すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

トップ  >  ゼカリヤ書  >  2014年2月20日祈祷会(ゼカリヤ14章、主の日の到来)
1.主の日の預言

・紀元前3〜1世紀のヘレニズム時代、パレスチナの支配者はめまぐるしく交代し、その中でエルサレムは繰り返し諸国の軍隊に侵略され、略奪され、男は殺され、女は犯されていく。混乱の中で、ゼカリヤは「民の残りの者が都から全く断たれることはない」と、主の日の到来を待ち望む。
-ゼカリヤ14:1-2「見よ、主の日が来る。かすめ取られたあなたのものが、あなたの中で分けられる日が。私は諸国の民をことごとく集め、エルサレムに戦いを挑ませる。都は陥落し、家は略奪され、女たちは犯され、都の半ばは捕囚となって行く。しかし、民の残りの者が都から全く断たれることはない」。
・その日には主が戦いに参入される。主がオリーブ山の上に立たれ、山は裂けて主の軍隊がそこを通るとゼカリヤは幻を見る。
-ゼカリヤ14:3-5「戦いの日が来て、戦わねばならぬ時、主は進み出て、これらの国々と戦われる。その日、主は御足をもって、エルサレムの東にあるオリーブ山の上に立たれる。オリーブ山は東と西に半分に裂け、非常に大きな谷ができる。山の半分は北に退き、半分は南に退く。あなたたちはわが山の谷を通って逃げよ・・・わが神なる主は、聖なる御使いたちと共にあなたのもとに来られる」。
・そして救済の日が来る。その日にはエルサレムから命の水がわきいで、エルサレムは安住の地になっていく。
−ゼカリヤ14:7-11「ただひとつの日が来る。その日は、主にのみ知られている。そのときは昼もなければ、夜もなく夕べになっても光がある。その日、エルサレムから命の水が湧き出で、半分は東の海へ、半分は西の海へ向かい、夏も冬も流れ続ける。主は地上をすべて治める王となられる。その日には、主は唯一の主となられ、その御名は唯一の御名となる・・・破滅が再び臨むことはなく、エルサレムは安住の地となる」。
・諸国の王が兵を集めて襲ってきても、主が疫病を起され、軍隊は壊滅するとゼカリヤは預言する。
−ゼカリヤ14:12-15「諸国の民がエルサレムに兵を進めてくれば、疫病で主はそのすべての者を撃たれる。肉は足で立っているうちに腐り、目は眼窩の中で腐り、舌も口の中で腐る。その日、主の大いなる混乱が彼らに臨む。彼らは互いにつかみ合い、手を振り上げる・・・周りのあらゆる国の富は集められる。金、銀、衣服も非常に多く。彼らの陣営にいる馬、らば、らくだ、ろばなどあらゆる家畜にも同じ疫病が襲う」。
・エルサレムの民は神殿で感謝の祈りを捧げる。
-ゼカリヤ14:20-21「その日には、馬の鈴にも、『主に聖別されたもの』と銘が打たれ、主の神殿の鍋も祭壇の前の鉢のようになる。エルサレムとユダの鍋もすべて万軍の主に聖別されたものとなり、いけにえをささげようとする者は皆やって来て、それを取り、それで肉を煮る。その日には、万軍の主の神殿にもはや商人はいなくなる」。

2.ゼカリヤ書の伝えるもの

・黙示文学は、迫害と弾圧の中に苦しむ者たちに、現在の苦難の先には希望があることを、幻を示して伝える。その希望がメシアの到来、主の日の完成である。福音書もその希望を語り続ける。
-マルコ13:24-27「それらの日には、このような苦難の後、太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は空から落ち、天体は揺り動かされる。その時、人の子が大いなる力と栄光を帯びて雲に乗って来るのを、人々は見る。その時、人の子は天使たちを遣わし、地の果てから天の果てまで、彼によって選ばれた人たちを四方から呼び集める」。
・イスラエルはエジプトとメソポタミヤの両大国の狭間にある小国で、古代においてはエジプトやアッシリア、バビロニアから侵略を受け、ヘレニズム期になるとギリシャやローマの植民地にされた。その絶望の中で彼らは救済を祈り続け、その希望が黙示の形で示され、ゼカリヤの未完の黙示がヨハネに継承され、完成されていく。
-ヨハネ黙示録21:22-26「私は、都の中に神殿を見なかった。全能者である神、主と小羊とが都の神殿だからである。この都には、それを照らす太陽も月も、必要でない。神の栄光が都を照らしており、小羊が都の明かりだからである。諸国の民は、都の光の中を歩き、地上の王たちは、自分たちの栄光を携えて、都に来る。都の門は、一日中決して閉ざされない。そこには夜がないからである。人々は、諸国の民の栄光と誉れとを携えて都に来る」。
・パウロのこの希望に生かされて、与えられた人生を生き切った。
-ローマ8:18-24「現在の苦しみは、将来私たちに現されるはずの栄光に比べると、取るに足りないと私は思います・・・被造物は虚無に服していますが・・・同時に希望も持っています。つまり、被造物も、いつか滅びへの隷属から解放されて、神の子供たちの栄光に輝く自由にあずかれるからです・・・"霊"の初穂をいただいている私たちも、神の子とされること、つまり、体の贖われることを、心の中でうめきながら待ち望んでいます。私たちは、このような希望によって救われているのです」。
・ゼカリヤやヨハネが見た幻を、古代人の幻想と私たちは笑うべきではない。幻はビジョンであり、絶望の中にある人に希望の光を与えるものだ。そのような幻を見た人の一人が、マルテイン・ルーサー・キングではないか。彼は1963年黒人差別撤廃を求めて為されたワシントン大行進の折、「私には夢がある」という説教をした。50年後、キングの夢は実現し、現在のアメリカは黒人を大統領に選んだ。幻は希望を実現させる力だ。
-キング・私には夢がある「私は同胞達に伝えたい。今日の、そして明日の困難に直面してはいても、私にはなお夢がある。将来、この国が立ち上がり、『すべての人間は平等である』というこの国の信条を真実にする日が来るという夢が。私には夢がある。ジョージアの赤色の丘の上で、かつての奴隷の子孫とかつての奴隷主の子孫が同胞として同じテーブルにつく日が来るという夢が。私には夢がある。今、差別と抑圧の熱がうずまくミシシッピー州でさえ、自由と正義のオアシスに生まれ変わり得る日が来るという夢が。私には夢がある。私の四人の小さい子ども達が、肌の色ではなく、内なる人格で評価される国に住める日がいつか来るという夢が」。

