すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

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1.決疑法と断言法(21:33-22:16)

・イスラエル法のあるものは決疑法と呼ばれる。「もし・・・ならば、彼は・・・しなければいけない」と言うもので、世俗の事柄を扱う。ほとんどがメソポタミヤのハムラビ法典(紀元前1792年〜1750年)やカナンの慣習法に由来するとされる。出エジプト記は21:33−22:16まで、その具体例を列記する。
−出エジプト記21:37「人が牛あるいは羊を盗んで、これを屠るか、売るか、したならば、牛一頭の代償として牛五頭、羊一匹の代償として羊四匹で償わねばならない。」
−出エジプト記22:6「人が銀あるいは物品の保管を隣人に託し、それが隣人の家から盗まれた場合、もし、その盗人が見つかれば、盗人は二倍にして償わねばならない。」
−出エジプト記22:15「人がまだ婚約していない処女を誘惑し、彼女と寝たならば、必ず結納金を払って、自分の妻としなければならない。」
・他方、祭儀的・神学的な法は「あなたは・・・しなければならない」という断言法で書かれている。これはイスラエルがその信仰に基づいて定めたもので、古代東方の法には類例がない。律法の中心はこの断言法である。それは人間の知恵を超えた神からの賜物として人々は従った。
−出エジプト記22:20「(あなたは) 寄留者を虐待したり、圧迫したりしてはならない。」
−出エジプト記23:2 「あなたは多数者に追随して、悪を行ってはならない。法廷の争いにおいて多数者に追随して証言し、判決を曲げてはならない。」

2.呪術の禁止(22:17-19)

・イスラエルでは呪術を行う者、獣と交わる者、他の神々に犠牲を捧げる者は死刑とされた。
−出エジプト記22:17-19「女呪術師を生かしておいてはならない。すべて獣と寝る者は必ず死刑に処せられる。主ひとりのほか、神々に犠牲をささげる者は断ち滅ぼされる。」
・カナンにおいては魔術や死者交霊は日常的であり、その悪習がイスラエルにも入ってきた。法はそのようなものは聖絶(滅ぼし尽くせ)と命じる。
−申命記18:10-14「あなたの間に、自分の息子、娘に火の中を通らせる者、占い師、卜者、易者、呪術師、呪文を唱える者、口寄せ、霊媒、死者に伺いを立てる者などがいてはならない。これらのことを行う者をすべて、主はいとわれる。これらのいとうべき行いのゆえに、あなたの神、主は彼らをあなたの前から追い払われるであろう。あなたは、あなたの神、主と共にあって全き者でなければならない。あなたが追い払おうとしているこれらの国々の民は、卜者や占い師に尋ねるが、あなたの神、主はあなたがそうすることをお許しにならない。」

3.隣人を愛せ(22:20−26)

