すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

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1.正義について(23:1-9)

・法廷で「正義」を曲げてはいけないと言われる。法廷では人間が人間を裁く。そこでは不正が起こりうる。しかし、「法の裁きの後ろに神がおられることを忘れるな」と言われている。
-出エジプト記23:1-3「あなたは根拠のないうわさを流してはならない。悪人に加担して、不法を引き起こす証人となってはならない。あなたは多数者に追随して、悪を行ってはならない。法廷の争いにおいて多数者に追随して証言し、判決を曲げてはならない。また弱い人を訴訟において曲げてかばってはならない。」
・同じことが6節にも繰り返される。正義という理念が旧約聖書の根幹にある。
−出エジプト記23:6-7「あなたは訴訟において乏しい人の判決を曲げてはならない。偽りの発言を避けねばならない。罪なき人、正しい人を殺してはならない。私は悪人を、正しいとすることはない。」
・「正義を踏みにじったもの」は罰すると主は言われていると預言者は繰り返した。
−アモス2:6-8「イスラエルの三つの罪、四つの罪の故に、私は決して赦さない。彼らが正しい者を金で、貧しい者を靴一足の値で売ったからだ。彼らは弱い者の頭を地の塵に踏みつけ、悩む者の道を曲げている・・・祭壇のある処ではどこでも、その傍らに質にとった衣を広げ科料として取り立てたぶどう酒を、神殿の中で飲んでいる。」
・正義に関する規定は法廷だけでなく、日常生活にも適用される。「敵の牛が迷い、ろばが倒れているならば手伝え、それが正義なのだ」と語られる。
-出エジプト記23:4-5「あなたの敵の牛あるいはろばが迷っているのに出会ったならば、必ず彼のもとに連れ戻さなければならない。もし、あなたを憎む者のろばが荷物の下に倒れ伏しているのを見た場合、それを見捨てておいてはならない。必ず彼と共に助け起こさねばならない。」
・敵を憎むな、イエスの言われた戒めが旧約の中にも響いている。
−箴言25:21-22「あなたを憎む者が飢えているならパンを与えよ。渇いているなら水を飲ませよ。こうしてあなたは炭火を彼の頭に積む。そして主があなたに報いられる。」
・パウロはそれを新約の中においても展開する。
-ローマ12:19-21「自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。『復讐は私のすること、私が報復する』と主は言われると書いてあります。『あなたの敵が飢えていたら食べさせ、渇いていたら飲ませよ。そうすれば、燃える炭火を彼の頭に積むことになる。』悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい。」
・2001年9月11日、米国はテロ攻撃を受けて数千人の市民を殺された。ブッシュ大統領は、報復を求めて、アフガニスタンやイラクを攻撃した。この戦争の中で教会は平和を求めて祈り続けた。ジェームズ・マグロー著「グランド・ゼロからの祈り」は、テロで破壊された貿易センタービルと同じ地域にあったオールド・ジョン・ストリート・合同メソジスト教会の2001年9月16日から10週間の礼拝説教の祈りを集めた本だ。−事故から5日後の9月16日、教会は祈る「仕返しと報復を立法化せよと要求する怒りの声が悲劇の現場から教会の説教壇に至るまで鳴り響いています。復讐を求める合唱の中で『敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい』と促されたイエスの御言葉に聞くことが出来ますように」。
−次の週、町には星条旗があふれ、国内のイスラム教徒はテロのとの関連を疑われて次々に拘束されていく中で教会は祈る「戦争の風が勢いを増しています。どうか私たちの怒りと復讐の要求を平和への切望に取り替えて下さい」。
−やがてアフガニスタンに対する報復攻撃が始まる。教会は祈る「現在起きている事件の中で、全ての人々への同情心で私たちを満たすよう、聖霊を送って下さい。その人々とはアフガニスタンの罪なき子どもたち、女や男たちです。おお神様、あなたの愛に満ちた霊を全ての悩める心に吹き込んで下さい」。
−この祈りから10年、イラク・アフガン戦争の米軍死者は6,742人となり、一般市民犠牲者17万人を加えれば、アメリカ軍の行動により18万人の人が死んだ。「自分の手で報復しない、神に委ねる」、平和はそれ以外の方法では来ないことを、多くのアメリカ人は自国民の血を流して理解した。祈りは聞かれた。この世の目から見れば、教会は弱く、国家という巨像の脇に立つ、取るに足りない存在であるかのように見える。しかし、教会は、神の国が必ず勝ち、教会は神の摂理を見ることが許されていると確信して発言する。

2.祭儀について(23:10−19)