*ゼカリヤ14章参考資料:ヘレニズム時代のイスラエル
・アレクサンドロス大王(前336−323年在位)はわずか12年間で一大帝国を建設したが、前323年病死した。その後マケドニア帝国の領地は、アレクサンドロスの四人の将軍(ディアドコイ)によって分割され、ユダヤは最初はエジプトを支配したプトレマイオス王朝に、次にシリアを支配したセレウコス王朝に支配されることになる。プトレマイオス王朝時代、パレスチナにもヘレニズム的な影響が多く入り込み、ユダヤ人の中にはこのような傾向を歓迎するグループもあれば、反発を覚えるグループもあった。言葉もギリシャ語が公用語として使われるようになり、そのような中で、この時代に聖書のギリシャ語への翻訳がなされた(七〇人訳)。
・前198年以後ユダヤはセレウコス王朝シリアの支配下になった。アンティオコス言ぅ┘團侫.優后丙澎盟175−163)が王位に即くとユダヤは宗教迫害の時代に入る。前167年、アンティオコスはユダヤに対する徹底的な宗教弾圧を開始した。彼は、律法の書を火で焼かせ、安息日や割礼などの律法に従う生活を禁じ、エルサレム神殿にギリシャの神ゼウスの像を置いて(ダニエル書11・31−32「荒らす憎むべきもの」)、礼拝を強制し、ヤハウエ礼拝を禁じた。聖書の信仰に従ってあくまでも偶像礼拝を拒否して、ヤハウエ礼拝を死守した多くの敬虔な者たち(ハシディーム)は、殉教して行き、迫害に苦しむ人々を励まし、また復活の希望を与えるために書かれたのが『ダニエル書』である。
・この迫害に対し、ハスモン一族を中心とする反対派は徹底抗戦を開始しマカベア戦争(前167−162)が始まる。ユダヤは勝利し、エルサレムをシリア軍から解放した。ユダ・マカベヤは、イドマヤやギレアデやガリラヤなどに遠征し、周辺の異邦人の支配下に置かれていたユダヤ人を解放した。その子ヨナタンは、前152年に大祭司の地位を与えられ、後には「将軍」、「総督」の地位も与えられている。しかし熱心なユダヤ教徒からは反発された。大祭司の地位は、伝統的にザドク家の者に限られており、ヨナタンはそうでなかったからである。
・初期の抵抗運動には多くの民衆がこれに参加したが、ハスモン家の者が政治的権力を求めるようになると、次第に離れていった。前143年にヨナタンが死んだ後、シモンが大祭司の職を引き継いだ。彼は、エルサレムの南東の丘にあった城塞からセレウコスの守備隊を撤退させることに成功し、エルサレムの城壁を強化し、国内に多くの要塞を建設し、その支配領域を拡張した。こうして彼は、ユダヤを事実上の独立国家として再生させた。前135年、シモンは暗殺され、息子ヨハネが即位した。彼は東ヨルダンや南のイドマヤ(エドム)を攻めて支配権を拡張し、また107年には、サマリアをも征服した。
・この時代、ユダヤ教派閥の争いが顕在化した。サドカイ派は、伝統的な大祭司の家系であるザドク家に由来し、祭司を中心に富裕階級の人々によって構成されていた。パリサイ派は、マカベア戦争時に抵抗運動に参加したハシディーム(敬虔なもの)の流れをくむ。もう一つは、エッセネ派で、パリサイ派よりもさらに厳格な律法遵守と独特の清浄規定によって結ばれた、閉鎖的、秘密的な結社を形成し、共同生活を営んでいた。死海のほとりには、この集団の代表であるクムラン宗団の遺跡も見つかっている。バプテスマのヨハネやイエスもこのエッセネ派と関係があったと言われている。ハスモン家内部の権力争い、ユダヤ教各派間の争いは、やがて地中海を支配しつつあったローマの内政干渉を招き、紀元前63年には、ローマ軍のポンペイウス将軍がエルサレムを占領し、ユダヤの独立は終わる。
プリンタ用画面
友達に伝える
前
2014年2月13日祈祷会(ゼカリヤ12-13章、ゼカリヤ書と福音書)
カテゴリートップ
ゼカリヤ書