すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

トップ  >  創世記(二巡目)  >  2015年10月29日祈祷会(創世記15章、神とアブラハムの契約)
1.後継ぎの約束

・アブラハムがメソポタミアを出て、10年の歳月が流れた。約束の子(12:2)は与えられず、アブラハムはやむなく使用人エリエゼルを相続人に指名していた。そのアブラハムに神が現れ、「あなたの受ける報いは大きい」と祝福される。しかしアブラハムは「子を与えてくれないから使用人を相続人にした」と抗議する。
−創世記15:1-3「これらのことの後で、主の言葉が幻の中でアブラムに臨んだ『恐れるな、アブラムよ。私はあなたの盾である。あなたの受ける報いは非常に大きいであろう』。アブラムは尋ねた『わが神、主よ。私に何を下さるというのですか。私には子供がありません。家を継ぐのはダマスコのエリエゼルです』。アブラムは言葉をついだ『御覧のとおり、あなたは私に子孫を与えてくださいませんでしたから、家の僕が跡を継ぐことになっています』」。
・神はアブラハムに「あなた自身の子が生まれる。外に出て夜空を仰げ。その星の数ほどにあなたの子孫を増やす」と約束された。
―創世記15:4-6「見よ、主の言葉があった『その者があなたの跡を継ぐのではなく、あなたから生まれる者が跡を継ぐ』。主は彼を外に連れ出して言われた『天を仰いで、星を数えることができるなら、数えてみるがよい』。そして言われた『あなたの子孫はこのようになる』。アブラムは主を信じた。主はそれを彼の義と認められた」。
・アブラハムは「主の言葉を信じた」と創世記は記す。砂漠で星空を見たことのある者はこの記述に納得する。天の星は迫力をもって観察者に生き方の変更を迫る。ある旅行者はシナイ砂漠での体験を物語る。
−ある旅行者の手記より「標高2285メートルの聖地シナイ山に登って夜明けまでの数時間を満天の星空を見上げながら一人過ごしました・・・シナイ山はモーゼが3000年前にエジプトからヘブライ人を導き脱出した時に、父なる神から十戒の石板を受け取った聖地で、山頂にはトリニティ聖堂が建てられています・・・夜明け直前の星空だけがある冷え切った山頂の暗闇にいて、なぜかジョン・レノンのイマジンを繰り返し聴きました。『そこには天国も地獄もなくただ空があるだけ』、まるで無条件の愛と喜びだけがある世界に目覚める時代への前奏曲だったイマジンを聴いて、星空に吸い込まれそうになりながら。幾千もの星が輝くこの世界と、神と、自分との間に、無条件に愛し愛され愛し合うトリニティ(三位一体)を思い、涙が溢れてきました」。

