すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

トップ  >  ホセア書  >  2012年2月16日祈祷会(ホセア書2章、裁きと救い)
1.背信のイスラエルの告発

・ホセア2章は預言者の言葉を集めたものであり、直接的には1章に繋がらない。しかし主題は同じで、姦淫の妻ゴメルへの告発が、背信の民イスラエルへの告発と重ね合わせて記述される。ホセアは自ら妻の裏切りを体験することによって、民に背かれる神の痛みを共有する。「衣を剥ぎとって裸にする、晒し者にする」とは、アッシリアの侵略とその結果としての住民の強制移住、国土の荒廃を指すのだろうか。
−ホセア2:4-7a「告発せよ、お前たちの母を告発せよ。彼女はもはや私の妻ではなく、私は彼女の夫ではない。彼女の顔から淫行を、乳房の間から姦淫を取り除かせよ。さもなければ、私が衣をはぎ取って裸にし、生まれた日の姿にして、さらしものにする。また、彼女を荒れ野のように・・・干上がらせ、彼女を渇きで死なせる。私はその子らを憐れまない。淫行による子らだから。その母は淫行にふけり、彼らを身ごもった者は恥ずべきことを行った」。
・ホセアの妻ゴメルは彼の制止を振り切って愛人の下に走った。しかし愛人はやがて彼女に飽き、彼女を捨てる。捨てられて初めて、彼女は頼りにならないものに頼っていたことを知る。この愛人とはイスラエルと同盟しながら、イスラエルを見限ったエジプトを指すのだろうか。
−ホセア2:7b-12「彼女は言う『愛人たちについて行こう。パンと水、羊毛と麻、オリーブ油と飲み物をくれるのは彼らだ』。それゆえ、私は彼女の行く道を茨でふさぎ、石垣で遮り、道を見いだせないようにする。彼女は愛人の後を追っても追いつけず、尋ね求めても見いだせない・・・彼女は知らないのだ。穀物、新しい酒、オリーブ油を与え、バアル像を造った金銀を、豊かに得させたのは私だということを。それゆえ、私は刈り入れのときに穀物を、取り入れのときに新しい酒を取り戻す。また、彼女の裸を覆っている私の羊毛と麻とを奪い取る。こうして、彼女の恥を愛人たちの目の前にさらす。この手から彼女を救い出す者はだれもない」。
・なぜイスラエルの民は主を捨ててバアルに走ったのか。それは、人は目の前にある果実を追い求めるからだ。人は見返りを求めて偶像神を信仰する。しかし偶像神に救う力はない。エジプトに救いが無いのと同じだ。その結果、イスラエル国土にアッシリアが侵略し、国土は荒廃し、祭りのための収穫もなくなる。
−ホセア2:13-15「私は彼女の楽しみをすべて絶ち、祭り、新月祭、安息日などの祝いをすべてやめさせる。また、彼女のぶどうといちじくの園を荒らす。『これは愛人たちの贈り物だ』と彼女は言っているが、私はそれを茂みに変え、野の獣がそれを食い荒らす。バアルを祝って過ごした日々について私は彼女を罰する。彼女はバアルに香をたき、鼻輪や首飾りで身を飾り、愛人の後について行き、私を忘れ去った、と主は言われる」。

