2020年3月8日説教(ヨハネ14:1-20、神を信じ、私を信じなさい)

投稿日:2020年3月7日 更新日:

1.心騒がせる弟子たち

 

・イエスは、木曜日の夜、弟子たちと最後の食事をされました。イエスはこの世を去り、父の元へ帰る時が来たことを悟り、弟子たちに言われました「私はこれからいなくなる。私のいない後、あなたたちが互いに仕え合うように、私はあなたたちの足を洗った」。弟子たちは、これまでイエスの受難予告を何度も聴いて来ましたが、真剣にはとらえていませんでした。むしろ、イエスがエルサレムに行かれたら、王として即位されるのではと期待していました。しかし、イエスの言われた「栄光」とは、イエスが捕らえられ、十字架で殺されることであることが、今ははっきりわかりました。危険が切迫していることをまざまざと感じ取った弟子たちに、動揺が走ります「先生がいなくなる、自分たちはこれからどうすればよいのか」。

・ヨハネ14章は、死を前にしたイエスの訣別説教です。最後の晩餐の時、ユダはイエスを売るために既に部屋を出ています。イエスを逮捕する兵士たちがまもなく来る。弟子たちの間に動揺が広がりました。弟子たちにイエスは言われます「心を騒がせるな。神を信じなさい。そして、私をも信じなさい」(14:1)。イエスは続けられます「私の父の家には住む所がたくさんある。もしなければ、あなたがたのために場所を用意しに行く」(14:2)そして言われます「私がどこに行くのか、あなた方は知っている」(14:4)。懐疑家のトマスは尋ねます「主よ、どこへ行かれるのか、私たちには分かりません。どうして、その道を知ることができるでしょうか」(14:5)。

・イエスはそれに答えられます「私は道であり、真理であり、命である。私を通らなければ、だれも父のもとへ行くことができない」(14:6)。「私は道である」、私たちはイエスの道(生き方)を通して、神を知ります。弟子たちは三年間、イエスと寝食を共にして、イエスが生きた神の子であることを知っているはずです。それなのにわからないという。イエスは言葉を続けられます「あなたがたが私を知っているなら、私の父をも知ることになる。今から、あなたがたは父を知る。いや、既に父を見ている」(14:7)。しかし、人は、見えない神を信じられない。フィリポは求めます「主よ、私たちに御父をお示し下さい」(14:8)。イエスは歎かれます「私を見た者は、父を見たのだ。何故御父をお示し下さいと言うのか」(14:9)。人々は言います「もし神がいるのであれば、この目で見せてほしい。そうすれば信じよう」。

 

2.イエス亡き後、聖霊が与えられる

 

・イエスは「父なる神と私は別の存在であるが、その働きは一つである」と語られます。後の三位一体の教えがここにありますが、フィリポには理解出来ません。イエスは言われます「私が父の内におり、父が私の内におられることを、信じないのか。私があなたがたに言う言葉は、自分から話しているのではない。私の内におられる父が、その業を行っておられるのである」(14:10)。私たちはイエスを通して神を見る。イエスはさらに言われます「私が父の内におり、父が私の内におられると信じなさい。もしそれを信じないなら、業そのものによって信じなさい」(14:10-11)。イエスは貧しい者に福音を伝え、罪びとを招き、病める者を癒された。その行為のうちに神の業が現れていることを信じなさいとイエスは語られます。

・イエスは「あなたがたのために場所を用意したら、戻って来てあなたがたを私のもとに迎える」と言われます。「私は再び来る」というイエスの言葉は、聖霊という形で復活者イエスが弟子たちのところに来られることを指しています。イエスの十字架後40日目のペンテコステの日に、その出来事が起きました「五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、"霊"が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした」(使徒2:1-4)。ガリラヤの漁師だったペテロたちに福音を伝えるための言葉が与えられたのです。

・イエスは語られます「私は父にお願しよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。この方は真理の霊である・・・あなたがたはこの霊を知っている。この霊があなたがたと共におり、これからも、あなたがたの内にいるからである」(14:16‐18)。この真理の霊(パラクレイトス)こそ、聖霊です。パラ=傍らに、カレオー=呼び出される者、傍らに呼び出される者、イエスは復活し、昇天後は聖霊として共にいると宣言されます。「私は、あなたがたを孤児にしてはおかない。あなたがたのところに戻って来る。しばらくすると、世はもう私を見なくなるが、あなたがたは私を見る。私が生きているので、あなたがたも生きることになる。かの日には、私が父の内におり、あなたがたが私の内におり、私もあなたがたの内にいることが、あなたがたに分かる」(14:19‐20)。ヨハネの教会は復活のイエスが共におられる(インマヌエル)との信仰によって、厳しい状況を生き抜くことが出来たのです。

