すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

トップ  >  エステル記  >  2013年9月25日祈祷会(エステル記7:1-10,ハマン失脚する)
1.エステルの嘆願

・エステルの酒宴は二日間続いた。第一日目はエステルも、さすがに王に願いを切り出せなかった。しかし、すでにモルデカイが王から最高の栄誉を受けていたので、機は熟していた。後は王に願い出る機会を逃さないことが肝要である。一方のハマンは、一国の宰相という高位にあり、財産と子宝にも恵まれていたせいか、敬礼にこだわり、威張ることしか脳中にないようだった。その結果、彼は人として大切な、謙虚と寛容という美徳を忘れさっていたのである。モルデカイの不敬に対する処分が、民族抹殺に飛躍するのは、いくらなんでも行き過ぎである。不敬に対しての処分だったら、せいぜい訓告くらいが適当である。ハマンは自らのプライドに振り回され、高位の者のふさわしい品格に欠け、残忍さを併せ持っていたのである。身分ある者の寛容は下位の者の尊敬を集める。彼が、もしモルデカイと、胸襟を開いて語り合い、互いを理解し、和解することができていたら、モルデカイの心からの尊敬を、受けられたのではないだろうか。
−エステル7:1-2王とハマンは王妃エステルの酒宴にやって来た。この二日目の日も同様に、ぶどう酒を飲みながら王は言った。『王妃エステルよ、何か望みがあるならかなえてあげる。願いとあれば国の半分なりとも与えよう。』」
・酒宴の二日目、王は上機嫌だったので例の常套句、「願いとあれば国に半分なりとも与えよう」と言った。エステルが願いを王に切りだすチャンスが、ついに来たのである。
−エステル7:3-4「『王よ、もしお心に適いますなら』と王妃エステルは答えた。『もし特別な御配慮をいただき、私の望みをかなえ、願いを聞いていただけますならば、私のために私の命と私の民族の命をお助けいただきとうございます。私と私の民族は取り引きされ、滅ぼされ、殺され、絶滅させられそうになっているのでございます。私どもが、男も女も奴隷として売られるだけなら、王を煩わせるほどのことではございませんから、私は黙ってもおりましょう。』」
・エステルは自分の民族に、ふりかかった悲惨な現状を王に訴えた、私と私の民族が取引され、絶滅させられるほどの悲惨と比べれば、男女が奴隷として売られるだけなら、王を煩わせる必要はないという、謙虚な申し出は王の心の琴線に触れたのである。
−エステル7:5-6「クセルクセス王は王妃エステルに、『一体、誰がそのようなことをたくらんでいるのか。その者はどこにいるのか』と尋ねた。エステルは答えた。『その恐ろしい敵とは、この悪者ハマンでございます』。ハマンは王と王妃の前で恐れおののいた。」

2.ハマンの処刑

・王はエステルの言う民族がユダヤ人であることに気付かなかったのか。それとも勅令を出したことさえ、忘れていたのか。ぶどう酒の酔いで気持ちが混濁していたのか。迫害者がハマンであることに気付かなかったようである。エステルはハマンを前にして、勇気を振り絞り、「それはこのハマンです」とついに言い切ってしまう。ハマンは突然の王妃エステルの言葉に驚愕、酔いも醒め、地獄に落とされたように恐怖に戦いた。
−エステル7:7-8「王は怒って立ち上がり、酒宴をあとにして王宮の庭に出た。ハマンは王妃エステルに命乞いしようとして留まった。王による不幸が決定的になったと分かったからである。ハマンがエステルのいる長椅子に身を投げかけている所へ、王宮の庭から王が酒宴の間に戻って来た。『私がおるこの宮殿で、王妃にまで乱暴しょうとするのか』。この言葉が王の口から発せられるやいなや、人々はハマンの頭に覆いをかぶせた」。
・王妃にまで災いが及んでいることを知った王は、逆上し取り乱したが、頭を冷やすため、いったん庭に出て再び宴席に戻って来た。その時、ハマンはエステルに助命嘆願するため、エステルの長椅子に寄りかかっていた。その様子がエステルに乱暴を働いているように見え、王の怒りは頂点に達した。ペルシャの宴会は長椅子に寝そべって食事をする習慣なので、エステルの寝そべる長椅子に、ひざまずき足にすがって懇願しているさまが、エステルに乱暴しているように見えたのである。ハマンは頭に覆いをかけられ、死刑を言い渡されてしまう。宦官ハルボナは、ハマン宅に、高さ五十アンマの処刑柱のあることを王に告げる。ハマンの処刑は決定的となった。王の命を救ったモルデカイを殺そうとしたことは、ハマンにさらに不利にした。王はハマンをその柱にかけるよう命じた。
−エステル7:9-10「宦官の一人、ハルボナは王に言った。『ちょうど、柱があります。王のために貴重なことを告げてくれたあのモルデカイをつるそうとして、ハマンが立てたものです。五十アンマもの高さをもって、ハマンの家に立てられています』。王は、『ハマンをそれにつるせ』と命じた。こうしてハマンは、自分がモルデカイのために立てた柱につるされ、王の怒りは治まった。」
・ペルシャ国では何もかも気まぐれに動いているようにみえる。ハマンは、かりにも一国の宰相にまでなった人物である。その人物の処刑法を、宦官にすぎないハルボナが、王に進言するとは、また王はその進言を受け入れるとは、あきれたものである。この国には量刑を定める法律や裁判はなかったのか。ペルシャ国の宰相の座は羽根のように軽くはかなくみえる。宰相ハマンを慕い庇う部下が一人も出て来ないのも妙である、ハマンは腹心の部下がいないほど、部下から嫌われていたのだろうか。

