すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

トップ  >  詩編  >  2012年5月23日(水)祈祷会(詩編143編「御前に正しい者は誰もいません」)
・143編は詩編6編、32編、38編、51編、102編、130編と共に「悔い改めの7詩編」と呼ばれています。143編に具体的な罪の告白はありませんが、罪の赦しを願う気持ちがひしひしと伝わってきます。嘆き訴える祈りから詩は始まります。
−143:1−2「賛歌。ダビデの詩。主よ、わたしの祈りをお聞きください。嘆き祈る声に耳を傾けてください。あなたのまこと、恵みの御業によって、わたしに答えてください。あなたの僕を裁きにかけないでください。御前に正しいと認められる者は、命ある者の中にはいません。」
・2節、ダビデは生ある者で罪の無い者はいないのですから、どうか、裁かないでくださいと神に懇願しています。この神に赦しを乞う詩文から「悔い改めの7詩編」と呼ばれているのです。
・143:2は神に対する、言い訳にも聞こえますが、この詩によって罪の意識にダビデが押し潰されそうになっていることが分かります。罪の問題は、キリスト教が起こるはるか前、ユダヤ教の時代から人が生きるうえでの重要問題でした。「御前に正しい者は、命ある者にはいません」というダビデの罪意識は、刑法上の罪しか考えない日本人には分かり難いでしょう。
−143:3−4「敵はわたしの魂に押し迫り、わたしの命を踏みにじり、とこしえの死者と共に、闇に閉ざされた国に住まわせようとします。わたしの霊はなえ果て、心は胸の中で挫けます。」
・この敵とは、ダビデの息子アブサロムの反乱を指すとも言われています。アブサロムは周到な準備のうえで挙兵、ダビデの王位を奪おうとしました。イスラエルとユダヤの民はアブサロムを支持し、ダビデを支えたのは、わずかにクレタ人と、ペレティ人、ガト人だけでした。ダビデは追い詰められ、当初反乱は成功するかにみえました。
・ダビデはアブサロムの追跡を交わし、ヨルダン川の向こう岸へ逃げて時間を稼ぎ、兵を整え反撃に転じ勝利しました。アブサロムはラバに乗り敗走の途中、自慢の長い髪が木の枝にからまり、宙吊りになったところをダビデの部下に殺されました。自分に対して反旗を翻したにも関わらず、ダビデはアブサロムの死に慟哭しました。
・アブサロムは足の裏から頭の先まで、非の打ち所がないほど美しいといわれ、ダビデに愛されていました。その息子の背きは、ダビデの命を踏みにじり、霊を萎えさせ、心を挫けさせたのでした。(サムエル下15−19章)
−143:5−6「わたしはいにしえの日々を思い起こし、あなたのなさったことをひとつひとつ思い返し、御手の業を思いめぐらします。あなたに向かって両手を広げ、乾いた大地のようなわたしの魂を、あなたに向けます。」
・いにしえの日々イスラエルの民が神によりエジプトの地から救い出されたことを初め、数々の御手の業を、今ダビデは思い巡らしました。そして、自らの乾いた魂をうるおしてくださいと神に祈ります。
・ダビデの霊は疲れ衰えて、一刻も早くと神に答えを迫っています。7−8節の祈りはダビデのあせりがみえます。
−143:7−8「主よ、早く答えてください、わたしの霊は絶え入りそうです。御顔をわたしに隠さないでください。わたしはさながら墓穴に下るものです。朝にはどうか、聞かせてください、あなたの慈しみについて。あなたにわたしは依り頼みます。行くべき道教えてください、あなたにわたしの魂は憧れているのです。」
・アブサロムの反乱の後もダビデの苦労は続きます。ベニヤミン人ビクリの息子シエバが反乱したのです。ダビデにとってシエバは、アブサロム以上に危険でした。それはイスラエルの人々がダビデを離れてシエバに従ったからです。(サムエル下20章)
−143:9−10「主よ、敵からわたしを助け出してください。御もとにわたしは隠れます。御旨を行うすべを教えてください。あなたはわたしの神、恵み深い霊によって、安らかな地に導いてください。」
・ダビデの敵は思いがけず次々と、身内から現れます。身内の敵は自らの肉を引き裂く痛みとなります。この想定外の敵がダビデの魂を揺すぶり苦しめるのです。ダビデの力はもう尽きそうなのです。ダビデは「わたしの魂を苦しめる者を、ことごとく滅ぼしてください。」と祈るしかありません。
−143;11−12「主よ、御名のゆえに、わたしに命を得させ、恵みの御業によって、わたしの魂を災いから引き出してください。あなたの慈しみのゆえに、敵を絶やしてください。わたしの魂を苦しめる者を、ことごとく滅ぼしてください。わたしはあなたの僕なのですかた。」
・ダビデは自らを苦しめる者を絶やしてくださいと神に行動を求めています。悔い改めの7詩編であると言われながら、この詩の最後は敵の滅びを願う言葉で結ばれます。ダビデの苦悩の深刻さが伝わる143編でした。ダビデの賛歌を引用しで終わります。
−詩編40:2−4「主にのみ、わたしは望みをおいていた。主は耳を傾けて。叫びを聞いてくださった。滅びの穴、泥沼からわたしを引き上げ、わたしの足を岩の上に立たせ、しっかりと歩ませ、わたしの口に新らしい歌を、わたしたちの神への讃美を授けてくださった。人はこぞって主を仰ぎ見、主を畏れ敬い、主に依りたのむ」
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