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トップ  >  エゼキエル書  >  2011年3月31日祈祷会(エゼキエル16章、夫を裏切る妻と神の愛)
1.夫を裏切る妻のようなエルサレム

・エゼキエル書16章では、エルサレムが夫を裏切った不貞の妻に例えられている。エルサレムは元々カナン人の町であり、ダビデの時代にイスラエル王国の首都になった。その歴史が「父はアモリ人、母はヘト人」であったと記される。
-エゼキエル16:3「主なる神は、エルサレムに対してこう言われる。お前の出身、お前の生まれはカナン人の地。父はアモリ人、母はヘト人である」。
・そもそもイスラエルは棄てられた赤子のように、エジプトでは奴隷の民であった。その民が神の憐れみによりエジプトから救われ、シナイで神の民となる契約を与えられ、約束の地に導かれていった歴史が回顧される。
-エゼキエル16:4-8「お前の生まれた日に、お前のへその緒を切ってくれる者も、水で洗い、油を塗ってくれる者も、塩でこすり、布にくるんでくれる者もいなかった・・・しかし、私がお前の傍らを通って、お前が自分の血の中でもがいているのを見たとき、私は血まみれのお前に向かって、『生きよ』と言った・・・私は、野の若草のようにお前を栄えさせた。それでお前は、健やかに育ち、成熟して美しくなり、胸の形も整い、髪も伸びた・・・そこで私は、衣の裾を広げてお前に掛け、裸を覆った。私は・・・契約を結び、お前は、私のものになった、と主なる神は言われる」。
・約束の地に入った後、イスラエルは神の祝福を受けて豊かになり、王国を形成し、ダビデは王宮を立て、ソロモンは神殿を建て、国は豊かになり、繁栄した。その歴史が、妻が夫の愛を受けて美しくなる例えで語られる。
-エゼキエル16:9-14「私はお前を水で洗い、血を洗い落とし、油を塗った。そして、美しく織った服を着せ、上質の革靴を履かせ、亜麻布を頭にかぶらせ、絹の衣を掛けてやった・・・こうして、お前は金銀で身を飾り、亜麻布と絹とで美しく織った服を身に着けた。そして小麦粉と蜂蜜と油を食物とした。こうしてお前は非常に美しくなり、女王のようになった。その美しさのゆえに、お前の名は国々の間に広まった」。
・「しかしお前は美しくなると他の男を招いて姦淫した」とエゼキエルは告発する。イスラエルが主なる神から離れて、エジプトやアッシリア等の大国に依存して行く歴史を、預言者は「姦淫」として捕えた。
-エゼキエル16:15-19「それなのに、お前はその美しさを頼みとし、自分の名声のゆえに姦淫を行った。お前は通りかかる者すべてにこびを売り、身をまかせた・・・お前はまた、私が与えた金銀の美しい品々を取って男の像を造り、それと姦淫を行った。お前は美しく織った服をとってそれらの像に着せ、私の油と香をその前に供えた。また、お前は私が与えた食物、お前を養ってきた小麦粉、油、蜜をその前に供えて、宥めの香りとした、と主なる神は言われる」。
・他国に依存することは他国の祭儀を導入することである。唯一の真実な神を礼拝するための神殿ではやがて豊穣の神や女神の恩恵を得るために、「礼拝者による性的行為」が行われ、幼児が犠牲として捧げられるようになっていく。
-エゼキエル16:20-21「お前はまた、私のために産んだお前の息子、娘たちをとり、偶像の食物として供えた。お前の姦淫はまだ足りないのか。お前は私の子供たちを殺し、火に焼いて偶像にささげた」。

