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トップ  >  雅歌  >  2013年6月26日祈祷会(雅歌3:1−11、ソロモン王を仰ぎ見よ)
・「雅歌」の様式について、従来考えられてきた解釈の一部を前回紹介したが、「雅歌」を劇とみた研究者もいる。「雅歌」を若い男女の愛の劇、また豊穣を祈る祝典劇とする見方である。しかし、劇には主題を構成する要素が必須であり、登場人物がからみあい溶けあい、変化、展開するスト−リ−は欠かせない。「雅歌」にはそれが欠けている。
・「雅歌」が、もし劇であるなら、配役はどうなるのだろうか。主役は二人あるいは、三人とみる説もある。6章を例とするなら、登場人物中、主役はソロモン王とおとめと若者の三人となる。ソロモン王が娘を後宮へ連れて行こうと、甘い言葉(6−7節)で誘うが、娘は応じず、若者への愛に生き、若者と結ばれ、真の愛が勝利を得ることとなる。
・そして劇の主題は、人間の愛を神聖なもとして称え、同時に七百人の妻と三百人の側室を持った、(列王上11:3)ソロモン王への痛烈な批判とみることができる。「雅歌」をそのような劇とみる見方には魅力はあるが、「雅歌」6章のどこにも、そのような批判はみられないし、劇的要素もない。ゆえに、どう考えても劇として認めるには無理がある。
-雅歌3:1−3「夜ごと、ふしどに恋い慕う人を求めても、求めても、見つかりません。起き出して町をめぐり、通りや広場をめぐって、恋い慕う人を求めよう。求めてもあの人は見つかりません。わたしが町をめぐる夜警に見つかりました。『わたしの恋い慕う人を見かけましたか。』」
・「ふしど」は臥す所、寝所、おとめは寝所で恋人の夢を見ている。その夢が嵩じておとめは恋人を求め町中を巡りに巡る。しかし、寝所を起き出てから町を巡るのも夢の中で見る夢、夢中夢である。おとめは夢の中で出会った夜警に恋人の行方を尋ねる。
-雅歌3:4−5「彼らに別れるとすぐに、恋い慕う人が見つかりました。つかまえました。もう離しません。母の家に、わたしを産んだ母の家にお連れします。エルサレのおとめたちよ、野のかもしか、雌鹿にかけて誓ってください、愛がそれを望むまでは、愛を呼びさまさないと。」
・夜警と別れたおとめはついに恋人を探し出し、母の家に連れて行く。しかし、これもまた夢の中の夢の仕業であり、おとめの恋がそれで成就したわけではない。それゆえ、恋が本当に実るまで、わたしたちの恋が成就するまで、わたしたちの恋の邪魔をしないと「野のかもしかと雌鹿に誓って」ほしいとおとめは嘆願している。
-雅歌3:6『合唱 一』「荒れ野から上って来るおとめは誰か。煙の柱が近付いて来るかのよう。それは隊商のもたらすさまざまな香料、乳香をたく煙。」
・北イスラエルは緑豊かだが、死海から南は荒野が続く。ただし、荒野は荒野でも砂漠ではなくステップ(草原)である。合唱隊の歌が聞こえる。見よ、おとめたちの隊商はその草原をエルサレムへ上って行く。(エルサレムへ向かう旅はすべて上りである。)草原を都エルサレムへ上るおとめの隊商がたく乳香が、煙の柱になり華やかだと合唱隊は歌う。
-雅歌3:7−11『合唱 二』「見よ、ソロモンの輿を。輿をになう六十人の勇士、イスラエルの精鋭。すべて、剣に秀でた戦士。夜襲に備えて、腰に剣。ソロモン王は天蓋を造らせた。レバノン杉を柱とし、銀の台座に金の玉座、エルサレムのおとめたちが愛をこめて、紫の布を張りめぐらした。いでよ、シオンのおとめたちよ、ソロモン王を仰ぎ見よ。王の婚礼の日に、喜びの日に、母君がいただかせた冠を。」
・ソロモン王の行列を合唱隊が歌う。ソロモン王の輿は敵の夜襲に備え、イスラエルきっての精鋭、剣に秀でた六十人の、帯剣の屈強な兵士らに担われ守られて行く。輿はレバノン杉の柱に、銀の床、金の王座、壁はフエニキャのアッキ貝から採集した貴重な染料で、染めあげられた紫の布で、装われた天蓋に覆われている。さあ、シオンのおとめたちよ、ソロモン王を見に行け、冠をいただいた王を、その婚礼の喜びの日に、母君にかぶせられた、その冠をいただいたソロモン王を見に行け、と合唱隊は歌う。
・ソロモンの栄華がいかにあろうとも、それを凌ぐほどの神の愛が、野の花にも及んでいるとイエスは説いている。
-マタイ6:28−31「なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾っていなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神は装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことではないか。信仰の薄い者たちよ。だから、『何を食べようか』『何を飲もうか』『何を着ようか』と言って、思い悩むな。それらはみな、異邦人がせつに求めているものだ。あなたがたの天の父は、これらのものがみなあなたがたに必要なことをご存じである。」
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