・7年ごとに土地を休ませ、土地の実りは貧しい者に与えよと言われている。安息年の規定である。肥料が十分になかった古代においては、7年目毎に土地を休ませることが最良の農業法であった。その間に収穫がなくとも与えるから心配するなと言われている(レビ記25:20-21)。
−出エジプト記23:10-11「あなたは六年の間、自分の土地に種を蒔き、産物を取り入れなさい。しかし、七年目には、それを休ませて、休閑地としなければならない。あなたの民の乏しい者が食べ、残りを野の獣に食べさせるがよい。ぶどう畑、オリーブ畑の場合も同じようにしなければならない。」
・安息日規定も、「牛やろば、奴隷の子や寄留者たちが元気を取り戻すために」と規定されている、
−出エジプト記23:12「あなたは六日の間、あなたの仕事を行い、七日目には、仕事をやめねばならない。それは、あなたの牛やろばが休み、女奴隷の子や寄留者が元気を回復するためである。」
・収穫感謝のために三つの祭りを祝えと言われている。
−出エジプト記23:14-16「あなたは年に三度、私のために祭りを行わねばならない。あなたは除酵祭を守らねばならない・・・あなたは、畑に蒔いて得た産物の初物を刈り入れる刈り入れの祭りを行い、年の終わりには、畑の産物を取り入れる時に、取り入れの祭りを行わねばならない。」
・除酵祭(過越祭)は大麦の刈入れ、刈入れの祭り(七週際、五旬節)は小麦の収穫、取り入れの祭り(仮庵祭)はぶどうやオリーブの収穫祭であった。その祭りがやがて救済感謝の祭りとされていく。
−申命記16:1-3「アビブの月を守り、あなたの神、主の過越祭を祝いなさい。アビブの月のある夜、あなたの神、主があなたをエジプトから導き出されたからである。あなたは、主がその名を置くために選ばれる場所で、羊あるいは牛を過越のいけにえとして、あなたの神、主に屠りなさい。その際、酵母入りのパンを食べてはならない。七日間、酵母を入れない苦しみのパンを食べなさい。あなたはエジプトの国から急いで出たからである。こうして、あなたはエジプトの国から出た日を生涯思い起こさねばならない。」

3.契約の書の結び(23:20−33)

・神は土地をイスラエルに与えると約束する。
-出エジプト記23:23-26「私の使いがあなたの前を行き、あなたをアモリ人、ヘト人、ペリジ人、カナン人、ヒビ人、エブス人の所に導く時、私は彼らを絶やす。あなたは彼らの神々にひれ伏し仕えてはならない。そのならわしを行ってはならない。あなたは彼らを滅ぼし、その石柱を打ち砕かねばならない。あなたたちは、あなたたちの神、主に仕えねばならない。主はあなたのパンと水を祝福するであろう。私はあなたの中から病を取り除く・・・私はあなたの天寿を全うさせる。」
・しかし、その進行は緩やかなものになるであろうと言われている。実際にイスラエルが約束された全土を占領したのは、300年後のダビデ王の時だった。
−出エジプト記23:28-30「私はあなたの前に恐怖を送り、あなたの前からヒビ人、カナン人、ヘト人を追い出す。しかし、一年間は彼らをあなたの前から追い出さない。さもないと、国土は荒れ果て、野獣の数が増し、あなたに向かって来る。私は彼らをあなたの前から徐々に追い出すので、あなたは子を産み、国土を受け継ぐに至る」。
・イスラエルはこのために忠誠を誓うことが求められる。
-出エジプト記23:31—33「私は葦の海からペリシテ人の海まで、また荒れ野から大河までをあなたの領地と定める。私はその土地の住民をあなたたちの手に渡すから、あなたは彼らを自分の前から追い出す。あなたは彼らおよび彼らの神々と契約を結んではならない・・・彼らがあなたに、私に対する罪を犯させないためである。さもないと、あなたは彼らの神々を拝み、それは、あなたにとって罠となるからである。」
・現実のイスラエルはやがてカナンの神々を拝み、主から離反し、それにより彼らは嗣業の地を失う。
−申命記31:20-21「私がその先祖に誓った乳と蜜の流れる土地に彼を導き入れる時、彼は食べて満ち足り、肥え太り、他の神々に向かい、これに仕え、私を侮って私の契約を破るであろう。そして多くの災いと苦難に襲われる・・・私は、私が誓った土地へ彼らを導き入れる前から、既に彼らが今日、思い図っていることを知っていたのである。」
・それから2000年の時が流れ、イスラエルは1948年に国土を回復し、先住アラブ人を追放し、彼らはパレスチナ難民となった。1993年オスロ合意が成され、PLOはイスラエルを国家として承認、イスラエルもPLOをパレスチナ人の代表として自治を認めた。しかし、イスラエル・アラブ双方の過激派はこれを認めず、現在は極右のネタニエフが政権を握り、パレスチナ占領地への入植活動を強めている。神は現在のイスラエルをどう見ておられるのだろうか。「正義」という聖書の理想はどこに行ったのだろうか。
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