2.アブラハムと契約を結ばれる神

・7節から舞台は変わる。しばらくの時を経て、アブラハムにまた神が現れ、祝福の約束が繰り返される。
アブラハムは神との約束を信じながらも、単なる口約束にうんざりしている。だから疑問を神の前に出す。
―創世記15:7-8「主は言われた『私はあなたをカルデアのウルから導き出した主である。私はあなたにこの土地を与え、それを継がせる』。アブラムは尋ねた『わが神、主よ。この土地を私が継ぐことを、何によって知ることができましょうか』」。
・主は契約を結ぶための準備をするようにアブラハムに命じられ、アブラハムはそれに従う。
−創世記15:9-11「主は言われた『三歳の雌牛と、三歳の雌山羊と、三歳の雄羊と、山鳩と、鳩の雛とを私のもとに持って来なさい』。アブラムはそれらのものをみな持って来て、真っ二つに切り裂き、それぞれを互いに向かい合わせて置いた。ただ、鳥は切り裂かなかった。禿鷹がこれらの死体をねらって降りて来ると、アブラムは追い払った」。
・古代の契約は動物を二つに裂いて、当事者がその間を通ることによって成立した。「契約を結ぶ」(ヘブル語=カラート)は「切る」という意味も持ち、もし契約を守らない時は、身を切り裂かれてもかまわないという誓いを示す。
−創世記15:17-21「日が沈み、暗闇に覆われたころ、突然、煙を吐く炉と燃える松明が二つに裂かれた動物の間を通り過ぎた。その日、主はアブラムと契約を結んで言われた『あなたの子孫にこの土地を与える。エジプトの川から大河ユーフラテスに至るまで、カイン人、ケナズ人、カドモニ人、ヘト人、ペリジ人、レファイム人、アモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の土地を与える』」。
・しかし約束の成就は今ではない。アブラハムに土地を与えるとの約束が成るのは400年後であることを示される。
−創世記15:12-16「日が沈みかけた頃、アブラムは深い眠りに襲われた。すると、恐ろしい大いなる暗黒が彼に臨んだ。主はアブラムに言われた『よく覚えておくがよい。あなたの子孫は異邦の国で寄留者となり、四百年の間奴隷として仕え、苦しめられるであろう。しかし私は、彼らが奴隷として仕えるその国民を裁く。その後、彼らは多くの財産を携えて脱出するであろう。あなた自身は、長寿を全うして葬られ、安らかに先祖のもとに行く。ここに戻って来るのは、四代目の者たちである。それまでは、アモリ人の罪が極みに達しないからである』」。
・400年後の祝福が約束なのだろうか。アブラハムの時代に成就するのは「あなた自身は、長寿を全うして葬られ、安らかに先祖のもとに行く」という約束のみである。アブラハムが生前に取得した土地は、妻サラを葬るために買った墓所のみであった。アブラハムもそこに葬られた。
−創世記25:9-10「息子イサクとイシュマエルは、マクペラの洞穴に彼を葬った。その洞穴はマムレの前の、ヘト人ツォハルの子エフロンの畑の中にあったが、その畑は、アブラハムがヘトの人々から買い取ったものである。そこに、アブラハムは妻サラと共に葬られた」。
・しかしアブラハムは満足して死んだと思われる。人はこの世では寄留者であり、自分を葬るための一片の土地があれば良いのではないか。トルストイは「人にはどれほどの土地がいるのか」という民話を書いた。少しでも広い土地を獲得しようとして、死にものぐるいの努力を続けて倒れた男が必要としたのは、その遺骸を葬るための身体の大きさの墓穴にすぎなかったという作品である。
−へブル11:8-13「信仰によって、アブラハムは、自分が財産として受け継ぐことになる土地に出て行くように召し出されると、これに服従し、行き先も知らずに出発したのです。信仰によって、アブラハムは他国に宿るようにして約束の地に住み、同じ約束されたものを共に受け継ぐ者であるイサク、ヤコブと一緒に幕屋に住みました・・・この人たちは皆、信仰を抱いて死にました。約束されたものを手に入れませんでしたが、はるかにそれを見て喜びの声をあげ、自分たちが地上ではよそ者であり、仮住まいの者であることを公に言い表したのです」。

3.人は天地の創造者を信じることができるのだろうか。

・創世記15章のアブラハムは夜空の星を見ながら神と対話する。今日夜空の星を見続けている宇宙科学者は神と対話するのだろうか。「科学者は神を信じるのか」という連続調査によれば、40%の科学者は今日でも神を信じている。
−米国の連続調査から「1914年、アメリカの心理学者ジェームズ・リューバは、国内の約1,000人の科学者(主に、数学者、生物学者、物理学者、天文学者)に対し、アンケート調査を行った。その質問内容は、「神を信じるか」。結果は、42%の科学者が「神を信じている」と回答し、42%の科学者は「信じていない」と回答した。1996年、科学史研究者のエドワード・ローソンが、リューバと同様の調査を行った。その結果は、40%の科学者が「神を信じている」と回答し、45%の科学者が「信じていない」と回答した。2009年、アメリカのシンクタンク、ピュー・リサーチセンターが、全米科学振興協会所属の科学者に対し、調査を行った。その結果、「神を信じている」と回答した科学者は33%、「神は信じないが、ユニバーサルなスピリット、あるいは超越的な力を信じている」と回答した科学者が18%、「どちらも信じない」と回答した人が41%、「分からない、もしくは回答せず」が7%だった。この調査結果から、調査対象の科学者のうち、51%(=33%+18%)は、神あるいは何らかの超越的な力を信じていると回答したことになる」。
・宇宙は人間の想像をはるかに超える広がりを持つ。「かに星雲」は望遠鏡で見ることができるが、地球からの距離は7200光年という。今見ている星の輝きは7200年前(紀元前5000年)に発せられたことになる。アブラハムが活動していた紀元前1500年のはるか昔である。天が神の創造物だとすれば、私たちが神を理解できないのは当然なのだろう。詩編記者もそう感じている。
−詩編8:4-10「あなたの天を、あなたの指の業を、私は仰ぎます。月も、星も、あなたが配置なさったもの。そのあなたが御心に留めてくださるとは人間は何ものなのでしょう。人の子は何ものなのでしょう。あなたが顧みてくださるとは。神に僅かに劣るものとして人を造り、なお、栄光と威光を冠としていただかせ、御手によって造られたものをすべて治めるように、その足もとに置かれました。羊も牛も、野の獣も、空の鳥、海の魚、海路を渡るものも。主よ、私たちの主よ、あなたの御名は、いかに力強く、全地に満ちていることでしょう」。
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