すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

トップ  >  詩編  >  2010年7月21日祈祷会(詩篇57編、朝の光の中で)
1.御翼の陰に

・詩篇57篇には「ダビデがサウルを逃れて洞窟にいた時」との前書きがある。サムエル記上24章にダビデの命を求めてサウルが追跡してきた時、サウルがダビデの隠れていた洞窟に用足しに来てダビデはサウルを殺す機会があったのにそうしなかったという故事が記載されている。
−サムエル記上24:3-7「サウルはイスラエルの全軍からえりすぐった三千の兵を率い、ダビデとその兵を追って「山羊の岩」の付近に向かった。途中、羊の囲い場の辺りにさしかかると、そこに洞窟があったので、サウルは用を足すために入ったが、その奥にはダビデとその兵たちが座っていた。ダビデの兵は言った『主があなたに、私はあなたの敵をあなたの手に渡す。思いどおりにするがよいと約束されたのは、この時のことです』。ダビデは立って行き、サウルの上着の端をひそかに切り取った。しかしダビデは、サウルの上着の端を切ったことを後悔し、 兵に言った『私の主君であり、主が油を注がれた方に、私が手をかけ、このようなことをするのを、主は決して許されない。彼は主が油を注がれた方なのだ』」。
・57篇は直接にはダビデの心境を歌ったものではない。しかしどこにも救いを見出せず、神以外に頼るものがなくなった状況は洞窟にいたダビデの心境と同じであろう。
−詩編57:2「憐れんでください、神よ、私を憐れんでください。私の魂はあなたを避けどころとし、災いの過ぎ去るまで、あなたの翼の陰を避けどころとします」。
・「御翼の陰に」、雛が親鳥の翼の下に安全を求めるように、詩人も神の庇護を求めて神殿に駆け込んでいる。神殿の聖所には、契約の箱を守るようにケルビムが翼を広げて安置されていた。当時、不当な裁きを受けたものは神殿で神の裁きを受けることができた。無実の罪で告発された詩人は裁判を求めて神殿に避難したのであろう。
−詩編57:3-4「いと高き神を呼びます、私のために何事も成し遂げてくださる神を。天から遣わしてください、神よ、遣わしてください、慈しみとまことを。私を踏みにじる者の嘲りから、私を救ってください」。
・敵の歯は槍のように、舌は剣のように鋭い。彼らは中傷と偽りの告訴で詩人を痛めつける。
−詩編57:5「私の魂は獅子の中に、火を吐く人の子らの中に伏しています。彼らの歯は槍のように、矢のように、舌は剣のように、鋭いのです」。
・詩人は罠をかけられ、危機の中にあるが、祈る中で神が救って下さるという確信を与えられる。敵は詩人を告訴したが、そのことによって自らの墓穴を掘った。何故ならば神は正しく裁かれる方のであるゆえに。
−詩編57:7「私の魂は屈み込んでいました。彼らは私の足もとに網を仕掛け、私の前に落とし穴を掘りましたが、その中に落ち込んだのは彼ら自身でした」。

2.私の心は定まりました

・詩人は夜を徹して祈る。そして朝を迎えた。その朝の光に中で、詩人は神の救いを確信し、「私の心は定まりました」と告白する。詩人の祈りに神は答えて下さった。その確信を与えられ、彼は感謝する。
−詩編57:8-9「私は心を確かにします。神よ、私は心を確かにして、あなたに賛美の歌をうたいます。目覚めよ、私の誉れよ、目覚めよ、竪琴よ、琴よ。私は曙を呼び覚まそう」。
・苦難の中に閉じ込められた者にとって、必要なことは「静かである」ことだ。「静かにして祈り、神の救いを待つ」。いけないのは騒ぎ立てること、神に依り頼まないことだ。ユダは反アッシリア同盟に加わらず、ためにシリア・北イスラエル連合軍に攻められた。イザヤはアハズ王に「静かにせよ」と言ったが、アハズは不安に駆られ、アッシリアの援助を頼む。ユダは一時的に救われるがやがてアッシリアの隷属国に組み込まれていく。
−イザヤ7:3-12「主はイザヤに言われた『あなたは・・・アハズに会い、彼に言いなさい。落ち着いて、静かにしていなさい。恐れることはない』。主は更にアハズに向かって言われた『主なるあなたの神に、しるしを求めよ。深く陰府の方に、あるいは高く天の方に』。しかし、アハズは言った『私は求めない。主を試すようなことはしない』」。
・ダビデはサウルを殺す機会があったのにしなかった。報復は主の為されることであり、自分の業ではないからだ。
−サムエル記上24:13「主があなたと私の間を裁き、私のために主があなたに報復されますように。私は手を下しはしません」。
・本詩は教会の中で復活節の中で読まれてきた。夜の闇は過ぎ去り、復活の朝が来たからである。どのような苦難も過ぎ去る。あるいは静かにしていれば、その苦難から脱出する細い道が見えて来る。そのことを知る者はあわてることなく、主に讃美を捧げる。
−詩編57:10-12「主よ、諸国の民の中で私はあなたに感謝し、国々の中でほめ歌をうたいます。あなたの慈しみは大きく、天に満ち、あなたのまことは大きく、雲を覆います。神よ、天の上に高くいまし、栄光を全地に輝かせてください」。
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