すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

トップ  >  詩編  >  2011年12月21日祈祷会(詩篇122編、エルサレムの平和)
1.巡礼の歌

・詩篇122編は遠い異国の地からエルサレムに巡礼し、ついにエルサレムに到着した時の喜びを歌った詩篇である。遠くから旅する巡礼者たちは、道中の安全と交わりのために、隊を組んでエルサレムに向かう。そしてついにエルサレムに到着した。詩人はエルサレム城門の中に入り、ここまで来ることが出来たことを感謝する。
−詩篇122:1-2「主の家に行こう、と人々が言ったとき、私はうれしかった。エルサレムよ、あなたの城門の中に、私たちの足は立っている」。
・エルサレムは神の都であり、神の宮がある。普段は別れて暮らす部族も、神の宮では主の民として共に礼拝をする。エルサレムはダビデ王が都と定めた町、主の裁きが為される町である。
−詩篇122:3-5「エルサレム、都として建てられた町。そこに、すべては結び合い、そこに、すべての部族、主の部族は上って来る。主の御名に感謝をささげるのはイスラエルの定め。そこにこそ、裁きの王座が、ダビデの家の王座が据えられている」。
・人々は年に三回(過越しの祭、七週の祭り、仮庵の祭り)、エルサレム神殿に巡礼するように命じられていた(申命記16:16-17)。詩人たちもその祭りの折にエルサレムを訪れたのであろう。エルサレム、エル(神の)・サレム(シャローム、平和)。高い城壁が敵から町を護り、城郭の中で人々は平安に暮らすことが出来る。エルサレムこそ私たちの避け所と詩人は賛美する。
−詩篇122:6-7「エルサレムの平和を求めよう。あなたを愛する人々に平安があるように。あなたの城壁のうちに平和があるように。あなたの城郭のうちに平安があるように」。
・詩人は喜びの内に、兄弟や友の平和を祈る。
−詩篇122:8-9「私は言おう、私の兄弟、友のために。あなたのうちに平和があるように。私は願おう、私たちの神、主の家のために。あなたに幸いがあるように」。

2.人間の平和と神の平和

・詩人はエルサレムこそ神の平和を求める場所として賛美した。しかし人間は目に見えない「神の平和」ではなく、目に見える「人の平和」を求める。しかし「人間の力によってもたらされる平和」はやがて崩れる。ルカ19章はイエスがエルサレム崩壊を予感して歌われた嘆きの歌として有名だ。エルサレムは紀元70年ローマ軍によって制圧され、町は廃墟となった。高い城壁も何の防護にもならなかった。
−ルカ19:41-44「エルサレムに近づき、都が見えたとき、イエスはその都のために泣いて、言われた『もしこの日に、お前も平和への道をわきまえていたなら。しかし今は、それがお前には見えない。やがて時が来て、敵が周りに堡塁を築き、お前を取り巻いて四方から攻め寄せ、お前とそこにいるお前の子らを地にたたきつけ、お前の中の石を残らず崩してしまうだろう。それは、神の訪れてくださる時をわきまえなかったからである』」。
・イエスの時代、世界はローマにより統一され、ローマの平和が讃美され、皇帝アウグストゥスは主(キュリエ)と呼ばれ、その治世は福音(エウアンゲリオン)をもたらすと言われた。ローマの平和は武力による平和である。しかしその平和は永続しない。勝利は一時的に反対勢力を抑えるだけだ。ローマが滅びた後には、誰もアウグストゥスを「主」とは呼ばなかった。
−マタイ26:52「そのとき、イエスと一緒にいた者の一人が、手を伸ばして剣を抜き、大祭司の手下に打ちかかって、片方の耳を切り落とした。そこで、イエスは言われた『剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる』」。
・キリスト教会はアウグストゥスではなくイエスを主(キュリエ)と呼び、政治的な平和ではなくイエスの教えこそ福音(エウアンゲリオン)であると主張した。ローマ支配の大胆な否定だ。ローマ帝国はイエスを殺し、エルサレム神殿を破壊したが(後70年)、300年後にイエスの前に跪く(380年キリスト教国教化)。ルカがクリスマスに天使に歌わせるのは、神の平和こそ永続するものであり、真の平和はローマからは来ないという使信である。
−ルカ2:1-14「そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た・・・人々は皆、登録するためにおのおの自分の町へ旅立った。ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った・・・その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らした・・・天使は言った『恐れるな。私は、民全体に与えられる大きな喜びを告げる(エウアンゲリゾー)。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主(キュリエ)・メシアである』・・・この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った『いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ』。
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