2019年7月4日祈祷会(列王記上2章、政治と神の約束)

1.敵対者を排除していくソロモン

・ダビデは死期が近づくと、ソロモンを呼び、「王は主によって立てられる。だから常に主の戒めを守って世を治めよ」と教える。
−列王記上2:1-4「死期が近づいた時、ダビデはこう言って王子ソロモンを戒めた。『私はこの世のすべての者がたどる道を行こうとしている。あなたは勇ましく雄々しくあれ。あなたの神、主の務めを守ってその道を歩み、モーセの律法に記されているとおり、主の掟と戒めと法と定めを守れ。そうすれば、あなたは何を行っても、どこに向かっても、良い成果を上げることができる。また主は、私について告げてくださったこと、“あなたの子孫が自分の歩む道に留意し、まことをもって、心を尽くし、魂を尽くして私の道を歩むなら、イスラエルの王座につく者が断たれることはない”という約束を守ってくださるであろう』」。
・さらにダビデは「王国の将来の安定に障害となるヨアブとシムイの二人を除け」と遺言した。
−列王記上2:5-9「あなたは、ツェルヤの子ヨアブが私にしたことを知っている。彼がイスラエルの二人の将軍、ネルの子アブネルとイエテルの子アマサにしたことである。ヨアブは彼らを殺し、平和な時に戦いの血を流し、腰の帯と足の靴に戦いの血をつけた。それゆえ、あなたは・・・彼が白髪をたくわえて安らかに陰府に下ることをゆるしてはならない・・・また、あなたのもとにはバフリム出身のベニヤミン人ゲラの子シムイがいる。彼は私がマハナイムに行った時、激しく私を呪った・・・あなたは彼の罪を不問に付してはならない。あなたは知恵ある者であり、彼に何をなすべきか分かっているからである。あの白髪を血に染めて陰府に送り込まなければならない。」
・ヨアブはダビデ軍の中心であったが、彼の手は血にまみれており、また先にはアドニヤの陰謀に加担した。ソロモンはヨアブが祭壇に逃れて助命を請うても赦さず、これを殺した。
−列王記上2:28-34「ヨアブはアブサロムには加担しなかったが、アドニヤに加担したので、主の天幕に逃げ込み、祭壇の角をつかんだ。ソロモン王は、ヨアブが主の天幕に逃げ込み、祭壇のそばにいることを知らされると、『行ってヨアブを討て』と命じ、ヨヤダの子ベナヤを遣わした・・・ヨヤダの子ベナヤは上って行ってヨアブを打ち殺した。ヨアブは荒れ野にある自分の家に葬られた」。
・またサウルの血筋であるシムイに言いがかりをつけて処刑した。
−列王記上2:44-46「王はシムイにこう言った『お前は私の父ダビデに対して行ったすべての悪を知っているはずだ。お前の心はそれを知っている。主がお前の悪の報いをお前自身の頭にもたらしてくださるように』。・・・王がヨヤダの子ベナヤに命じたので、彼は出て行ってシムイを打ち殺した。こうして王国はソロモンの手によって揺るぎないものとなった」。
・さらに彼は、父ダビデの側女を求めた兄アドニヤをも処刑した。前王の側女を求めることは、王位を求めることであり、アドニヤはあまりにも愚かであった。
−列王記上2:23-24「ソロモン王は主にかけてこう誓った『アドニヤがこのような要求をしてもなお生きているなら、神が幾重にも私を罰してくださるように。私を揺るぎないものとして、父ダビデの王座につかせ、お約束どおり私のために家を興された主は生きておられる。アドニヤは今日死なねばならない』」。
・また自分を見限り、アドニヤ側についた祭司アビアタルもアナトトに追放した。このアナトトの地から後の預言者エレミヤが出てくる。
−列王記上2:26「王はまた祭司アビアタルにこう言った『アナトトの自分の耕地に帰るがよい。お前は死に値する者だが、今日、私はお前に手を下すのを控える。お前は私の父ダビデの前で主なる神の箱を担いだこともあり、いつも父と辛苦を共にしてくれたからだ』」。

