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1.ノアの系図

・創世記は10章でノアの三人の息子たちから人類が再び増え始めたと語る。
−創世記10:1「ノアの子セム、ハム、ヤペテの系図は次のとおりである。洪水の後、彼らに子が生れた」。
・ヤペテの子孫から出た民族は、ヤペテ(白い人、イヤーパァト=白い)と呼ばれ、小アジアや地中海に住んでいたインド・ヨーロッパ語族の祖と言われる。
−創世記10:2-5「ヤフェトの子孫はゴメル、マゴグ、メディア、ヤワン、トバル、メシェク、ティラスであった。ゴメルの子孫は、アシュケナズ、リファト、トガルマであった。ヤワンの子孫は、エリシャ、タルシシュ、キティム、ロダニムであった。海沿いの国々は、彼らから出て、それぞれの地に、その言語、氏族、民族に従って住むようになった」。
・ハムの子孫はアフリカのエチオピア、エジプト、リビア等南の地域に広がっていった。今日の黒人(フーム=黒い)の祖であるといわれる。
−創世記10:6-7「ハムの子孫は、クシュ、エジプト、プト、カナンであった。クシュの子孫はセバ、ハビラ、サブタ、ラマ、サブテカであり、ラマの子孫はシェバとデダンであった」。
・カナンもまたハムの子孫から生まれたとされる。イスラエルがカナンの地に定住した時、既に先住していた民族であり、イスラエル建国に当たり、戦いを繰り返した諸族である。それゆえ、セム族であるにも関わらずハムの子孫、イスラエルの奴隷であったとされる。
−創世記10:15-20「カナンには長男シドンとヘト、また、エブス人、アモリ人、ギルガシ人、ヒビ人、アルキ人、シニ人、アルワド人、ツェマリ人、ハマト人が生まれた。その後、カナン人の諸氏族が広がった。カナン人の領土は、シドンから南下してゲラルを経てガザまでを含み、更に、ソドム、ゴモラ、アドマ、ツェボイムを経てラシャまでを含んだ。これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたハムの子孫である」。
・最後にイスラエルの祖先であるセム族の系図が示される。注目すべきはエベルで、その子孫たちがイブリーム(渡ってきた者、へブル)と呼ばれるようになる。
−創世記10:21-31「セムにもまた子供が生まれた。彼はエベルのすべての子孫の先祖であり、ヤフェトの兄であった。セムの子孫はエラム、アシュル、アルパクシャド、ルド、アラムであった・・・彼らはメシャからセファルに至る東の高原地帯に住んでいた。これらが、氏族、言語、地域、民族ごとにまとめたセムの子孫である」。
・アブラハムの6代前の父祖エベルがヘブル人の祖であるとされる。
−申命記26:5-9「私の先祖は、滅びゆく一アラム人であり、わずかな人を伴ってエジプトに下り、そこに寄留しました。しかしそこで、強くて数の多い、大いなる国民になりました。エジプト人はこの私たちを虐げ、苦しめ、重労働を課しました。私たちが先祖の神、主に助けを求めると・・・力ある御手と御腕を伸ばし、大いなる恐るべきこととしるしと奇跡をもって私たちをエジプトから導き出し、この所に導き入れて・・・この土地を与えられました。」
・10章の系図には70の民族が登場する。おそらくは当時知られていた民族の概観がここに示されているのであろう。すべての民族が一人の祖ノアから生まれたことを通して、神こそが人類の創造者であることを、創世記作者は示した。そして後代のパウロもそう理解した。
−使徒17:26-27「神は、一人の人からすべての民族を造り出して、地上の至るところに住まわせ、季節を決め、彼らの居住地の境界をお決めになりました。これは、人に神を求めさせるためであり、また、彼らが探し求めさえすれば、神を見いだすことができるようにということなのです。実際、神は私たち一人一人から遠く離れてはおられません」。

2.ニムロデの生き方

・ニムロデは勇敢な狩人であり、地上の勇士であり、人々を力でねじ伏せて、人類最初の王になった。
−創世記10:8-9「クシュにはまた、ニムロドが生まれた。ニムロドは地上で最初の勇士となった。彼は、主の御前に勇敢な狩人であり、主の御前に勇敢な狩人ニムロドのようだという言い方がある」。
・肉食が許されると、動物を狩る為の武器が必要になり、その武器は人々をも支配するようになる。そのとき、人は神から離れていく。ニムロド=神に反逆するものとされる。ニムロドはアッシリアやバビロニアの王がそのモデルとされる。彼の王国はバベル(バビロニアの首都バビロンのヘブル語表記)を中心とするシンアルの地にあったとされる。
−創世記10:10-12「彼の王国の主な町は、バベル、ウルク、アッカドであり、それらはすべてシンアルの地にあった。彼はその地方からアッシリアに進み、ニネベ、レホボト・イル、カラ、レセンを建てた。レセンはニネベとカラとの間にある、非常に大きな町であった」。
・シンアルの地(南メソポタミア)に紀元前3000年頃、最初の都市国家が生まれたことは歴史的にも確認される。バビロニア王国が最も栄えたのはハムラビ王時代(前1792-50年)であり、またニネベは後のアッシリア帝国の首都である。イスラエルは北王国がアッシリアに滅ぼされ、南王国がバビロニアに滅ぼされていった。そのバビロニア王国の首都バベルが崩壊する様が11章「バベルの塔」の物語で象徴されている。
−創世記11:5-9「主は降って来て、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、言われた。『彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう』。主は彼らをそこから全地に散らされたので、彼らはこの町の建設をやめた。こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである」。

3.民族とは何か

・民族の選びは何のために為されるのか。神はイスラエルを用いて諸国民を祝福されたと申命記は記す。
−申命記7:6-8「あなたの神、主は地の面にいるすべての民の中からあなたを選び、御自分の宝の民とされた。主が心引かれてあなたたちを選ばれたのは、あなたたちが他のどの民よりも数が多かったからではない。あなたたちは他のどの民よりも貧弱であった。ただ、あなたに対する主の愛のゆえに、あなたたちの先祖に誓われた誓いを守られたゆえに、主は力ある御手をもってあなたたちを導き出し、エジプトの王、ファラオが支配する奴隷の家から救い出されたのである」。
・同じ様に神はキリスト者を用いて福音を知らないものを祝福されるとパウロは理解した。
−汽灰螢鵐1:26-29「兄弟たち、あなたがたが召された時のことを、思い起こしてみなさい。人間的に見て知恵のある者が多かったわけではなく、能力のある者や、家柄のよい者が多かったわけでもありません。ところが、神は知恵ある者に恥をかかせるため、世の無学な者を選び、力ある者に恥をかかせるため、世の無力な者を選ばれました。また、神は地位のある者を無力な者とするため、世の無に等しい者、身分の卑しい者や見下げられている者を選ばれたのです。それは、だれ一人、神の前で誇ることがないようにするためです」。
・創世記1章の創造物語において、また9章の洪水後の物語においても、「産めよ、増えよ、地に満てよ」との祝福が、神から人に与えられた。捕囚という過酷な現実の中で、自分たちの民族の存立さえ危うい状況の中で、人々は神の祝福に耳を傾け、民族の増加を語っていく。10章の系図の背景にそのような叫びが聞こえる。
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