*エステル記7章参考資料 「エステルの祈り」(ギリシャ語エステル記より)

エス・ギC:12 王妃エステルは死の苦悩に襲われて、主に寄りすがった。エス・ギC:13 彼女は華麗な衣服を脱いで、憂いと悲しみの衣をまとい、高価な香料に代えて灰とあくたで頭を覆い、その身をひどく卑しめ、日ごろ喜んで飾っていた部分もすべて乱れた髪で覆った。エス・ギC:14 そして、イスラエルの神である主に祈った。「主よ、わたしたちの王よ、あなたは唯一なるお方、あなたのほかに助け手を持たないただひとりでいるわたしを助けてください。エス・ギC:15 危険が身近に迫っています。エス・ギC:16 わたしは生まれた時から、わが先祖の部族の中で聞かされてきました。主よ、あなたはイスラエルを万民の中から、我らの先祖をすべての先祖の中から選んで御自分の永久の遺産とし、イスラエルに約束したことを実現されたと。エス・ギC:17 今あなたは、罪を犯したわたしたちを敵の手に渡されました。エス・ギC:18 わたしたちが敵の神々をたたえたからです。主よ、あなたは正しい方。エス・ギC:19 今、敵はわたしたちを奴隷として苦しめるだけでは飽き足らず、手を偶像の手に置いて誓い、エス・ギC:20 あなたの口から出た定めを廃し、あなたの遺産である民を滅ぼそうとしています。あなたをたたえる者の口を閉ざし、神殿と祭壇の栄光を消し、エス・ギC:21 諸国民の口を開いて、空虚な神々をたたえさせ、肉にすぎない王を永遠にあがめさせようとするのです。エス・ギC:22 主よ、あなたの王笏を無に等しいものに渡さず、敵に我らの滅びをあざけらせないでください。むしろ敵の計略を敵自らにふりかからせ、率先して我らに刃向かう者を見せしめにしてください。エス・ギC:23 主よ、思い起こしてください。この悩みの時、あなた御自身をお示しください。神々を支配し、すべての主権を握る王よ、わたしに勇気をお与えください。エス・ギC:24 このわたしに獅子の前で雄弁な言葉を語らせその心を変えて我らに戦いを挑む者を憎ませ、その仲間と共に葬り去ってください。エス・ギC:25 御手をもってわたしたちを救ってください。主よ、あなたのほかに頼るもののないただひとりでいるわたしを助けてください。あなたはすべてをご存じです。エス・ギC:26 わたしが律法のない人々の栄光を憎んでおり、割礼のない人々やすべての異邦人の寝床を忌み嫌っていることをあなたはご存じです。エス・ギC:27 人前に出るときに頭につける誇らかなしるしをわたしが嫌っていることをあなたは知っておられます。月のもので汚れた布のようにそれを嫌い、休息の日にはそれを着けないのです。エス・ギC:28 あなたのはしためは、ハマンの宴にあずからず王の饗宴を祝ったこともなく、献げ物の酒を飲んだこともありません。エス・ギC:29 アブラハムの神なる主よ、わたしの運命が変わった日から今に至るまで、あなたのはしためには、あなたのほかに喜びとするものはありません。エス・ギC:30 すべての人に力を及ぼされる神よ、希望を失った者の声に耳を傾け、我らを悪人の手から救い、わたしを恐れから解き放ってください。」
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