 

3.神を信じ、私を信じなさい

 

・今日の招詞にヨハネ16:33を選びました。次のような言葉です「これらのことを話したのは、あなたがたが私によって平和を得るためである。あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。私は既に世に勝っている」。イエスは恐れ惑う弟子たちに「心を騒がせるな。神を信じ、私を信じなさい」と言われました。そして「私は再び戻ってくる」と約束されました。イエスは死して父の御許に行かれ、戻って来て、私たちと共にいると約束されます。この約束は聖霊降臨という形で成就しました。救いとは、神が天にいて、私たちは地にいて、死ねば天国に行くことではありません。神が共にいて下さるのであれば、既にここが天国なのです。私たちは天の国の民として、この地の国を歩んでいるのです。だからイエスは「私たちに苦難があってもそれに勝つことが出来る」と励まされます。

・人生は思いがけない出来事の連続です。その中で私たちは心配したり、絶望したりします。平素は神を信じ、イエスを信じていても、予期しない苦しみや悲しみに出会うと未信者と同じ慌て方をする。その人に必要なものは「生きた信仰」です。現実がいかに厳しいものであっても、その現実に正面から立ち向かう時、現実が変化していく体験を私たちはしてきています。イエスは動揺する弟子たちに、「心を騒がせるな、おじけるな」と言われます(14:27)。カトリックの片柳弘史神父は著書の中で語ります「すべて自分の思った通りになれば、自分が思っている程度の人にしかなれません。思った通りにならないからこそ、時々思いがけない試練がやってくるからこそ、自分の想像をはるかに超えて成長することが出来るのです」(「こころの深呼吸、気づきと癒しの言葉366」)。

・イエスがいなくなったらどうしようかと思い悩んだ弟子たちは、イエスが逮捕され、自分たちも身の危険にさらされた時、怖くなって逃げました。しかし復活のイエスに出会い、再び集められた時、彼らは変えられます。ペテロは、イエスを殺した大祭司に脅されると、答えます「人間に従うよりも、神に従わなくてはいけません」(使徒5:29)。また使徒言行録によりますと、「使徒たちはイエスの名によって辱めを受けるほどの者にされたことを喜んだ」(使徒5:41)。弟子たちはあれほど恐れていた死と十字架を感謝する者に変えられています。まさに人は、「思いがけない出来事」を通して、「心を騒がせない、おじけない存在」へと成長して行くのです。

・私たちは未来を恐れる必要はありません。何故ならば未来もまた神の御手の中にあるからです。それを信じて委ねれば良い。将来の不安が現実化した時には、その不安の中でもだえ、神を呼び求めれば良い。その時、恐れていた現実が、恵みの約束に変わっていくのを見ます。見たくないと思っていた十字架が感謝の出来事に変わります。神が共にいて下さるから、私たちはどのような状況の中にあっても希望を失いません。パウロは語るように、「私たちの『外なる人』は衰えていくとしても、私たちの『内なる人』は日々新たにされていきます」(第二コリント4:16)。何故ならば「見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです」(第二コリント4:18)。私たちは見えない神を信じて行きます。

・その時、私たちに物事を識別する知恵が与えられます。ラインホルド・ニーバーは祈ります「神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えて下さい。変えるべきものを変える勇気を、そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えて下さい」。有名な祈りですが、祈りの後半も示唆に富んでいます「一日一日を生き、この時をつねに喜びをもって受け入れ、困難を平穏への道として受け入れさせて下さい。これまでの私の考え方を捨て、イエス・キリストがされたように、この罪深い世界をそのままに受け入れさせて下さい。あなたのご計画にこの身を委ねれば、あなたが全てを正しくされることを信じています。そして、この人生が小さくとも幸福なものとなり、天国のあなたのもとで永遠の幸福を得ると知っています。アーメン」(ラインホルド・ニーバー「Serenity Prayer、平静を求める祈り」)。

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