すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

トップ  >  エレミヤ書  >  2009年12月17日祈祷会(エレミヤ書4章、災いの預言を繰り返すエレミヤと頑なな民)
1.北からの脅威を説くエレミヤ

・エレミヤにとって、宗教とは、主なる神とその民イスラエルとの契約であった。エジプトの奴隷から救われた民は神に従い、愛と正義で生きていくことを誓った。人々が約束の地に入り、定住して農耕生活を始め、作物を蓄えるようになると、神を忘れ始め、収穫を豊かにもたらす豊穣の神への礼拝を始める。豊かな人はますます豊かになり、貧しい人はますますに貧しくなるという社会的不公平が生じてきた。エレミヤはそれを罪と断じた。
−エレミヤ5:26「わが民の中には逆らう者がいる。網を張り、鳥を捕る者のように、潜んでうかがい、罠を仕掛け、人を捕らえる。籠を鳥で満たすように、彼らは欺き取った物で家を満たす。こうして、彼らは強大になり富を蓄える。彼らは太って、色つやもよく、その悪事には限りがない。みなしごの訴えを取り上げず、助けもせず、貧しい者を正しく裁くこともしない。これらのことを、私が罰せずにいられようか、と主は言われる。このような民に対し、私は必ずその悪に報いる」。
・4章はエレミヤが北からの異民族侵略を預言する個所だ。エレミヤは北から滅びが来ると預言する。祭司や宮廷預言者たちは、神の住まわれるエルサレム神殿があり、神が祝福されたダビデ王家がある限り、エルサレムは滅びないと預言した。しかしエレミヤは、その神がエルサレムを撃たれるのだと警告する。
−エレミヤ4:9-10「その日が来れば、と主は言われる。王も高官も勇気を失い、祭司は心挫け、預言者はひるみ、 言うであろう『ああ、主なる神よ。まことに、あなたはこの民とエルサレムを欺かれました。あなたたちに平和が訪れると約束されたのに、剣が喉もとに突きつけられています』」。
・信仰には二つの形がある。一つは「親鳥がその雛を翼の下に守られるように、神は私たちを守られる」という信仰だ。しかしこの信仰は、祈りが聞かれず、滅びが迫ると崩壊する。もう一つは神の裁きを受けて、その中で神の名を呼び求めていく信仰だ。裁きを叫び続けたエレミヤは、エルサレム滅亡後は救いを預言する。
−エレミヤ29:10「バビロンに七十年の時が満ちたなら、私はあなたたちを顧みる。私は恵みの約束を果たし、あなたたちをこの地に連れ戻す。私はあなたたちのために立てた計画をよく心に留めている、と主は言われる。それは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるものである」。

2.預言者故の悲劇

・ギリシャ人はこの世界はコスモス(秩序)の中にあるとみた。旧約聖書は神の創造の業によって、カオス(混沌)がコスモス(秩序)に変わったと説いた。しかしエレミヤの見た幻は、神の裁きによって、この世界が創造前のカオスに戻される世界だった。この世界は神の忍耐のゆえに維持されており、いつでもカオスに戻りうると。−エレミヤ4:23-26「私は見た。見よ、大地は混沌とし、空には光がなかった。私は見た。見よ、山は揺れ動き、すべての丘は震えていた。私は見た。見よ、人はうせ、空の鳥はことごとく逃げ去っていた。私は見た。見よ、実り豊かな地は荒れ野に変わり、町々はことごとく、主の御前に、主の激しい怒りによって打ち倒されていた」。
・現代文明は地球を何度でも破壊できる核兵器を持つ。人の罪は世界を再びカオスに戻す危機を内包している。預言者は現在ではなく、将来を見る。まだ戦乱の兆しもない時に、国の滅亡を幻に見る。そこに彼の悲劇が生れ、人々はエレミヤを大ぼら吹き、災いの預言者として嘲笑した。洪水を信じない人々がノアを嘲笑したようにだ。
−ルカ17:26「ノアの時代にあったことが、人の子が現れるときにも起こるだろう。ノアが箱舟に入るその日まで、人々は食べたり飲んだり、めとったり嫁いだりしていたが、洪水が襲って来て、一人残らず滅ぼしてしまった」。
・災いは来る。エレミヤは主から示された言葉を繰り返し預言する。
−エレミヤ4:13-14「見よ、それは雲のように攻め上る。その戦車はつむじ風のよう、その馬は鷲よりも速い。ああ、災いだ。我々は荒らし尽くされる。エルサレムよ、あなたの心の悪を洗い去って救われよ」。
・それは愛国者エレミヤの叫びだ。彼は祖国の滅亡を、はらわたをねじれさせ、心臓をうめかせながら預言する。
−エレミヤ4:19「私のはらわたよ、はらわたよ。私はもだえる。心臓の壁よ、私の心臓は呻く。私は黙していられない。私の魂は、角笛の響き、鬨の声を聞く」。
・しかしイスラエルはその悲痛な叫びを聞かない。彼女はこれまでアッシリアやエジプトに媚を売って生きながらえてきた。しかし、この最後の時に、彼女は滅ぼされる。罪を認めよ、滅びるなとエレミヤは叫ぶ。
−エレミヤ4:30-31「辱められた女よ、何をしているのか。緋の衣をまとい、金の飾りを着け、目の縁を黒く塗り、美しく装ってもむなしい。愛人らはお前を退け、お前の命を奪おうとする。まことに、産みの苦しみのような声が聞こえる・・・あえぎながら手を伸べる娘シオンの声が『ああ、殺そうとする者の前に私は気を失う』」。
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