を与えると約束された時、疑っている。
―民数記11:21「モーセは言った。『私の率いる民は男だけで六十万人います。それなのに、あなたは、『肉を彼らに与え、一か月の間食べさせよう』と言われます。しかし、彼らのために羊や牛の群れを屠れば足りるのでしょうか。海の魚を全部集めれば足りるのでしょうか。』主はモーセに言われた。『主の手が短いというのか。私の言葉どおりになるかならないか、今、あなたに見せよう。』」
２．神の業としての養い
・イエスは5000人の人を座らせ、パンと魚を配られた。人々は欲しいだけ食べることが出来た。
―ヨハネ6:10-11「イエスは『人々を座らせなさい』と言われた。そこには草がたくさん生えていた。男たちはそこに座ったが、その数はおよそ五千人であった。さて、イエスはパンを取り、感謝の祈りを唱えてから、座っている人々に分け与えられた。また、魚も同じようにして、欲しいだけ分け与えられた。」
・パンの問題は人間生活の基本だ。だから、イエスは「日毎のパンが求めよ」と祈りを教えられた。
―マタイ6:9-11「天におられる私たちの父よ、・・・私たちに必要な糧を今日与えてください。」
・しかし、人はパンだけで生きるものではない。生きるのに必要な肉のパンは父が与えて下さるから、あなた方はもっと大事な霊の糧を求めなさいとイエスは言われる。
―ヨハネ6:27「朽ちる食べ物のためではなく、いつまでもなくならないで、永遠の命に至る食べ物のために働きなさい。これこそ、人の子があなたがたに与える食べ物である。」
・しかし、人々が求めるのは、常に肉のパンだ。しかも、そのパンを人々は自分の手でつかもうとする。
―ヨハネ6:14-15「人々はイエスのなさったしるしを見て『まさにこの人こそ世に来られる預言者である』と言った。イエスは、人々が来て、自分を王にするために連れて行こうとしているのを知り、一人でまた山に退かれた。」
・パンはつかむものではなく、与えられるものだ。必要なものは与えられるが、人はそれで満足できない。マナを与えられた出エジプトの民は、明日の分まで蓄えようとしたが、余分なマナは虫がついて腐ってしまった。
―出エジプト記16:17-21「イスラエルの人々は・・・ある者は多く集め、ある者は少なく集めた。しかし、オメル升で量ってみると、多く集めた者も余ることなく、少なく集めた者も足りないことなく、それぞれが必要な分を集めた。モーセは彼らに『だれもそれを、翌朝まで残しておいてはならない』と言ったが、彼らはモーセに聞き従わず、何人かはその一部を翌朝まで残しておいた。虫が付いて臭くなったので、モーセは彼らに向かって怒った。そこで、彼らは朝ごとにそれぞれ必要な分を集めた。日が高くなると、それは溶けてしまった。」
・パンを与えられた群衆もイエスが本当に与えようとしておられるのが、肉のパンではなく霊のパンであることを知ると、イエスから離れていった。私たちも自分が欲しいもののみを求めるが、これは信仰ではない。
―ヨハネ6:41「ユダヤ人たちは、イエスが『私は天から降って来たパンである』と言われたので、イエスのことでつぶやき始めた」