すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

トップ  >  マタイによる福音書  >  2002年5月15日  マタイ5:1‐12 貧しい者は幸いだ
1.山上の説教について

・マタイが記すイエスの第1の説教は,律法ではなく福音である.神の子となる条件ではなく,恵みにより神の子とされた者が天の父である神に似た者に変えられていく姿である.一見厳しい要求の背後に,神の愛とあわれみがある。説教の直接の対象は,すでに弟子となった者たちである.一般の聴衆にはまず悔い改めを要求した。
―マタ 4:17「 そのときから、イエスは、「悔い改めよ。天の国は近づいた」と言って、宣べ伝え始められた。」
・「幸いなるかな」で始まる。道徳訓ではなく、祝福(福音)である。詩篇も最初は幸いで始まる。
―詩 1:1-3「いかに幸いなことか/神に逆らう者の計らいに従って歩まず/罪ある者の道にとどまらず/傲慢な者と共に座らず1:2 主の教えを愛し/その教えを昼も夜も口ずさむ人。その人は流れのほとりに植えられた木。ときが巡り来れば実を結び/葉もしおれることがない。その人のすることはすべて、繁栄をもたらす。」

2.心の貧しい人

・ルカでは単に「貧しいもの」とする。マタイは説明的に「心の」を付け加えた。地上において依り頼むところなきものの意である。従って彼は神に依り頼み、天に望みを置く。地に貧しき人が天に正しくあり得る。
―ルカ6:20「さて、イエスは目を上げ弟子たちを見て言われた。貧しい人々は、幸いである、/神の国はあなたがたのものである。」
―詩34:19「主は打ち砕かれた心に近くいまし/悔いる霊を救ってくださる。」
・神が最も嫌われるのは傲慢な人間たち、彼等は自らを神とする。
―ルカ18:11-14「ファリサイ派の人は立って、心の中でこのように祈った。『神様、わたしはほかの人たちのように、奪い取る者、不正な者、姦通を犯す者でなく、また、この徴税人のような者でもないことを感謝します。わたしは週に二度断食し、全収入の十分の一を献げています。』ところが、徴税人は遠くに立って、目を天に上げようともせず、胸を打ちながら言った。『神様、罪人のわたしを憐れんでください。』言っておくが、義とされて家に帰ったのは、この人であって、あのファリサイ派の人ではない。だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。」
・信仰さえ、恵みとして与えられる。従って、私たちには誇るものは何もない。
―マルコ9:22-24「霊は息子を殺そうとして、もう何度も火の中や水の中に投げ込みました。おできになるなら、わたしどもを憐れんでお助けください。」イエスは言われた。「『できれば』と言うか。信じる者には何でもできる。」その子の父親はすぐに叫んだ。「信じます。信仰のないわたしをお助けください。」

3.悲しむ人

・ルカは「今泣いているもの」と言う。泣くものは、隣人の悲しみを知る。
―ルカ6:21「今飢えている人々は、幸いである、/あなたがたは満たされる。今泣いている人々は、幸いである、/あなたがたは笑うようになる。」
・神は暗闇と死の陰に座しているものを照らされる。だから、イエスは暗い夜に降られた。
―哀歌3:28-33「軛を負わされたなら/黙して、独り座っているがよい。3:29 塵に口をつけよ、望みが見いだせるかもしれない。打つ者に頬を向けよ/十分に懲らしめを味わえ。主は、決して/あなたをいつまでも捨て置かれはしない。主の慈しみは深く/懲らしめても、また憐れんでくださる。人の子らを苦しめ悩ますことがあっても/それが御心なのではない。」

4.柔和な人

・主により頼むものは自らの力にたよらない。全てを主に委ねるとき、そこに憎しみも報復も生じない。
―詩編37:4-11「主に自らをゆだねよ/主はあなたの心の願いをかなえてくださる。あなたの道を主にまかせよ。信頼せよ、主は計らい、あなたの正しさを光のように/あなたのための裁きを/真昼の光のように輝かせてくださる。沈黙して主に向かい、主を待ち焦がれよ。繁栄の道を行く者や/悪だくみをする者のことでいら立つな。怒りを解き、憤りを捨てよ。自分も悪事を謀ろうと、いら立ってはならない。悪事を謀る者は断たれ/主に望みをおく人は、地を継ぐ。しばらくすれば、主に逆らう者は消え去る。彼のいた所を調べてみよ、彼は消え去っている。貧しい人は地を継ぎ/豊かな平和に自らをゆだねるであろう。」

5.義に飢え渇く人

・これは消極的生き方の勧めではない。正義を求めよとの強い命令である。信仰者はそのために命さえ棄てる。
―アモス5:11-24「お前たちは弱い者を踏みつけ/彼らから穀物の貢納を取り立てるゆえ/切り石の家を建てても/そこに住むことはできない。見事なぶどう畑を作っても/その酒を飲むことはできない。お前たちの咎がどれほど多いか/その罪がどれほど重いか、わたしは知っている。お前たちは正しい者に敵対し、賄賂を取り/町の門で貧しい者の訴えを退けている。それゆえ、知恵ある者はこの時代に沈黙する。まことに、これは悪い時代だ。・・・お前たちの騒がしい歌をわたしから遠ざけよ。竪琴の音もわたしは聞かない。正義を洪水のように/恵みの業を大河のように/尽きることなく流れさせよ。」

6.憐れみ深い人

・心の貧しいものは、他の貧しいものに対し、憐れみの心をもつことができる。許されたものだけが許すことができる。
―マタイ6:12「わたしたちの負い目を赦してください、/わたしたちも自分に負い目のある人を/赦しましたように。」

7.心の清い人

・悲しみを知るものだけが、他人の悲しみを知る。悲しみがあることはこのようにして、祝福になる。

8.平和を実現する人

・平和とは神の平和である。神の平和を知る人は貪らず、報復しない。
―ヤコブ4:1-3「何が原因で、あなたがたの間に戦いや争いが起こるのですか。あなたがた自身の内部で争い合う欲望が、その原因ではありませんか。あなたがたは、欲しても得られず、人を殺します。また、熱望しても手に入れることができず、争ったり戦ったりします。得られないのは、願い求めないからで、願い求めても、与えられないのは、自分の楽しみのために使おうと、間違った動機で願い求めるからです。」

9.義のために、私のために迫害される人

・キリストを信じるとは彼に従うこと。イエスは各自の十字架を背負えと言われる。
―マルコ8:34-35「それから、群衆を弟子たちと共に呼び寄せて言われた。「わたしの後に従いたい者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい。自分の命を救いたいと思う者は、それを失うが、わたしのため、また福音のために命を失う者は、それを救うのである。」
―ルカ6:22-23「人々に憎まれるとき、また、人の子のために追い出され、ののしられ、汚名を着せられるとき、あなたがたは幸いである。その日には、喜び踊りなさい。天には大きな報いがある。この人々の先祖も、預言者たちに同じことをしたのである。」
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