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トップ  >  ヨナ書  >  2013年6月13日祈祷会(ヨナ1章、神から逃げるヨナ)
1. ニネベのために預言することを拒否するヨナ

・ヨナ書は預言者物語の形を借りた寓話で、旧約聖書中には類例がない。書かれたのは捕囚後の紀元前4-5世紀と言われているが定かではない。捕囚帰還後のユダヤは民族主義に固まっていたが、その中で偏狭な民族主義を風刺し、異邦人にも神の愛が届くことを説く普遍的な立場に立つ。ヨナは前8世紀に生きた北イスラエルの実在の預言者であり、そのヨナの名を借りた作品ではないかと言われている。
−列王記下14:23-25「ユダの王、ヨアシュの子アマツヤの治世第十五年に、イスラエルの王、ヨアシュの子ヤロブアムがサマリアで王となり、四十一年間王位にあった。彼は主の目に悪とされることを行い、イスラエルに罪を犯させたネバトの子ヤロブアムの罪を全く離れなかった。しかし、イスラエルの神、主が、ガト・ヘフェル出身のその僕、預言者、アミタイの子ヨナを通して告げられた言葉のとおり、彼はレボ・ハマトからアラバの海までイスラエルの領域を回復した」。
・ヨナが命じられたのはニネベに行って「悔い改めの預言をせよ」というものだった。ニネベは敵国アッシリアの都であり、ヨナはこれを拒否して。ヤッファから船に乗り、スペインのタルシシに逃げようとする。誰も敵の救いのために活動したくない。しかし、神にとってはエルサレムが大事なように、ニネベも大事であった。
-ヨナ1:1-3「主の言葉がアミタイの子ヨナに臨んだ『さあ、大いなる都ニネベに行ってこれに呼びかけよ。彼らの悪は私の前に届いている』。しかしヨナは主から逃れようとして出発し、タルシシュに向かった。ヤッファに下ると、折よくタルシシュ行きの船が見つかったので、船賃を払って乗り込み、人々に紛れ込んで主から逃れようと、タルシシュに向かった」。
・アッシリアは北イスラエル王国を滅ぼし(前722年)、南のユダ王国も長くその植民地とされていた。他の預言者もアッシリアを嫌い、その滅亡を預言している。ヨナだけが悪いのではない。
-ゼパニヤ2:13-15「主はまたその手を北に向かって伸ばし、アッシリアを滅ぼし、ニネベを荒れ地とし、荒れ野のように干上がらせられる。そこには、あらゆる獣がそれぞれ群れをなして伏す・・・杉の板ははがされ、荒廃は敷居に及ぶ。これが、かつてにぎやかであった都だろうか。かつて、人々は安らかに住み、心の中で『私だけだ。私のほかにだれもいない』と言っていた。どうして、都は荒れ果て、獣の伏す所となってしまったのか」。

2.神からは逃げられないヨナ

・ヨナは東に行くことを拒否して西に逃げる。しかし、主の手は逃げるヨナを追う。彼の乗った船は嵐に巻き込まれ、船乗りたちの努力にも関わらず、沈没しようとする。その嵐の中で、ヨナは船底で熟睡している。
-ヨナ1:4-6「主は大風を海に向かって放たれたので、海は大荒れとなり、船は今にも砕けんばかりとなった。船乗りたちは恐怖に陥り、それぞれ自分の神に助けを求めて叫びをあげ、積み荷を海に投げ捨て、船を少しでも軽くしようとした。しかし、ヨナは船底に降りて横になり、ぐっすりと寝込んでいた。船長はヨナのところに来て言った『寝ているとは何事か。さあ、起きてあなたの神を呼べ。神が気づいて助けてくれるかもしれない』」。
・人々は嵐を神の怒りと考え、誰が悪いのか、くじを引くと、くじはヨナに当たった。ヨナは自分が神の命を拒み、逃げてきたことを告白し、自分を海に放り込めと言う。
-ヨナ1:7-12「人々は互いに言った『さあ、くじを引こう。誰のせいで、我々にこの災難がふりかかったのか、はっきりさせよう』。そこで、くじを引くとヨナに当たった。人々は彼に詰め寄って『さあ、話してくれ。この災難が我々にふりかかったのは、誰のせいか。あなたは何の仕事で行くのか。どこから来たのか。国はどこで、どの民族の出身なのか』と言った。ヨナは彼らに言った「私はヘブライ人だ。海と陸とを創造された天の神、主を畏れる者だ」。人々は非常に恐れ、ヨナに言った『なんという事をしたのだ』。人々はヨナが、主の前から逃げて来たことを知った。彼が白状したからである。彼らはヨナに言った『あなたをどうしたら、海が静まるのだろうか』。海は荒れる一方だった。ヨナは彼らに言った「私の手足を捕らえて海にほうり込むがよい。そうすれば、海は穏やかになる。私のせいで、この大嵐があなたたちを見舞ったことは、私が知っている」。
・ヨナは「自分を海に投げ込めば嵐は静まる」と言い、船の乗組員たちにそうするように示唆する。当時は犠牲を捧げれば海の嵐は治まると思われていた。ヨナは自分の罪の結果を認め、自分の命を捧げる決意を示した。しかし、主はこのヨナを救われる。まだやるべき使命がヨナにはあったからだ。
-ヨナ1:15-2:1「彼らがヨナの手足を捕らえて海へほうり込むと、荒れ狂っていた海は静まった。人々は大いに主を畏れ、いけにえをささげ、誓いを立てた。さて、主は巨大な魚に命じて、ヨナを呑み込ませられた。ヨナは三日三晩魚の腹の中にいた」。
・ヨナ書ではニネベは悔い改めることによって下されるべき災いを逃れる。ここには明らかにエレミヤ書の響きがある。旧約聖書は民族主義の枠の中にあるが、預言者は明らかに民族主義を超えて物事を見つめている。
-エレミヤ18:7-10「あるとき、私は一つの民や王国を断罪して、抜き、壊し、滅ぼすが、もし、断罪したその民が、悪を悔いるならば、私はその民に災いをくだそうとしたことを思いとどまる。またあるときは、一つの民や王国を建て、また植えると約束するが、私の目に悪とされることを行い、私の声に聞き従わないなら、彼らに幸いを与えようとしたことを思い直す」。
・「ヨナは三日三晩魚の腹の中にいた」、この記述を初代教会はイエスの受難と復活の預言だと捉えた。
-マタイ12:38-41「何人かの律法学者とファリサイ派の人々がイエスに『先生、しるしを見せてください』と言った。イエスはお答えになった『よこしまで神に背いた時代の者たちはしるしを欲しがるが、預言者ヨナのしるしのほかには、しるしは与えられない。つまり、ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、人の子も三日三晩、大地の中にいることになる。ニネベの人たちは裁きの時、今の時代の者たちと一緒に立ち上がり、彼らを罪に定めるであろう。ニネベの人々は、ヨナの説教を聞いて悔い改めたからである。ここに、ヨナにまさるものがある』」。
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