すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

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1.ヨブの嘆き

・ヨブ記は29章でヨブのかつての全盛時代をしのび、30章ではそれと対比して現在の悲惨を述べる構成になっている。かつてヨブは人々から尊敬され,慕われていた。「だが今は」,彼は人々から嘲られる存在になってしまった。
−ヨブ記29:7-8「わたしが町の門に出て、広場で座に着こうとすると、若者らはわたしを見て静まり、老人らも立ち上がって敬意を表した」。
−ヨブ記30:1「だが今は、わたしより若い者らが、わたしを嘲笑う。彼らの父親を羊の番犬と並べることすら、わたしは忌まわしいと思っていたのだ」。
・「彼らの父親を羊の番犬と並べることすら、私は忌まわしいと思っていた」、驚くべきことが30:1以下に記される。29:12でヨブは誇った「私は身寄りのない子らを助け、助けを求める貧しい人々を守った」。しかし彼の憐れみも浮浪者と呼ばれる人には及ばなかったことが明らかにされる。ヨブの中にある差別意識がここで明らかにされている。
−ヨブ記30:2-8「その手の力もわたしの役には立たず、何の気力も残っていないような者らだった。無一物で飢え、衰え、荒涼とした砂漠や沼地をさまよい、あかざの葉を摘み、れだまの根を食糧としていた。彼らは世間から追われ、泥棒呼ばわりされ、身震いさせるような谷間や、土の穴、岩の裂け目に宿り、茨の間で野ろばのようにいななき、あざみの下に群がり合っていた。愚か者、名もない輩、国からたたき出された者らだった」。
・人にはみな偏見がある。ナチスの時代、ユダヤ人が迫害されたが,同時に精神障害者やロマ族(ジプシ−)も「生きる価値のない命」として,絶滅の対象になった。戦後、ユダヤ人への賠償は為されたが,ロマ族には為されなかった。そのヨブから見て,ならず者、愚か者とみていた者たちが,今はヨブを嘲笑し、ヨブの顔につばを吐きかける。
−ヨブ記30:9-10「ところが今は、わたしが彼らのはやし歌の種、嘲りの言葉を浴びる身になってしまった。彼らはわたしを忌み嫌って近寄らず、平気で顔に唾を吐きかけてくる」。
・彼らはヨブの中に「神が卑しめた者の姿」を見た。だからヨブに暴力をふるっても良いのだと考えた。その構造は、学校から不良として閉め出され,家庭環境も恵まれない子どもたちが、公園のホームレスたちを攻撃し,重い傷害を与えるのと同じだ。
−ヨブ記30:11-15「彼らは手綱を振り切り、わたしを辱め、くつわを捨てて勝手にふるまう。彼らは生意気にもわたしの右に立ち、わたしを追い出し、災いの道を行かせ、逃げ道を断ち、滅びに追いやろうとする。それを止めてくれる者はない。襲って来て甚だしく打ち破り、押し寄せて来て廃虚にする。死の破滅がわたしを襲い、わたしの力は風に吹きさらわれ、わたしの救いは雲のように消え去った」。

2.その災いは神から来る

・ヨブの罹患した病(らい病)は刺すような痛みを持ってヨブを襲った。皮膚は崩れ、膿が着物にまとわりつく。ヨブは文字通り、塵芥のようになった。
−ヨブ30:16-19「もはや、わたしは息も絶えんばかり、苦しみの日々がわたしを捕えた。夜、わたしの骨は刺すように痛み、わたしをさいなむ病は休むことがない。病は肌着のようにまつわりつき、その激しさにわたしの皮膚は見る影もなく変わった。わたしは泥の中に投げ込まれ、塵芥に等しくなってしまった」。
・救済を求めても神は答えてくれない。神は今やヨブの敵、ヨブを苦しめ,殺す者になられた。
−ヨブ記30:20-23「神よ、わたしはあなたに向かって叫んでいるのに、あなたはお答えにならない。御前に立っているのに、あなたは御覧にならない。あなたは冷酷になり、御手の力をもってわたしに怒りを表される。わたしを吹き上げ、風に乗せ、風のうなりの中でほんろうなさる。わたしは知っている。あなたはわたしを死の国へ、すべて命あるものがやがて集められる家へ、連れ戻そうとなさっているのだ」。
・ヨブは答えのない神に向かって叫び続ける。「このような苦しみを受けるほど,私の罪は深いのだろうか。かつては貧しい者を助けた私を何故助けてくださらないのか」と。
−ヨブ記30:24-28「人は、嘆き求める者に手を差し伸べ、不幸な者を救おうとしないだろうか。わたしは苦境にある人と共に、泣かなかったろうか。貧しい人のために心を痛めなかったろうか。わたしは幸いを望んだのに、災いが来た。光を待っていたのに、闇が来た。わたしの胸は沸き返り、静まろうとしない。苦しみの日々がわたしに襲いかかっている。光を見ることなく、嘆きつつ歩き、人々の中に立ち、救いを求めて叫ぶ」。
・私たちは苦難を通してしか,神に出会えないのだろうか。ヨブの苦しみはそう示唆する。
−ヨブ記36:15-16「神は苦しむ者をその苦しみによって救い、彼らの耳を逆境によって開かれる。神はまたあなたを悩みから、束縛のない広い所に誘い出された。そしてあなたの食卓に置かれた物はすべて肥えた物であった」。
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