2.救いのための裁き

・出奔した民の連れ戻しはその民の悔い改めしかない。だから苦悩(アコル)が与えられる。苦悩を経て救いが与えられ、アコルの谷、かつてイスラエルが罰せられた地(ヨシュア記7:26)が希望の地にさせられていく。
−ホセア2:16-17「私は彼女をいざなって荒れ野に導き、その心に語りかけよう。そのところで、私はぶどう園を与え、アコル(苦悩)の谷を希望の門として与える。そこで彼女は私にこたえる。おとめであったとき、エジプトの地から上ってきた日のように」。
・その時、民は神を「わが主人(バアル)」とは呼ばず、「わが夫(イシュー)」と呼ぶ。神と民が主従関係ではなく、夫と妻という人格関係に変えられていく。
−ホセア2:18-19「その日が来ればと主は言われる。あなたは私を『わが夫(イシュー)』と呼び、『わが主人(バアル)』とは呼ばない。私は、どのバアルの名をも彼女の口から取り除く。もはやその名が唱えられることはない」。
・その日には敵もイスラエルと和解し、弓も剣も戦いも無くなる。民は主の愛の下に正義と公平が与えられる。
−ホセア2:20-22「その日には、私は彼らのために、野の獣、空の鳥、土を這うものと契約を結ぶ。弓も剣も戦いもこの地から絶ち、彼らを安らかに憩わせる。私はあなたととこしえの契りを結ぶ。私はあなたと契りを結び、正義と公平を与え、慈しみ憐れむ。私はあなたと誠の契りを結ぶ。あなたは主を知るようになる」。
・その日には呪われた地(イズレエル)も神が種まく豊かな地になり、憐れまれない者(ロ・ルハマ)が憐れまれ(ルハマ)、わが民でない(ロ・アンミ)と言われた者がわが民(アンミ)と呼ばれるとホセアは回復を預言する。
−ホセア2:23-25「その日が来れば、私はこたえると主は言われる。私は天にこたえ、天は地にこたえる。地は、穀物と新しい酒とオリーブ油にこたえ、それらはイズレエル(神が種を蒔く)にこたえる。私は彼女を地に蒔き、ロ・ルハマ(憐れまれぬ者)を憐れみ、ロ・アンミ(わが民でない者)に向かって『あなたはアンミ(わが民)』と言う。彼は『わが神よ』とこたえる」。
・しかし歴史はホセアの預言のようには動かなかった。アッシリアに滅ぼされた北イスラエルの住民は遠い地に追放され、代わりに入植したアッシリア人と残った民との間で混血が進み、サマリア人が生まれた。北イスラエル10部族は失われてしまった。ユダヤ人はこの新しく生まれたサマリア人を混血の故に嫌った。700年後、そのユダヤ人からイエス・キリストが生まれられたが、ユダヤ人は受け入れず、サマリア人はイエスを主と受け入れていった。ホセアの預言は成就したのだろうか。
−ルカ17:15-19「その中の一人は、自分がいやされたのを知って、大声で神を賛美しながら戻って来た。そして、イエスの足もとにひれ伏して感謝した。この人はサマリア人だった。そこで、イエスは言われた『清くされたのは十人ではなかったか。ほかの九人はどこにいるのか。この外国人のほかに、神を賛美するために戻って来た者はいないのか』。それから、イエスはその人に言われた『立ち上がって、行きなさい。あなたの信仰があなたを救った』」。

*ホセア2章参考資料:北イスラエルの滅亡とサマリア人の誕生
・ヤラベアム二世時代、イスラエル王国は一時的に栄えたが、次のザカリヤはわずか六ケ月支配しただけで暗殺され、エヒウ王朝は終わった。そしてイスラエル王国では二度と再び王朝の建てられることはなかった。その後20年の間に5人の王が交替するが、そのうち3人は暗殺されている。紀元前745年に即位したアッシラ王・ティグラテピレセル三世は、オリエント全体を支配しようとした。その中で、イスラエル王国と北のシリアは、同盟を結んでアッシリアに抵抗しようとした。この同盟にユダ王国も引き入れようとした(シリア・エフライム戦争、734年)が失敗し、アッシリアの介入を招き、首都サマリアとその周辺の地域を残して、アッシリア軍に占領されてしまった。ペカの時代である(この時代に南のユダ王国ではイザヤが預言者として立てられた)。
・その次の王ホセアは、最初アッシリアに服従していたが、724年エジプトに頼って、アッシリアへの貢を中止し、臣属関係を破棄した。アッシリアの王シャルマネセル五世は、直ちにイスラエルに軍隊を送り、ホセアを捕らえ、イスラエルの領土全体を占領した。堅固な町であったサマリアだけは、包囲されたまま三年間もちこたえたが、シャルマネセル五世を継いだサルゴン二世によって征服された(紀元前721年)。このようにして約二百年間続いた北イスラエル王国は終焉した。
・アッシリアの政策は、支配した国の民を国外に追放し、その代わりに外国の民を移すというものであった。これは一種の雑婚政策であり、そうすることによって民族的なアイデンティティを喪失させ、独立運動の気力をなくさせることであった。サルゴン王は、征服したサマリアの上層階級をアッシリアの町々に移し、また他の地方の人々をサマリアに移し、そこをサマリア州としてアッシリア帝国に編入した。そこでサマリア州では、イスラエル人と外国人との雑婚が行われ、また宗教的にも雑多なものとなり、伝統的なヤハウェ宗教が失われていった。そのようなことから、後の時代には、サマリア人はユダヤ人から差別された存在となるのである。
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