・イスラエルの法では、「寄留者を虐げるな」という戒めが繰り返し語られる。それは彼らがエジプトの地で寄留者として苦しめられ、それを神が救われたからだ。慰めを受けたものが他者を虐げていいのかと言う問いである。寄留者は今日の言葉でいえば「在留外国人」である。日本人は寄留の体験がないから、他国人に対して冷淡なのだろうか。日本では2014年に、シリア難民を含む5000人が亡命申請し、受け入れたのは11人(シリア人は累計で3人)。日本在住のジャーナリスト、ティム・ホルニャク氏は語る「全シリア難民の2倍以上を収容できる800万戸の空き家がある日本が、2014年にたった11人の亡命申請しか受け入れなかったのは正気の沙汰ではない」。
−出エジプト記23:9「あなたは寄留者を虐げてはならない。あなたたちは寄留者の気持を知っている。あなたたちは、エジプトの国で寄留者であったからである。」
・「寡婦や孤児を苦しめるな」と繰り返し言われる。彼らには家族の長の保護がなく、社会に依存しなければ生きることが出来ない。神はエジプトで抑圧に苦しむ声を聞いた。だから、ここでも苦しむ者の声を聞くと言われる。
−出エジプト記22:21-22「寡婦や孤児はすべて苦しめてはならない。もし、あなたが彼を苦しめ、彼が私に向かって叫ぶ場合は、私は必ずその叫びを聞く。」
・「寡婦や孤児を苦しめるものは私が剣で殺す」とさえ神は言われる。あなたが死ねばあなたの妻は寡婦となり、あなたの子は孤児になるのだ。神の憐れみはこのような激しさを持つ。
−出エジプト記22:23「私の怒りは燃え上がり、あなたたちを剣で殺す。あなたたちの妻は寡婦となり、子供らは、孤児となる。」
・「民の貧しい者に貸す時は利子を取るな、借金の担保に上着(外套)を取った時には日没までにそれを返せ」と命じられる。貧しい者は外套なしでどうして夜の寒さを耐えることが出来ようか。
−出エジプト記22:24-26「あなたが私の民、あなたと共にいる貧しい者に金を貸す場合は、彼に対して高利貸しのようになってはならない。彼から利子を取ってはならない。もし、隣人の上着を質にとる場合には、日没までに返さねばならない。なぜなら、それは彼の唯一の衣服、肌を覆う着物だからである。彼は何にくるまって寝ることができるだろうか。もし、彼が私に向かって叫ぶならば、私は聞く。私は憐れみ深いからである。」
・イエスはこれを更に進めよと命令された。貸す時に返してもらうことを当てにせずに貸せと命じられた。
−ルカ6:34-35「返してもらうことを当てにして貸したところで、どんな恵みがあろうか。罪人さえ、同じものを返してもらおうとして、罪人に貸すのである・・・何も当てにしないで貸しなさい。そうすれば、たくさんの報いがあり、いと高き方の子となる。いと高き方は、恩を知らない者にも悪人にも、情け深いからである。」

4.祭儀的律法

・神や王を呪うなと命じられる。それは尊敬されるべきである。
−出エジプト記22:27「神をののしってはならない。あなたの民の中の代表者を呪ってはならない。」
・これは後にパウロによって、「神が与えられた秩序を尊重しなさい」として、語られる。
−ローマ13:1-7「人は皆、上に立つ権威に従うべきです。神に由来しない権威はなく、今ある権威はすべて神によって立てられたものだからです。従って、権威に逆らう者は、神の定めに背くことになり、背く者は自分の身に裁きを招くでしょう・・・権威者は、あなたに善を行わせるために、神に仕える者なのです。しかし、もし悪を行えば、恐れなければなりません。権威者はいたずらに剣を帯びているのではなく、神に仕える者として、悪を行う者に怒りをもって報いるのです。だから、怒りを逃れるためだけでなく、良心のためにも、これに従うべきです。あなたがたが貢を納めているのもそのためです。権威者は神に仕える者であり、そのことに励んでいるのです。すべての人々に対して自分の義務を果たしなさい。貢を納めるべき人には貢を納め、税を納めるべき人には税を納め、恐るべき人は恐れ、敬うべき人は敬いなさい。」
・収穫の初物や初子は神に捧げよと命じられている。食物を恵んで下さった神に感謝するためである。
-出エジプト記22:28-29「あなたの豊かな収穫とぶどう酒の奉献を遅らせてはならない。あなたの初子を私にささげねばならない。あなたの牛と羊についても同じようにせよ。七日の間、その母と共に置き、八日目に私にささげねばならない。」
・収穫感謝も悲しい歴史を持つ。米国の感謝祭は、マサチューセッツ州プリマスに移住したピルグリム・ファーザーズの最初の収穫を記念する行事だ。彼らがプリマスに到着した1620年冬は厳しく、大勢の死者を出した。翌年、近隣のインディアン・ワンパノアグ族からトウモロコシなどの新大陸での作物の栽培知識を得て生き延びられた。1621年の秋は特に収穫が多かったので、白人たちはワンパノアグ族を招待して、神の恵みに感謝して共にご馳走をいただいた。その後、ピルグリムは1630年にマサチューセッツ族の領土に進入、白人が持ち込んだ天然痘により、天然痘に対して免疫力がなかったマサチューセッツ族の大半は病死した。1636年には1人の白人がピクォート族に殺された事がきっかけでピクォート戦争が発生、白人たちはピクォート族の村を襲い、大量虐殺を行った。現在のインディアンたちは「感謝祭」の日を境に先祖たちの知識や土地がヨーロッパからの移民達に奪われた、「大量虐殺の始まりの日」としている。
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