2.その妻を愛し抜かれる神

・エゼキエルの告発は続く。イスラエルは隣国エジプトと姦淫し、アッシリア人やカルデア人にも頼って主なる神に背いた。「それは娼婦のように身を汚すことではないか。否、娼婦以上に汚れた行為をお前たちはした」と。
-エゼキエル16:23-32「ああ、なんと災いなことか、お前は、と主なる神は言われる。すべての悪事の後に、お前は祭儀台を設け、すべての広場に高い所を造り・・・傍らを通るすべての者に両脚を広げ、姦淫を重ねた。お前はまた、肉欲の強い隣国エジプト人たちと姦淫を行い・・・お前は飽き足らず、アシュルの人々と姦淫を行った。彼らと姦淫を行ってもまだ飽きず、商業の地カルデアと淫行を重ねたが、それでもなお飽き足らなかった・・・お前は報酬を受け取ることを潔しとしなかったから、娼婦とは違っていた。お前は、自分の夫の代わりに外国の男と通じる淫行の妻だ」。
・それゆえ「裏切られた夫がその妻を懲らしめるように、主はあなたがたを懲らしめられる」とエゼキエルは預言する。イスラエルでは姦淫を犯した妻は石で打ち殺され、その死体は剣で切り刻まれる。
-エゼキエル16:35-41「お前が、愛を求める者と姦淫するために、欲情を注ぎ、裸をさらしたために・・・私は、お前がもてなしたすべての愛人たち・・・もすべて集める・・・私は、お前を淫行と流血のゆえに裁く・・・私は、お前を彼らの手に渡す。彼らはお前の祭儀台を倒し、高い所を破壊し、お前の着物をはぎ取り、美しい飾りを取り去ってお前を裸にする。彼らは群衆を駆り立ててお前に向かわせ、石を投げさせ、剣で切りつけさせる。彼らは火でお前の家を焼き、多くの女たちの見ている前でお前を裁く。こうして、私はお前に姦淫をやめさせる。お前は二度と報酬を支払わない」。
・お前の姉はサマリア(北イスラエル)であり、お前の妹はソドムだ。ソドムが滅ぼされ、北イスラエルが滅亡したように、お前も滅びるとイスラエルはその刑を宣告される。
-エゼキエル16:45-50「お前は、自分の夫と息子たちを捨てた母の娘であり、自分の夫と息子たちを捨てた姉妹たちの一人である。お前の母はヘト人、父はアモリ人である。お前の姉はサマリアであり、彼女とその娘たちはお前の北に住んでいる。また、お前の南に住んでいるお前の妹はソドムとその娘たちである。お前は彼女たちの道を歩んで、忌まわしいことを行ったばかりでなく、やがて、すべての道において、彼女たちよりもいっそう堕落した・・・彼女たちは傲慢にも、私の目の前で忌まわしいことを行った。そのために、私が彼女たちを滅ぼしたのは、お前の見た通りである」。
・しかし59節から救済の預言が始まる。この預言はエルサレム滅亡後にエゼキエルが語ったものか、またはイスラエルの民が捕囚から帰還後に編集されたものであろう。そこにはイスラエルの義務不履行によって無効とされた契約が神の愛によって更新されるという「新しい契約」が預言されている。
-エゼキエル16:59-62「主なる神はこう言われる。お前が行ったように、私もお前に対して行う。お前は誓いを軽んじ、契約を破った。だが、私は、お前の若い日にお前と結んだ私の契約を思い起こし、お前に対して永遠の契約を立てる。お前は自分の道を思い起こし、姉たちと妹たちを受け入れるとき、恥を負うであろう。私は、彼女たちを娘としてお前に与える。しかしお前が契約を守ったからではない。私がお前と契約を立てるとき、お前は私が主であることを知るようになる」。
・人間に救いはあるのだろうか。人は苦難の時には神を求めるが、豊かになれば神を忘れ、自分の欲望に走る。その人間を神は懲らしめられる。しかしその懲らしめを通して人は神と出会う。エレミヤが「新しい契約」の預言を与えられ、エルサレムに土地を買えと命じられたのも、国が滅びるまさにその時であった。国が滅びる時に土地を買う、それは国が復興するとの主の言葉を信じることだ。東日本大震災の危難の中にある日本は、この危機を神からの懲らしめとして受け入れる時、新しい契約を結ぶことが出来るであろう。
-エレミヤ32:24-25「今や、この都を攻め落とそうとして、城攻めの土塁が築かれています。間もなくこの都は剣、飢饉、疫病のゆえに、攻め囲んでいるカルデア人の手に落ちようとしています。あなたの御言葉どおりになっていることは、御覧のとおりです。それにもかかわらず、主なる神よ、あなたは私に『銀で畑を買い、証人を立てよ』と言われました。この都がカルデア人の手に落ちようとしているこのときにです」。
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