すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

トップ  >  雅歌  >  2013年7月10日祈祷会(雅歌5:1−14、若者とおとめたちの歌)
・「雅歌」が「愛の詩集」として、聖書に含まれていても不思議ではないと、前回解説したが、もう少し補強しておきたい。ソロモン王との関連において、「雅歌」は知恵の伝統における「箴言」と並ぶものであるとされている。その理由として考えられるのは、古代イスラエル人社会には、愛のテ−マについて現代人の持つような後ろめたさはなく、解き放たれた男女のおおらかな愛が認知されていたゆえではないだろうか。でなければ到底、「雅歌」が「旧約聖書」中に愛の詩集として存在できなかったはずである。「雅歌」は今もその存在を「聖書」の中で、のびのびと歌い続けている。
−若者のうた−
−雅歌5:1「わたしの妹、花嫁よ、わたしの園にわたしは来た。香り草やミルラを摘み蜜の滴るわたしの蜂の巣を吸い、私のぶどう酒と乳を飲もう。友よ食べよ、友よ飲め。愛する者よ、愛に酔え。」
・若者はおとめに妹よ、花嫁よ、わたしの園よと呼びかける。おとめはすでに彼の心の妹であり、花嫁であり、心の園でもある。恋の歌は相手に所有を告げる。恋は相手の身も心もすべてを所有し、そして、所有されることを熟望する。あなたはわたしのもの、わたしはあなたのものなのである。
−おとめの歌−
−雅歌5:2−5「眠っていても、わたしの心は目覚めていました。恋しい人の声がする、戸をたたいています。『わたしの妹、恋人よ、開けておくれ。わたしの鳩、清らかなおとめよ。わたしの頭は夜の露にぬれてしまった。』衣を脱いでしまったのに、どうしてまた着られましょう。足を洗ってしまったのに、どうしてまた汚せましょう。恋しい人は隙間から手を差し伸べ、わたしの胸は高鳴りました。恋し人に戸を開こうと起き上がりました。わたしの両手はミルラを滴らせ、ミルラの滴は指から取ってにこぼれおちました。」
・睡眠中、おとめの心は半分目覚め、半睡状態で夢中夢を見る。夢は願望をスト−リーをもつ映像に合成する。映像に情緒はあっても、構成には矛盾があり、その矛盾が夢の願望の達成を妨げついには打ち砕く。だからたいていの夢は中途で覚め完了はない。おとめは若者への強い願望がありながら、ためらいが過ぎ、夢はちぐはぐに進行する。
−雅歌5:6−8「戸を開いたときには、恋し人は去った後でした。恋しい人の後を追ってわたしの魂は出て行きます。求めても、あの人は見つかりません。呼び求めても答えてくれません。街をめぐる夜警にわたしは見つかり、打たれて傷を負いました。城壁の見張りは、わたしの衣をはぎ取りました。エルサレムのおとめたちよ、誓ってください、もしわたしの恋しい人を見かけたら、わたしが恋の病にかかっていることを、その人に伝えると。」
・おとめがためらううちに若者は去り出会いなかった、おとめの魂は若者を求め夜の町へ向かう。おとめの魂がまず出て行き、おとめの体は魂について行くが実体ではない、ふらふらと暗い人気のない淋しい夢の中の町をおとめはさ迷う。おとめは不審人物と疑われ夜警に打たれ傷を負い、城壁の見張りに衣を掴まれ、夜警の手に衣を残し、すり抜けて逃げ帰る。若者を求めたおとめの夢の道行は途中で打ち砕かれ、不完全燃焼で終わる。おとめは断ち難い願望から恋の病にかかり、満たされなかった願望を他の娘たちに託す。
−おとめたちの歌−
−雅歌5:9「あなたの恋人はどんなにいい人、だれにもまして美しいおとめよ。あなたの恋人はどんなにいい人、こんな誓いをさせるとは。」
・恋人探しを頼まれた娘たちは、おとめを羨望しあなたの恋人はどんな素敵な人と聞く。
−おとめの歌―
−雅歌5:10−13「わたしの恋しい人は、赤銅色に輝き、ひときわ目立つ。頭は金、純金で、髪はふさふさと、烏に羽のように黒い。目は水のほとりの鳩、乳で身を洗い、形よく座っている。頬は香り草の花床、かぐわしく茂っている。唇はゆりの花、ミルラの滴を滴らせる。」
・おとめは娘たちに答える。彼は健康で色艶良く他の男性より、抜きん出ていると述べ、肉体の魅力を頭から順に、色、形を例えを用いて誉めあげる。
−雅歌5:14−16「手はタルシシュの珠玉をはめた金の円筒、胸はサファイアをちりばめた象牙の板、脚は純金の台に据えられた大理石の柱。姿はレバノンの山、レバノン杉のような若者。その口は甘美、なにもかもわたしを魅惑する。エルサレムのおとめたちよこれがわたしの恋する人、これがわたしの慕う人。」
・タルシュシュの珠玉とはスペイン産のトパ−ズ、黄色い宝石をさす。彼の腕はその宝石の色をしている。彼はレバノン杉のように逞しく、頼もしい。これがわたしの恋人よ、慕わしい人よと娘たちに自慢する。
・創世記1:26−31によれば、神は人を造り、彼に大地の営みのすべてを委ねられた。その時、大地はおおらかな祝福に満ちていた。「雅歌」にはそのような神の祝福を感じる。
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