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トップ  >  詩編  >  2011年3月23日祈祷会(詩編89篇、王国滅亡の悲嘆の中で)
1.ダビデに与えられた契約

・詩編89篇は王国滅亡の悲嘆の中で、約束の回復を願う歌である。主はダビデと契約を結ばれ、「ダビデの子孫は永遠にイスラエルの王座を継ぐ」と約束された。しかし、現実にはイスラエルは滅ぼされ、ダビデ王家を継ぐべきエホヤキン王はバビロンに捕囚となっている。どうか、あなたがダビデと結んだ契約を今一度思い起こし、王国を再建して下さいと詩人は祈る。その希望の根拠は主の「慈しみ」と「まこと」である。
-詩編89:2-5「主の慈しみをとこしえに私は歌います。私の口は代々に、あなたのまことを告げ知らせます。私は申します『天にはとこしえに慈しみが備えられ、あなたのまことがそこに立てられますように』。『私が選んだ者と私は契約を結び、私の僕ダビデに誓った、あなたの子孫をとこしえに立て、あなたの王座を代々に備える、と』」。
・その契約は「主が預言者ナタンを通じてダビデに約束された」ものであり、サムエル記にその記述がある。
-サムエル記下7:24-13「ナタンに臨んだ主の言葉は次のとおりであった『私の僕ダビデのもとに行って告げよ・・・主があなたのために家を興す。あなたが生涯を終え、先祖と共に眠る時、あなたの身から出る子孫に跡を継がせ、その王国を揺るぎないものとする。この者が私の名のために家を建て、私は彼の王国の王座をとこしえに堅く据える』」。
・詩人はこのダビデになされた約束の確認を行う「あなたはダビデに約束され、王国は栄えて来ました」と。「海から大河まで」、地中海からユーフラテス川までがイスラエルの理想とする国境である。
-詩編89:20-30「あなたの慈しみに生きる人々に、かつて、あなたは幻によってお告げになりました『私は一人の勇士に助けを約束する。私は彼を民の中から選んで高く上げた。私は私の僕ダビデを見いだし、彼に聖なる油を注いだ。私の手は彼を固く支え、私の腕は彼に勇気を与えるであろう・・・私は彼の手を海にまで届かせ、彼の右の手を大河にまで届かせる・・・私は彼を長子とし、地の諸王の中で最も高い位に就ける。とこしえの慈しみを彼に約束し、私の契約を彼に対して確かに守る。私は彼の子孫を永遠に支え、彼の王座を天の続く限り支える』」。
・その契約の中には、「約束を守らない時には、背きに対しては杖を、悪に対して疫病を下す」とされていたが、それは「懲らしめであっても契約の破棄ではなかったはずです」と詩人は訴える。
-詩編89:31-38「しかし、彼の子らが私の教えを捨て、私の裁きによって歩まず、私の掟を破り、私の戒めを守らないならば、彼らの背きに対しては杖を、悪に対しては疫病を罰として下す。それでもなお、私は慈しみを彼から取り去らず、私の真実をむなしくすることはない。契約を破ることをせず、私の唇から出た言葉を変えることはない。聖なる私自身にかけて、私はひとつのことを誓った、ダビデを裏切ることは決してない、と。彼の子孫はとこしえに続き、彼の王座は私の前に太陽のように、雲の彼方の確かな証しである月のように、とこしえに立つであろう」。

2.契約の破棄と見られる捕囚の中で

・しかしその約束にもかかわらず、「あなたが油注がれた王エホヤキンは退けられ、18歳の若さで捕らわれの身となり、バビロンの地に連れ去られました」と詩人は訴える(参照:列王記下24:8-16)。これは契約の破棄としか思えませんと詩人は訴える。
-詩編89:39-46「あなたは、御自ら油を注がれた人に対して、激しく怒り、彼を退け、見捨て、あなたの僕への契約を破棄し、彼の王冠を地になげうって汚し、彼の防壁をことごとく破り、砦をすべて廃虚とされた。通りかかる者は皆、そこで略奪し、周囲の民は彼を辱める・・・彼の剣を再び岩のかけらとし、戦いの時にも、彼の力を興してくださらない。あなたは彼の清さを取り去り、彼の王座を地になげうたれた。あなたは彼の若さの日を短くし、恥で彼を覆われた」。
・約束の背きは「懲らしめであっても契約の破棄ではなかった」はずなのに、今の状況は「契約の破棄」としか思えません、何故ですか、自分の生きている間に契約の回復を見ることが出来るのでしょうかと詩人は訴える。
-詩編89:47-49「いつまで、主よ、隠れておられるのですか。御怒りは永遠に火と燃え続けるのですか。心に留めてください、私がどれだけ続くものであるかを、あなたが人の子らをすべて、いかにむなしいものとして創造されたかを。命ある人間で、死を見ないものがあるでしょうか。陰府の手から魂を救い出せるものが、一人でもあるでしょうか」。
・「主よ、あなたは慈しみとまことを持ってダビデと契約された、その契約を回復して下さい」と詩人は訴える。
-詩編89:50-52「主よ、真実をもってダビデに誓われた、あなたの始めからの慈しみは、どこに行ってしまったのでしょうか。主よ、御心に留めてください、あなたの僕が辱めを受けていることを。これら強大な民を私が胸に耐えていることを。彼らは、主よ、あなたの敵であり、彼らは辱めるのです。彼らはあなたの油注がれた者を追って、辱めるのです」。
・イスラエルはその後国家を形成することはなく、王が立てられることもなかった。しかし、この約束は「メシヤはダビデの末から」とのメシヤ信仰に継承されていく。新約記者はこの約束が主イエスの降誕によって成就したと理解する。
-ルカ1:30-33「天使は言った『マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない』」。
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