すべて重荷を負うて苦労している者は、私のもとに来なさい。

トップ  >  詩編  >  2009年8月26日祈祷会(詩篇13編、主よ、いつまでですか)
1.神と人からの見捨て

・詩篇13編は短い祈りの詩だ。祈り手は出口の見えない絶望の中にいる。重い病に罹り、死に直面しているのかもしれない。短い詩の中に、「いつまですか」という絶望の言葉が4回も出てくる。
-詩篇13:2「いつまで、主よ、私を忘れておられるのか。いつまで、御顔を私から隠しておられるのか」。
・「主が御顔を隠される」、祈り手は神との断絶の中にある。助けを求めても何の応答もなく、祈り手の信仰は揺らぎ始めている。神の沈黙が信仰者にとって最大の恐怖だ。
-詩篇44:25-27「なぜ、御顔を隠しておられるのですか。我らが貧しく、虐げられていることを、忘れてしまわれたのですか。我らの魂は塵に伏し、腹は地に着いたままです。立ち上がって、我らをお助けください。我らを贖い、あなたの慈しみを表してください」。
・祈り手は自己の絶望に負けようとしている。「私」という言葉が4回も出て、祈り手が精神的危機にあることが示される。この敵とは誰だろう。自分に襲い掛かる「死の手」かもしれない。
-詩篇13:3「いつまで、私の魂は思い煩い、日々の嘆きが心を去らないのか。いつまで敵は私に向かって誇るのか」。
・「神がおられるのに苦しみが取り去られない」、祈り手の最大の危機は苦しみや敵ではなく、神の沈黙だ。それでも祈り手は神の応答を求めて祈り続ける。「顧みて下さい」、「答えて下さい」、祈り手は執拗に祈る。
-詩篇13:4「私の神、主よ、顧みて私に答え、私の目に光を与えてください、死の眠りに就くことのないように」
・「私の目に光を」、死にかけている私を救って下さいという叫びだ。旧約において死は単なる体の消滅ではなく、神との関係が断たれた陰府に行くことであり、恐怖だった。「敵が勝った」、死の手が勝つことがないように。
-詩篇13:5「敵が勝ったと思うことのないように、私を苦しめる者が、動揺する私を見て喜ぶことのないように」。

2.神の沈黙の中での救い

・詩篇13編は6節から転調し、「祈りは聞かれた。主は報いてくださった」と感謝の祈りになる。何があったのだろうか。彼を取り巻く苦難が取り去られたのだろうか。
-詩篇13:6「あなたの慈しみに依り頼みます。私の心は御救いに喜び躍り、主に向かって歌います『主は私に報いてくださった』と」。
・人生は聴かれない祈りの連続のようだ。信仰者はその聴かれない祈りの中に神の声を聴く。取り囲む苦難は解決されなくとも、そこに神の祝福を見出していく。困難な持病の回復を求めて与えられなかったパウロがそうだ。
-競灰螢鵐12:7-9「思い上がることのないようにと、私の身に一つのとげが与えられました。それは、思い上がらないように、私を痛めつけるために、サタンから送られた使いです。この使いについて、離れ去らせてくださるように、私は三度主に願いました。すると主は『私の恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ』と言われました。だから、キリストの力が私の内に宿るように、むしろ大いに喜んで自分の弱さを誇りましょう」。
・神の声はささやく声だ。よく聞かないと聞こえない。エリヤがシナイ山で聞いたのはささやく声だった。
-砧鷁Φ19:11-13「見よ、そのとき主が通り過ぎて行かれた。主の御前には非常に激しい風が起こり、山を裂き、岩を砕いた。しかし、風の中に主はおられなかった。風の後に地震が起こった。しかし、地震の中にも主はおられなかった。地震の後に火が起こった。しかし、火の中にも主はおられなかった。火の後に、静かにささやく声が聞こえた。それを聞くと、エリヤは外套で顔を覆い、出て来て、洞穴の入り口に立った」。
・私たちは絶望の中で神を求めてうめく。神は聴いて下さると信じるゆえだ。そして神は聴いて下さる。
-ローマ8:22-25「被造物がすべて今日まで、共にうめき、共に産みの苦しみを味わっていることを、私たちは知っています。被造物だけでなく、“霊”の初穂をいただいている私たちも、神の子とされること、つまり、体の贖われることを、心の中でうめきながら待ち望んでいます。私たちは、このような希望によって救われているのです。見えるものに対する希望は希望ではありません。現に見ているものをだれがなお望むでしょうか。私たちは、目に見えないものを望んでいるなら、忍耐して待ち望むのです」。
・黒人解放のために働いたキング牧師は「私には夢がある。かつての奴隷の子孫とかつての奴隷主の子孫が同胞として同じテーブルにつく日が来るという夢が」と説教した。キングはそれを見ないまま1968年に暗殺されて死ぬ。U2のボノは1987年に歌った「I believe in the Kingdom Come. Then all the colours will bleed into one. Bleed into one. But yes I'm still running. I Still Haven't Found What I'm Looking For」。今はまだ「全ての人種が一つになるときは来ていない。しかし、神の国は来る」。キングの死から40年、アメリカは黒人大統領であるバラク・オバマが誕生した。ある人は「キングの贖罪死がオバマを生んだ」と言う。ここに私たちは神の経綸を見る。
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