2.政治と神の主権

・こうしてソロモンは自分の地盤を固めた。ソロモンは国の平和と安全を守るためであれば、ためらうことなく敵を殺す。彼は王としては果断で、かつ冷酷であった。
−列王記上2:22「ソロモンは母に答えた『どうしてアドニヤのためにシュネムの女アビシャグを願うのですか。彼は私の兄なのですから、彼のために王位も願ってはいかがですか。祭司アビアタルのためにも、ツェルヤの子ヨアブのためにもそうなさってはいかがですか』」。
・神はご自分の民を守るために、時には無慈悲とさえ思われる政治的手段さえも用いられる。
−敗者であるのに父の側女を妻に求めるような愚かなアドニヤが王になれば、国は外敵に荒らされ、民は苦しむ。
−ヨアブやシムイのような不満分子を排除しない時、国は分裂し、ダビデ王家の存続を危うくする。
・神は悪をも善に変える力を持たれる。その結果、ダビデの家系が守られ、その末から御子が生まれた。しかし同時にバビロンによる侵略でダビデ王家を滅ぼされた。しかし、ダビデはやがて生まれるメシアの父として霊的によみがえる。
−マタイ1:6-17「ダビデはウリヤの妻によってソロモンをもうけ、ソロモンはレハブアムを・・・ヤコブはマリアの夫ヨセフをもうけた。このマリアからメシアと呼ばれるイエスがお生まれになった・・・アブラハムからダビデまで十四代、ダビデからバビロンへの移住まで十四代、バビロンへ移されてからキリストまでが十四代である」。

3.列王記2章の黙想

・列王記上2章のソロモンは、必要ならば反対者を殺す計算高い支配者だ。しかし列王記3章のソロモンは神の前に自分の足りなさを祈る謙虚な王だ。どちらもソロモンの信実の一面であろう。
−列王記上3:7-9「わが神、主よ、あなたは父ダビデに代わる王として、この僕をお立てになりました。しかし、私は取るに足らない若者で、どのようにふるまうべきかを知りません。僕はあなたのお選びになった民の中にいますが、その民は多く、数えることも調べることもできないほどです。どうか、あなたの民を正しく裁き、善と悪を判断することができるように、この僕に聞き分ける心をお与えください。そうでなければ、この数多いあなたの民を裁くことが、誰にできましょう。」
・ソロモンは主のために神殿を立てるが、その祈りは謙虚である。
−列王記上8:27-30「神は果たして地上にお住まいになるでしょうか。天も、天の天もあなたをお納めすることができません。私が建てたこの神殿など、なおふさわしくありません。わが神、主よ、ただ僕の祈りと願いを顧みて、今日僕が御前にささげる叫びと祈りを聞き届けてください。そして、夜も昼もこの神殿に、この所に御目を注いでください。ここはあなたが、『私の名をとどめる』と仰せになった所です。この所に向かって僕がささげる祈りを聞き届けてください。僕とあなたの民イスラエルがこの所に向かって祈り求める願いを聞き届けてください。どうか、あなたのお住まいである天にいまして耳を傾け、聞き届けて、罪を赦してください」。
・そのソロモンも繁栄の中で、堕落していく。
−列王記11:3-4「彼には妻たち、すなわち七百人の王妃と三百人の側室がいた。この妻たちが彼の心を迷わせた。ソロモンが老境に入った時、彼女たちは王の心を迷わせ、他の神々に向かわせた。こうして彼の心は、父ダビデの心とは異なり、自分の神、主と一つではなかった」。
・伝道者の書(コヘレト)はソロモンの言葉を集めたものとされる。そこにあるのは「人生に意味を見出せなくなった」ニヒリズムだ。それもまた晩年のソロモンの気持ちを代弁しているように思える。
−コヘレト1:1-14「エルサレムの王、ダビデの子、コヘレトの言葉。コヘレトは言う。なんという空しさ、なんという空しさ、すべては空しい。太陽の下、人は労苦するが、すべての労苦も何になろう・・・私コヘレトはイスラエルの王としてエルサレムにいた。天の下に起こることをすべて知ろうと熱心に探究し、知恵を尽くして調べた。神はつらいことを人の子らの務めとなさったものだ。私は太陽の下に起こることをすべて見極めたが、見よ、どれもみな空しく、風を追うようなことであった」。